新たな飼料添加物「Bovaer」乳牛の温室効果ガス排出を大幅削減 DSM2021年2月9日
グローバル・サイエンス企業のRoyal DSMは、同社が開発した新しい飼料添加物「Bovaer」が、オランダで行われた試験で乳牛の温室効果ガス排出を大幅に削減することが実証された。食肉、牛乳、その他の酪農製品で、環境フットプリントの迅速で大幅な削減に貢献できる可能性がある。
メタン抑制剤Bovaerの試験は、オランダの酪農チェーンに携わるDSM、ワーゲニンゲン大学、FrieslandCampina社、Royal Agrifirm Group、De Heus Animal Nutrition社、ForFarmers社で構成されるコンソーシアムが実施。試験期間は3か月で、レーワルデンにあるWageningen Livestock Researchの酪農試験場であるDairy Campusで行われた。同試験は、ワーゲニンゲン大学の畜牛ニュートリション専門家チームによる監修と、Dairy Campusイノベーション基金の支援により実施。
同試験では、オランダのさまざまな地域で一般的に見られる手法である牧草サイレージとコーンサイレージを3種類の配合率で粗飼料に混ぜたものに対し、Bovaerを2種類の分量で添加し、メタンの削減量を調査。泌乳中期のホルスタイン・フリーシアン種64頭を調査対象とし、配合の異なる飼料にそれぞれメタン抑制剤を補給し、その効果を調査した。
オランダの年間栄養サイクル評価の気候モジュール/二酸化炭素排出モニターでBovaerの認可を得るには、この試験の情報が必須で、欧州全域で適用可能な情報となる。
メタン排出を27~40%削減
コーンサイレージを含まない粗飼料に低用量のBovaer(60mg/kg DM)を加えた場合のメタン削減率は27%。一方、コーンサイレージ80%の乾物粗飼料に低用量のBovaerを加えた場合のメタン削減率は35%に増加した。
Bovaerの添加量を少し増やした場合(80mg/kg DM)は、メタン削減率が29~40%。これらの結果から、農家にとって、Bovaerを使った場合の効果は明らか。また、政府や温室効果ガスインベントリ作成機関にとっては、Bovaerを使うことで、腸内メタンの削減量に関して説明でき、農家は、サステナビリティへの貢献に対して、認証などの対価に、役立てられる。
飼料添加物Bovaerは、DSMが10年以上の年月を費やして研究、開発した、乳牛などの養牛、羊、ヤギなどの反芻動物向けの飼料添加物。牛1頭1日あたり、小さじ1/4杯のBovaerを与えると、腸内メタンの排出量を約30%削減。その結果、食肉・牛乳・その他酪農製品における環境フットプリントの迅速で、大幅な削減に貢献する。
DSMは、をさまざまな地域でBovaerとして商標登録し、現在、各国の酪農・牛肉バリューチェーン各社との協業により、上市に向けた準備を進めている。具体的には、現地のビジネスシステムにおける有効性を確認するための共同試験、低炭素酪農製品の共同開発、ビジネスモデルの確立などに取り組んでいる。
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