非定型BSEから新規BSE出現-動物衛生研が確認2016年3月15日
農研機構動物衛生研究所は、非定型BSEプリオンから新たなBSEプリオンが出現する現象を確認した。3月7日付けの英国科学雑誌『Scientific Reports』(Online)に掲載された。牛の飼料に肉骨粉をしないなど食物連鎖を断つBSE管理措置の重要性を改めて示す知見だという。
ヒトに伝播して変異型ヤコブ病(vCJD)を引き起こす原因となった牛海綿状脳症(BSE)のなかには、従来型のBSEとは異なる性状の非定型BSEが確認されていた。
非定型BSEは、おもに老齢牛に発生し、全世界で100例ほど認められている。発生起源は不明で孤発性と考えられているが、ヒトへの伝達性は明らかにされていないなど科学的知見が乏しいことからOIE(国際獣疫事務局)のBSEのリスクステータス認定の評価事項からは除かれている。 動物衛生研究所は、この非定型BSEの性状解明を進めてきており、このほど継代培養すると、新たな性状のBSEプリオンが出現する現象を確認した。
実験は、カナダで確認されたH型非定型BSEの材料を牛型マウスに脳内接種して伝達性などを確認した。H型非定型BSEは脳内接種後、223日の潜伏期間を経て、臨床症状として運動失調が見られるなど、伝達が成立することが確認されていた。今回はこの伝達が成立したマウスの脳を材料に別のマウスに脳内接種することを4代続けたところ、従来型や非定型よりも潜伏期間が短かったり、蓄積した異常プリオンたん白質が従来型BSEプリオンに近くなったりしていることなどが分かったという。
実験結果は、H型非定型BSEが動物で伝達を繰り返すと新たなBSEプリオンが出現する可能性があることを示した。
非定型BSEは孤発性とされることからその発生を排除することは難しい。しかし、動物衛生研究所は、今回の実験結果が「非定型BSEは"孤発性"で終わらせることが重要であることを示した」として、BSE対策はプリオンを循環させないよう「やはり肉骨粉など使用しない飼料規制が重要で、現行の管理措置が必要であることを示している」と指摘している。
重要な記事
最新の記事
-
トランプ関税で米国への切り花の輸出はどうなる?【花づくりの現場から 宇田明】第58回2025年4月24日
-
三島とうもろこしや旬の地場野菜が勢ぞろい「坂ものてっぺんマルシェ」開催 JAふじ伊豆2025年4月24日
-
積雪地帯における「麦類」生育時期 推定を可能に 農研機構2025年4月24日
-
日本曹達 微生物農薬「マスタピース水和剤」新たな効果とメカニズムを発見 農研機構2025年4月24日
-
棚田の魅力が1枚に「棚田カード」第5弾を発行 農水省2025年4月24日
-
日本生協連「フェアトレード・ワークプレイス」に登録2025年4月24日
-
旭松食品「高野豆腐を国外へ広める活動」近畿農政局 食の「わ」プログラムで表彰2025年4月24日
-
群馬県渋川市の上州・村の駅「お野菜大放出祭」26日から 9種の詰め放題系イベント開催2025年4月24日
-
JA蒲郡市と市内の飲食店がタッグ 蒲郡みかんプロジェクト「みかん食堂」始動2025年4月24日
-
適用拡大情報 殺菌剤「バスアミド微粒剤」 日本曹達2025年4月24日
-
倍率8倍の人気企画「畑でレストラン2025」申込み開始 コープさっぽろ2025年4月24日
-
農業・食品産業技術開発の羅針盤「農研機構NARO開発戦略センターフォーラム」開催2025年4月24日
-
雪印メグミルク、北海道銀行と連携「家畜の排せつ物由来」J-クレジット創出へ酪農プロジェクト開始 Green Carbon2025年4月24日
-
山椒の「産地形成プロジェクト」本格始動 ハウス食品など4者2025年4月24日
-
絵袋種子「実咲」シリーズ 秋の新商品9点を発売 サカタのタネ2025年4月24日
-
『花屋ならではの農福連携』胡蝶蘭栽培「AlonAlon」と取引 雇用も開始 第一園芸2025年4月24日
-
果実のフードロス削減・農家支援「氷結mottainaiプロジェクト」企業横断型に進化 キリン2025年4月24日
-
わさびの大規模植物工場で栽培技術開発 海外市場に向けて生産体制構築へ NEXTAGE2025年4月24日
-
サラダクラブ「Grower of Salad Club 2025」最優秀賞6産地を表彰2025年4月24日
-
22世紀の食や農業の未来に「あったらいいな」を募集第三回「未来エッセイ2101」AFJ2025年4月24日