和牛繁殖のJA農場発足 JA東西しらかわ(福島県)2015年4月8日
畜産農家が出資・モデル経営めざす
繁殖和牛の産地づくりに取り組んでいる福島県のJA東西しらかわは、このほど畜産農家も加わった繁殖和牛の農業生産法人を立ち上げた。東日本大震災、原発事故の影響で大きく減退している管内の和牛繁殖事業を立て直そうという狙い。JA単独でなく、生産者の経営参画によって運営するところに特徴があり、積極的に規模拡大、あるいは同じような経営が広がることを期待する。
福島県の和牛を中心とする畜産は、東京電力福島第一原発事故によって大きな被害を受けた。子牛の出荷頭数が減少したため福島県畜産農協が解散した。このためJA東西しらかわは管内の特産農家が加入していた東白養畜農協と合併。この生産基盤を基に、新たに和牛繁殖産地づくりに取り組もうというもの。
同JA管内でも原発事故の後、地域の重要な産業である和牛繁殖の生産者、生産頭数が大きく減少した。同JAにとって和牛を中心とする畜産はは米と野菜と並んで地域農業の3本柱の一つとして位置付けている。
新しく生まれる農業生産法人は株式会社東西しらかわグリーンファームで、3月30日臨時総会で設立を決めた後、発起人会を開き、役員を決めた。同ファームは、JAが自ら実践することで、地域の和牛繁殖経営のモデル農場をめざしたもので、農業の担い手づくり、先導的技術の実証と普及・振興、遊休農地の流動化促進など、事業内容は多岐にわたる。。
具体的な内容は、担い手対策では研修者の受け入れ、技術面では牛冷凍精液などの人工受精などの研究、遊休地解消では飼料の開発や生産・販売、畜産農家支援では牛の受委託、さらには農畜産物の加工・販売、観光農業など、さまざまな事業への取り組みを考えている。
同ファームの特徴は、JA100%出資でなく、生産者にも出資を求めたこと。対象は原則として、畜産農家で、資本金1千万円のうち、499万円は14人の組合員が出資した。組合員にも参加意識を持ち、経営のノウハウを身につけてもらい、将来は第2、第3の農場づくりにつなげようという考えだ。
出資者の一人でもある肥育牛200頭を経営する沼野畜産の代表・沼野裕一郎さん(34)は「長い目で見て、畜産が残る手立てが必要。WCS(発酵稲飼料)の販売などで、生産コストを下げる工夫をしてほしい」と、同ファームに期待する。
ファームの代表取締役でもあるJA東西しらかわの鈴木昭雄組合長は、「原発事故や生産者の高齢化で子牛生産の減少が止まらない。これに歯止めをかけ、和牛繁殖の拡大をはかることが、中山間地農業の最大の防御になる。グリーンファームを参考に和牛の繁殖・肥育経営に取り組んでほしい」と、生産者の奮起を促した。
(写真)新会社「グリーンファーム」設立の発起人会
(関連記事)
・和牛繁殖の農場づくりを検討 JA東西しらかわ (2014.07.11)
重要な記事
最新の記事
-
【現地ルポ】福岡・JAみなみ筑後(2)大坪康志組合長に聞く 「農業元気に」モットー2024年7月18日
-
【注意報】野菜・花き類にオオタバコガ 栽培地域全域で多発のおそれ 既に食害被害の作物も 群馬県2024年7月18日
-
【注意報】過去10年間で最多誘殺 水稲の斑点米カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 山口県2024年7月18日
-
【注意報】平年の4倍 水稲に斑点米カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 滋賀県2024年7月18日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】「財務省経済産業局農業課」て何?2024年7月18日
-
1970年代の農村社会の異質化の進展と農業【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第299回2024年7月18日
-
「JAサイネージ」 JA本店や金融店舗の情報発信にも利用拡大 あぐラボ2024年7月18日
-
【人事異動】JA全国共済会 新会長に坂本富雄JA埼玉県中央会会長(7月18日)2024年7月18日
-
スマホでより便利に「石川県Aコープ(ジャコム石川)アプリ」提供開始2024年7月18日
-
TOWING「宙炭」活用 根域制限栽培によるシャインマスカット栽培実証開始 日本農業2024年7月18日
-
バイトアプリで1万人採用 農中提携の農業人材サービス 労働力確保に寄与2024年7月18日
-
全国7000名以上の生産者の声を反映 生産コスト低減へ JAグループ宮城 共同購入コンバイン出荷式 JA全農2024年7月18日
-
【注意報】水稲に斑点米カメムシ類 全県で多発のおそれ 秋田県2024年7月18日
-
【注意報】水稲に斑点米カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 愛知県2024年7月18日
-
【注意報】野菜、花き類にオオタバコガ 県内全域で多発のおそれ 過去10年最多の昨年を上回る誘殺 千葉県2024年7月18日
-
【注意報】ネギにシロイチモジヨトウ 県内全域で多発のおそれ 千葉県2024年7月18日
-
【注意報】果樹全般に果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 埼玉県2024年7月18日
-
農業用ドローン専用カスタマーサポート 繁忙期で対応拡大 ナイルワークス2024年7月18日
-
食物繊維が豊富なもち麦2種の品種登録 成果を紹介 生研支援センター2024年7月18日
-
AI潅水施肥システム「ゼロアグリ」エントリー&ハイエンドモデル同時リリース2024年7月18日