「放牧」に学ぶ NZ北海道酪農協力プロジェクト WEBセミナー実施2021年7月7日
ニュージーランド政府、フォンテラジャパン株式会社、ファームエイジ株式会社が主体のニュージーランド北海道酪農協力プロジェクトは6月23日、放牧酪農に関するWEBセミナー「放牧酪農WEBセミナー Vol.03」を開催。2021年開催の最終回となった同セミナーは酪農家、関係団体など、北海道と全国から参加があり、定員50人のところ過去最高の80人以上が参加した。
当日は、ニュージーランドにおける最高レベルの放牧草管理をテーマに、NZコンサルタントからのアドバイスと、ディスカッションを行い、参加者からは、多くの質問が寄せられ、活気にあふれた90分となった。
講義は、毎年道内各地の牧場を訪れ、指導を行っているコンサルタントのガビン・シース博士が放牧の原理原則である最高品質の放牧管理技術について講義。「放牧における草の需要と供給の関係性」と、ニュージーランドで用いられている「フィードバジェット」という手法を用いた放牧地の管理について説明した。また、牧草の高さと生長量や、放牧前後の草量に応じたローテーションに必要な日数や地域差など放牧計画や、放牧草の状態と品質の関係について解説した。
ディスカッションでは、ありがとう牧場(北海道足寄町)の吉川さんが、「放牧草の管理技術について」最近の変化を報告。吉川さんは「以前は、放牧前と後の草量をライジングプレートメーターで測定していたが、今は細かい数値判断ではなく、長靴を使って、丁度良さそうなところに放牧するよう意識している。今年は借用地が借りることができず、頭数を少し減らした。放牧圧が高めだが、結果的にその影響もあってか、草の品質が良くなったと感じる」と話した。また、高原牧場(北海道天塩町)の高原さんからは「昨年は土壌凍結でペレニアルライグラスがだいぶ減った。追播はしているが定着が弱い。そのためオーチャードグラスが優先してしまい、プレートメーターの測定値がずれてしまっている」と最近の変化について報告があった。
初回から、持続可能な農業として「放牧」という手段があることを提示してきた同セミナー。この日のまとめで、日本と北海道における「放牧」の今後について、コンサルタントのキース ベタリッジ氏は、「これからの農業において、自給飼料をどのように賄っていくか、家畜福祉をどのように考えていくか、さらには機械の使用、作業員の労働環境も考えていくことも重要になっている」と話し、日本で「放牧」を行うことが所得が高い経営手段となるだけでなく、ライフスタイルの選択肢として確立していけば、新規就農者が増えていく可能性もあるとしている。また、放牧から生まれたグラスフェッドミルクも科学的に栄養価が高いとされていることから、消費者へアピールする要素も示唆。さらに、「NZの農家はコンサルタントとのアドバイスを基に決断を行うため、このようなサポート体制も今後日本で必要になってくる」と指摘した。
放牧計画について
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(138)-改正食料・農業・農村基本法(24)-2025年4月19日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(55)【防除学習帖】第294回2025年4月19日
-
農薬の正しい使い方(28)【今さら聞けない営農情報】第294回2025年4月19日
-
若者たちのスタートアップ農園 "The Circle(ザ・サークル)"【イタリア通信】2025年4月19日
-
【特殊報】コムギ縞萎縮病 県内で数十年ぶりに確認 愛知県2025年4月18日
-
3月の米相対取引価格2万5876円 備蓄米放出で前月比609円下がる 小売価格への反映どこまで2025年4月18日
-
地方卸にも備蓄米届くよう 備蓄米販売ルール改定 農水省2025年4月18日
-
主食用МA米の拡大国産米に影響 閣議了解と整合せず 江藤農相2025年4月18日
-
米産業のイノベーション競う 石川の「ひゃくまん穀」、秋田の「サキホコレ」もPR お米未来展2025年4月18日
-
「5%の賃上げ」広がりどこまで 2025年春闘〝後半戦〟へ 農産物価格にも影響か2025年4月18日
-
(431)不安定化の波及効果【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年4月18日
-
JA全農えひめ 直販ショップで「えひめ100みかんいよかん混合」などの飲料や柑橘、「アスパラ」など販売2025年4月18日
-
商品の力で産地応援 「ニッポンエール」詰合せ JA全農2025年4月18日
-
JA共済アプリの新機能「かぞく共有」の提供を開始 もしもにそなえて家族に契約情報を共有できる JA共済連2025年4月18日
-
地元産小粒大豆を原料に 直営工場で風味豊かな「やさと納豆」生産 JAやさと2025年4月18日
-
冬に咲く可憐な「啓翁桜」 日本一の産地から JAやまがた2025年4月18日
-
農林中金が使⽤するメールシステムに不正アクセス 第三者によるサイバー攻撃2025年4月18日
-
農水省「地域の食品産業ビジネス創出プロジェクト事業」23日まで申請受付 船井総研2025年4月18日
-
日本初のバイオ炭カンファレンス「GLOBAL BIOCHAR EXCHANGE 2025」に協賛 兼松2025年4月18日
-
森林価値の最大化に貢献 ISFCに加盟 日本製紙2025年4月18日