補給金1㎏あたり10.56円-29年度2016年12月19日
農林水産省は12月16日、食料・農業・農村政策審議会畜産部会に対して29年度畜産物価格について諮問を行い、同日受けた答申をふまえ畜産物価格等を決めた。
29年度の畜産物価格決定では、加工原料乳生産者補給金制度の見直しにともなう補給金単価と交付対象数量が焦点となった。
加工原料乳生産者補給金は生産コストと乳製品向け乳価との差を補てんするもので、現在は脱脂粉乳・バター、チーズを対象に交付している。28年度の交付金単価は「脱脂粉乳・バター」は1kg12.69円、「チーズ」は同15.28円とされた。交付対象数量は脱脂粉乳・バターは178万t、チーズ向けは52万tとしていた。
この制度については昨年秋のTPP大筋合意を受けて策定された「TPP関連政策大綱」で見直すことになった。具体的には生クリーム等の液状乳製品を補給金の対象に追加し、補給金単価を一本化すること。
今回は液状乳製品を対象に追加した補給金単価と交付対象数量を農水省が審議会に説明し了承を得た。
単価は1kg10.56円で一本化。交付対象数量は350万tとした。27年の生クリーム仕向け実績は127万tでこれに脱脂粉乳・バターとチーズの実績を合わせると334万tとなることから、3用途合算で350万tとした。 新制度では交付対象数量は用途別の設定はしない。農水省は用途別の対象数量を設定しないことで「需要に応じた乳製品の生産が促進され、バター不足解消の一翼になる」としている。交付対象数量350万tの予算所要額は370億円となる。
◆豚肉価格17年ぶり下げ
食肉の価格安定制度は、(独)農畜産業振興機構の需給操作などを通じて安定価格帯の幅のなかに卸売価格を安定させる仕組み。価格の乱高下を防ぎ、消費者への安定供給を図るとともに、生産者への経営安定に資することが目的である。
29年度は豚肉の安定上位価格は1kg595円(前年度▲5円)、安定基準価格は同440円(同▲5円)となった。豚肉の政策価格が前年より引き下げられたのは平成12年度以来、17年ぶり。豚肉は生産費のうち飼料費が7割を占める。そのため飼料費が下がった今年は政策価格算定の引き下げ要因となった。
一方、牛肉の安定上位価格は1kg1215円(同+60円)、安定基準価格は同900円(同+10円)となった。牛肉生産でも飼料価格は低下したが、コストに占める割合の大きい子牛(素畜)価格の記録的な高騰が影響し18年連続で値上げとなった。
肉用子牛価格が低落して保証基準価格を下回った場合に補給金を交付する肉用子牛生産者補給金制度は、子牛価格が保証基準価格を上回っているため、平成25年度第2四半期以降は交付されていない。29年度は「黒毛和種」の保証基準価格1頭33万9000円(前年度比+2000円)、合理化目標価格同28万2000円(同+2000円)、「交雑種」の保証基準価格同21万円(同+5000円)、合理化目標価格同15万2000円(同+5000円)などと引き上げとなった。
国の交付金だけでなく生産者積立金も財源として交付する基準となる合理化目標価格の適用期間は29年4月1日から30年3月31日までとする。
なお、審議会への諮問事項ではない鶏卵の補てん基準価格と安定基準価格について同省は同日に決定、公表した。この制度は鶏卵の標準取引価格(月毎)が補てん基準価格を下回った場合、その差額(補てん基準価格と安定基準価格の差額が上限)の9割を補てんするもの。事業への協力金の拠出が要件となっている。
29年度の補てん基準価格は1kg187円(前年度比▲2円)、安定基準価格は同165円(同▲4円)となった。鶏卵生産費では飼料費が7割を占める。飼料費が下がったことから基準価格の引き下げとなった。
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