低蛋白質飼料で窒素濃度65%に減2017年2月10日
アミノ酸バランス改善飼料
豚舎汚水処理水中の全窒素濃度約65%に減
農研機構ほか
農研機構は、茨城県畜産センター、味の素アニマル・ニュートリション・グループ(株)、住友化学(株)アニマルニュートリション事業部との共同研究で、肥育豚へのアミノ酸バランス改善飼料(アミノ酸のバランスを改善した低蛋白質飼料)の給与が、豚舎汚水処理水の水質改善に有用であることを2月6日に公表した。各飼料メーカーから販売されている環境保全型飼料で同様の効果が期待できる。
豚舎汚水に含まれる窒素は、浄化処理で低減した後処理水として排出される。この処理水中の全窒素濃度は水質汚濁防止法で厳しく制限され、平成28年には「硝酸性窒素等」の排出基準が引き下げられた。これについて、浄化処理能力を向上した設備の向上でも対応できるが、更新や改修には費用がかかる。
研究では、茨城県の銘柄豚に肥育前期と肥育後期の全飼養期間(3~4か月)でアミノ酸バランス改善飼料の給与を行った。
結果、肥育も枝肉格付けも慣行飼料給与と同様の成績で生産性に影響がないまま、豚舎汚水処理水中の全窒素濃度が慣行飼料給与時に比べ約65%に削減できることが分かった。さらに、浄化処理過程で発生する温室効果ガス(一酸化二窒素)は慣行飼料給与時に比べ約17%に低下し、、環境にやさしい畜産業にも貢献できることが判明した。
研究担当者は、「これまでも環境保全型飼料は販売されているが、生産者の方々にとっては、肉の品質が落ちるのではないかと不安の声があった。今回、生産性にそん色がないことが判明した」と話す。
豚肉生産では、必要アミノ酸を穀類などで補おうとし多量の穀類などを食べさせているが、必要でない部分は尿として排出されるため、汚水処理に負荷が大きかった。今回与えたアミノ酸バランス改善飼料(表)は慣行飼料よりタンパク質含量が3%低く、4種類の必須アミノ酸(リジン、メチオニン、スレオニン、トリプトファン)を添加した配合飼料。価格は成分調整方法と原料価格からみて慣行飼料と同等か、少し安価になる可能性がある。
(表)農研機構提供
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