畜産・酪農も基本方針見直し-農水省2014年2月19日
農林水産省は食料・農業・農村政策審議会畜産部会を開き、林農相が畜産・酪農の基本方針の見直しを諮問し、審議会は来年4月の取りまとめに向けて議論を始めた。
畜産・酪農の生産振興策などの基本計画にあたる現行の「酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針」(酪肉近基本方針)と「家畜改良増殖目標」は平成32年度を目標に平成22年7月に策定された。これらはおおむね5年ごとに見直すことになっており、農政全体の指針である「食料・農業・農村基本計画」の見直しに合わせて策定されてきた。
基本計画については1月に審議会に諮問され見直し作業がスタートしたことから、農水省は畜産・酪農の基本方針も見直しに向けて検討を開始することにした。
22年に策定された現行の酪肉近基本方針では、畜産・酪農所得補償制度について検討することや、6次産業化などを通じた多様な経営の育成・確保を、家畜衛生対策の充実・強化などを掲げている。生産数量目標については平成32年に生乳800万t、牛肉52万t、乳牛飼養頭数132万頭、肉用牛飼養頭数296万頭などを設定している。
「家畜改良増殖目標」では高く売れる、生産量が多いといった価値観だけでなく、特色ある家畜による多様な畜産経営、消費者ニーズに応えた畜産物の供給、長期的にひっ迫基調の穀物需給への対応を軸とした畜産などの推進を軸としている。 畜産部会では今後、現行基本方針の検証を通じて新たな基本方針づくりの議論を進めていくが、この日の会合では次回から酪農・乳業、肉牛、豚といったテーマを設定し、それぞれに関係する委員が課題や将来方向について説明をしたうえでディスカッションを行うという新たな試みで部会を運営することが了承された。 この日の部会では▽人口減少社会を迎えるなかでどう目標をつくるか、▽赤身肉など消費者の嗜好がどう変化しているかデータ把握が必要。飼料自給など自給率問題と関わる、▽世界遺産登録された文化としての和食に畜産物と飼料用米生産をどう位置づけるか、▽地域のなかで畜産と耕種が連携した高収益構造をつくるべき、▽多様な農業と品種の保存、▽畜産物を含めた地域の食を普及させるためのマーケティングと専門家、▽弱体化する生乳生産基盤を強化する酪農家が意欲を持てる計画づくり、▽後継者育成のための農業教育の充実、▽畜産・酪農の所得補償制度の導入をどう議論するのか、などの指摘が出た。
(関連記事)
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