和牛繁殖の農場づくりを検討 JA東西しらかわ2014年7月11日
JAの直接経営でモデル示す
JA東西しらかわの畜産は、JAの販売品取扱高約40億円のうち約8億6000万円で、5分の1を占め、中でも子牛は5億5000万円と、繁殖牛経営の比重が高い。しかし、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故による放牧の自粛、畦畔や土手の草の給与の自粛・制限がいまも続いている。
◆原発事故が拍車 生産基盤弱体化
これに購入粗飼料の高騰による経営への圧迫が加わり、震災前から続く経営者の高齢化と後継者不足で生産者の廃業、飼養(母牛)頭数の激減が続き、和牛生産基盤の弱体化が進んでいる。
平成24年度末に250名が1715頭の繁殖母牛を飼育していたものが、1年後の25年度末には、それぞれ34人(1.4%)、124頭(7.2%)減った。中山間地域における畜産業の減退は、地域農業の弱体化の大きな原因になっている。
◆耕畜の連携でコスト削減へ
JA東西しらかわは、こうした状況に危機感を持ち、農場をつくって自ら和牛繁殖経営に乗り出すことにした。哺乳ロボットや発情発見機などの最新技術や、耕畜連携の経営方法などを取り入れて低コスト経営に挑戦し、それを実証して、地域の和牛繁殖農家のモデルにしようというもの。
農場は種付けから子牛の生産・販売までの一環経営を行い、母牛は100頭ほど。低コストの実証で最大のポイントになるのは、粗飼料の自給で、これには遊休農地への飼料用トウモロコシの不耕起栽培を検討。フォーレ―ジハーベスタなどによる刈取りから、積み込みまでの一貫生産方式の導入なども視野にある。
同JAは、これまでも飼料用米やWCS(稲発酵粗飼料)に取り組んできており、これにコーンサイレージを組み合わせる。
現在、飼料米は約170ha、WCSは90haで生産しており、いずれも管内の畜産農家ですべて消費している。こうした実績をもとに、どれだけの自給飼料で何頭飼育できるかなどの試験に取り組み、現在の5、6頭平均の規模を10?50頭経営に拡大するための方法などに挑戦する。
(写真)
放牧中の和牛繁殖牛(JA東西しらかわ管内で)
◆地域の農家参加 皆で支える農場
モデル農場は、自給飼料確保のためのコントラクターを養成するとともに、後継者や新規就農者の育成など、研修や体験学習の場としても機能も持つ。同JAの鈴木昭雄組合長は、「生産者に号令をかけるだけでなく、地域に範を示してこそ農協の役割がある。
このため、地域の人にも経営に参加してもらい、地域で支える農場にしたい」という。モデル農場はJAや関係団体等のほか、遊休農地を持つ農場周辺の生産者にも出資を呼び掛ける考えだ。
重要な記事
最新の記事
-
基本法施行後初の予算増確保へ JAグループ基本農政確立全国大会に4000人 生産者から切実な訴え2024年11月22日
-
「適正な価格形成」国関与で実効的に JA群馬中央会・林会長の意見表明 基本農政確立全国大会2024年11月22日
-
JAグループ重点要望実現に全力 森山自民党幹事長が表明 基本農政確立全国大会2024年11月22日
-
農林水産省 エン・ジャパンで「総合職」の公募開始2024年11月22日
-
鳥インフル 米モンタナ州、ワシントン州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年11月22日
-
鳥インフル オランダからの生きた家きん等 輸入を一時停止 農水省2024年11月22日
-
11月29日「ノウフクの日」に制定 全国でイベント開催 農水省2024年11月22日
-
(411)「豚ホテル」の異なるベクトル【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年11月22日
-
名産品のキャベツを身近に「キャベツ狩り選手権」開催 JA遠州中央2024年11月22日
-
無人で水田抑草「アイガモロボ」NEWGREENと資本業務提携 JA三井リース2024年11月22日
-
みのるダイニング名古屋店開業2周年「松阪牛ステーキ定食」特別価格で提供 JA全農2024年11月22日
-
【スマート農業の風】農業アプリと地図データと筆ポリゴン・eMAFF農地ナビ2024年11月22日
-
自動運転とコスト【消費者の目・花ちゃん】2024年11月22日
-
イチゴ優良苗の大量培養技術 埼玉農業大賞「革新的農業技術部門」で大賞受賞 第一実業2024年11月22日
-
「AGRIST Aiサミット 2024」産官学金オープンイノベーションで開催2024年11月22日
-
厚木・世田谷・北海道オホーツクの3キャンパスで収穫祭を開催 東京農大2024年11月22日
-
大気中の窒素を植物に有効利用 バイオスティミュラント「エヌキャッチ」新発売 ファイトクローム2024年11月22日
-
融雪剤・沿岸地域の潮風に高い洗浄効果「MUFB温水洗浄機」網走バスに導入 丸山製作所2024年11月22日
-
農薬散布を効率化 最新ドローンなど無料実演セミナー 九州3会場で開催 セキド2024年11月22日
-
能登半島地震緊急支援募金で中間報告 生産者や支援者が現状を紹介 パルシステム連合会2024年11月22日