29年度生乳生産 前年度下回る見込み2017年6月2日
Jミルク需給見通し
(一社)Jミルクが5月25日に示した29年度の生乳及び牛乳乳製品の需給見通しによると、全国の生乳生産量は年度を通して前年を割り込んで推移する見通しで、生産現場では飼養管理などの一層の徹底で生産量の減少を最小限にとどめる工夫が課題だとしている。
生乳生産量は北海道ではほぼ前年並み(389.3万t、前年比99.9%)の見通しとなっている。生産の主力である2~4歳の乳牛頭数が下期には前年水準に回復する見込みだが、昨年夏の台風被害による飼料品質の低下などで乳牛1頭あたり乳量が昨年11月から前年を下回って推移しており、今春の分娩予定頭数も前年を下回る見込み。
都府県では前年度を下回る(334.9万t、同97.1%)見通し。26年度以降、乳用牛への黒毛和種交配率が高止まりしていることから、乳牛頭数(2~4歳)が引き続き減少する。そのため全国の生乳生産量は前年度を下回る(724.2万t、同98.6%)見通しとなっている。
Jミルクは生産現場では引き続き、乳牛の供用年数の延長や事故率低減など乳用牛能力を最大限発揮する飼養管理の一層の徹底と、暑熱事故の防止策を早めに講じるなどの工夫が必要だとしている。
都府県の生乳生産量は減少する見込みだが、牛乳等需要量はほぼ前年並みで推移する見通しであることから、都府県の生乳需給はひっ迫基調で推移するとしている。とくに天候要因による生乳生産や牛乳需要の変動によっては、都府県の需給がタイトになる恐れもあるとして、関係者はより緊密な需給情報の共有に努めるとともに、牛乳需要に対する弾力的な供給体制をより早期に構築して安定供給に努める必要があるとしている。
脱脂粉乳の生産量は前年度を下回る(11.6万t、同94.4%)見通し。バターの生産量も前年度を下回る(6万t、同94.5%)見通し。現在、脱脂粉乳1.3万tとバター1.8万tの輸入製品が順次売り渡されていることから当面の大きな需給の混乱はないという。
ただ、年度末の在庫量はバターは前年度末にくらべて4700t増加して2万9700tとなるが、脱脂粉乳は在庫が同▲7500tの4万700tとなる見込み。
こうしたJミルクの需給見通しを受けて、同日、農林水産省はバターの輸入枠は変更しないものの、脱脂粉乳を利用したヨーグルトの生産量が増加していることから今後も消費量の増加が見込まれ、当初の輸入枠1万3000tに2万1000t(生乳換算13万6080t)を上乗せした3万4000t(生乳換算22万320t)とすることを決めた。
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