飼料用稲、高刈りでセシウム防ぐ 農研機構2013年7月30日
農研機構畜産草地研究所は、稲発酵粗飼料(WCS)用稲を収穫時に土壌表面から15cm程度高刈りすることで放射性セシウムの濃度を減らすことができることを明らかにした。放射性物質汚染地域でWCSを生産、利用する耕種、畜産農家での活用を期待する。7月25日発表した。
WCSは飼料用トウモロコシと同様、土壌からの放射性セシウムの移行を抑えることが期待されている。しかし、収穫時に土壌が混ざり、セシウムの濃度上昇が懸念されており、土壌混入のリスクを減らす収穫方法の採用が必要。
WCSは茎葉と子実(もみ)を同時に収穫するが、放射性セシウムは茎葉に蓄積されやすく、また土壌表面に近い部位は土壌混入のリスクが高い。同研究所の試験によると、刈取りの高さを地際から15cm程度以上として、土壌に近い茎葉部分を刈り残すことで、放射性セシウムの移行を抑えることができた。
試験では、水田土壌表面から10cmの高さで刈り取ったWCS用稲では、茎葉が全体の乾物重量の40%程度を占め、ここに放射性セシウムの70%以上が含まれていた。さらに土壌表面に近い株元ほど高いことが分かった。このため、刈取りの高さを8、16、24cmに設定。8cmの場合を100として、16cmで76%、24cmで64%に減少した。高刈りするほどセシウム移行は少ないが、現実的には刈取り後のすき込み作業があり、「水田の条件に合せて刈取りの高さを変える必要があり、15cm以上が妥当」(同研究所)。
高刈りのほか同研究所は、土壌を混入させないため、倒伏防止、水田表面を乾燥させるための水管理、収穫物をブルーシートに載せるなどの工夫をするよう呼びかけている。
(関連記事)
・【提言・震災復興と協同組合】福島第一原発事故・県民と協同組合の苦闘続く 小山良太・福島大学経済経営学類准教授、うつくしまふくしま未来支援センター・産業復興支援部門長(2013.07.25)
・営農再開 福島は59%農水省(2013.04.23)
・「園芸王国福島を未来へ」 JA、県が説明会(2013.04.16)
・放射性セシウム 森林外への流出は少ない(2013.04.05)
・試験作付で除染の効果実証 全ほ場でセシウムが下限値未満 農水省がコメと野菜で調査(2012.11.28)
重要な記事
最新の記事
-
1人当たり精米消費、3月は微減 家庭内消費堅調も「中食」減少 米穀機構2025年4月25日
-
【JA人事】JAサロマ(北海道)櫛部文治組合長を再任(4月18日)2025年4月25日
-
静岡県菊川市でビオトープ「クミカ レフュジア菊川」の落成式開く 里山再生で希少動植物の"待避地"へ クミアイ化学工業2025年4月25日
-
25年産コシヒカリ 概算金で最低保証「2.2万円」 JA福井県2025年4月25日
-
(432)認証制度のとらえ方【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年4月25日
-
【'25新組合長に聞く】JA新ひたち野(茨城) 矢口博之氏(4/19就任) 「小美玉の恵み」ブランドに2025年4月25日
-
水稲栽培で鶏ふん堆肥を有効活用 4年前を迎えた広島大学との共同研究 JA全農ひろしま2025年4月25日
-
長野県産食材にこだわった焼肉店「和牛焼肉信州そだち」新規オープン JA全農2025年4月25日
-
【JA人事】JA中札内村(北海道)島次良己組合長を再任(4月10日)2025年4月25日
-
【JA人事】JA摩周湖(北海道)川口覚組合長を再任(4月24日)2025年4月25日
-
第41回「JA共済マルシェ」を開催 全国各地の旬の農産物・加工品が大集合、「農福連携」応援も JA共済連2025年4月25日
-
【JA人事】JAようてい(北海道)金子辰四郎組合長を新任(4月11日)2025年4月25日
-
宇城市の子どもたちへ地元農産物を贈呈 JA熊本うき園芸部会が学校給食に提供2025年4月25日
-
静岡の茶産業拡大へ 抹茶栽培農地における営農型太陽光発電所を共同開発 JA三井リース2025年4月25日
-
静岡・三島で町ぐるみの「きのこマルシェ」長谷川きのこ園で開催 JAふじ伊豆2025年4月25日
-
システム障害が暫定復旧 農林中金2025年4月25日
-
神奈川県のスタートアップAgnaviへ出資 AgVenture Lab2025年4月25日
-
【人事異動】ヤマハ発動機(5月1日付)2025年4月25日
-
【人事異動】石原産業(4月25日付)2025年4月25日
-
「幻の卵屋さん」多賀城・高知の蔦屋書店に出店 日本たまごかけごはん研究所2025年4月25日