広島にブランド地鶏を「東広島こい地鶏」誕生 広島大学が開発2021年3月22日
東広島市農林⽔産課の東広島ブランド地鶏開発振興協議会と広島⼤学は、“最上の肉質”をコンセプトに新たな種鶏によるブランド地鶏を開発。このほど共同研究が完了し、「東広島こい地鶏」が誕生した。
⽐内地鶏や薩摩地鶏など、地域特有の地鶏を広島県につくろうと、広島⼤学東広島キャンパスは約7年前から、"最上の⾁質"をコンセプトとする全く新しいニワトリ、「広⼤鶏」の開発を開始。⽇本鶏資源資源開発プロジェクト研究センターが所有する貴重なニワトリ資源を活用し、「広⼤鶏」を基にした新たな地鶏として「東広島こい地鶏」の開発が東広島市で始まった。
平成30年度から3年間の共同研究期間中には、市内の複数の生産者の協力で、約2200羽の試験飼育を実施。試験飼育を行ったモデル鶏を用いて、増体性や肉質分析等のデータを蓄積するとともに、食味官能試験や外部モニタリング評価等を重ねてきた。
「東広島こい地鶏」は、「広⼤鶏」のオスと「ロードアイランドレッド」のメスの交配種(F1)。在来種の血液百分率は100%で、地鶏⾁のJAS規格で定める飼育⽅法に則り生産が行われる。今後、JAS認証を取得すれば、「東広島こい地鶏」は広島県で初のJAS認証地鶏となる。また、「広⼤鶏」は⽇本で初めて⼤学がライセンスを保有する鶏となり、東広島市にしかない特別な地鶏となる。
「東広島こい地鶏」は、くちどけのよい良質な脂肪酸と程よい噛み応えが特徴。和⽜にも含まれるオレイン酸やリノール酸など、融点の低い不飽和脂肪酸を⾼い割合で含んでおり、⼝に含むと脂が溶け出す。また、近年、地鶏⾁の旨味に関係していると報告されたアラキドン酸を豊富に含み、深い旨味がある。
地鶏肉の特徴といえばしっかりとした⻭ごたえ。「東広島こい地鶏」の⾁はあまり固くなりすぎず、程よい⻭ごたえがある。また、試験使用した市内の飲食店からは「ガラで取ったスープは絶品」と⾼い評価を得ている。東広島市内で飲食店を経営する武林さんは「煮てもよし、焼いてもよし。皮も美味しく食べられる。焼き鳥などだけでなく、美味しい脂が出るのでスープにして水炊きなどでも提供したい。販売が待ち遠しい」と話し、新しいブランド地鶏の誕生に期待を寄せていた。
ネーミングの「こい」には、旨味が"濃い"、何度も⾷べたくなる"恋"しくなる味、東広島に⾷べに"来い"、広島カープの"鯉"の4つのこいを込めた。また、東広島市にはこれまで市の名前を名乗るブランド産品がなかったため、初めて「東広島市」を冠し、同市を代表するブランド産品として育てていく。
「広⼤鶏」の管理と「東広島こい地鶏」生産体制構築のため、広島⼤学の研究者が広島⼤学発ベンチャー、Gallus JAPAN(ガルス・ジャパン)株式会社を起業。今後、同社を中⼼に、初年度の令和3年度は約3000羽からスタートし、約5年以内に3万羽の生産体制を構築する。また、市内飲食店を中心に令和4年開設予定の「道の駅西条のん太の酒蔵」などへの販路拡大をめざす。
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