畜産の重要寄生虫 野外で初めてカタツムリから幼虫を発見 岐阜大学など発表2021年7月15日
岐阜大学などの研究グループは、国内で感染経路が不明だった畜産の重要寄生虫である槍形吸虫の幼虫を、野外で初めて岐阜県で採取したカタツムリの一種オオケマイマイから発見。オオケマイマイが槍形吸虫の感染源である可能性が示された。
オオケマイマイ
同研究は、東邦大学の脇司講師と北海道大学の尾針由真博士研究員、岡山理科大学の林慶助教、岐阜大学の高島康弘准教授、森部絢嗣准教授、松尾加代子客員獣医学系教授(熊本県阿蘇保健所)の研究グループが発表した。
槍形吸虫は、牛などの家畜の寄生虫で、日本では様々な教科書に掲載されている畜産上重要な寄生虫だが、感染経路はよくわかっていない。この虫は、ヤマボタルガイというカタツムリの仲間からアリを経由して家畜に感染すると考えられてきたが、ヤマボタルガイのほとんどいない地域でも、ニホンジカなどの野生動物から高率に槍形吸虫の感染が確認できる。また、実際に野外でヤマボタルガイやアリから虫体を見つけた例はこれまでなかった。
オオケマイマイから得られた槍形吸虫のスポロシスト スケール:200 μm.
そこで、研究グループは、ヤマボタルガイの見当たらない岐阜県下で様々なカタツムリの体内を調べたところ、オオケマイマイというカタツムリから槍形吸虫(Dicrocoelium chinensis)の未熟な幼虫を発見。脇講師は「オオケマイマイは中部のいろいろな場所に生息する。今後、このカタツムリから完全に成熟した幼虫が確認されれば、オオケマイマイが主な感染源と言えるようになるのでは。今後も調査を続けたい」とコメントしている。
"蟻さんが、槍をふりふり、蛍狩り"というフレーズは、ヤマボタルガイとアリが感染源になっていることを表す「槍形吸虫の生活史」を覚えるために獣医を志す学生が使う語呂合わせ。「蛍」は「ヤマボタルガイ」のことだが、今後の研究結果によって、この語呂も変わっていくかもしれない。
同研究成果は7月10日、科学誌「The Journal of Veterinary Medical Science」で発表された。
重要な記事
最新の記事
-
米価 過去10年で最高値 60kg1万5865円 対前年比114%2024年7月17日
-
【東京農業大学鼎談】実学主義の価値(2)DX戦略にも地域色拡充2024年7月17日
-
【東京農業大学鼎談】実学主義の価値(3)JAは食・農の好循環先導を2024年7月17日
-
「小さな協同」実践 JA松本ハイランドの自己改革 新世紀JA研究会全国セミナー2024年7月17日
-
「きっトラ」と「もし寅」【小松泰信・地方の眼力】2024年7月17日
-
【訃報】生活クラブ生協連の加藤好一顧問が逝去2024年7月17日
-
【人事異動】農水省(7月16日付)2024年7月17日
-
【注意報】ナシ、ブドウなどに果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 三重県2024年7月17日
-
ガチャピン・ムックとコラボ「ニッポンエール」グミ発売 JA全農2024年7月17日
-
日本農業の未来をけん引する人材育成へ 宮城県加美農業高校とNTT東日本グループが連携2024年7月17日
-
唐沢農機サービス「夏の大展示会」開催 200台を超える農機具を展示2024年7月17日
-
【注意報】大型斑点米カメムシ類、カスミカメムシ類による斑点米発生に注意 千葉県2024年7月17日
-
【注意報】水稲に斑点米カメムシ類 県下全域で多発のおそれ 岩手県2024年7月17日
-
「第3回 全国桃選手権」開催 全国から45品がエントリー 日本野菜ソムリエ協会2024年7月17日
-
ハウス栽培向け環境制御システムのラインアップを拡充 クボタ2024年7月17日
-
【役員人事】石巻埠頭サイロ(4月1日付)2024年7月17日
-
葉の光合成速度の低コスト・低労力・高速推定法を開発 農研機構2024年7月17日
-
表参道で佐賀県産「いちごさん」絶品ひんやりスイーツ「いちごさんどう2024夏 」開催2024年7月17日
-
長野県塩尻市と山口県岩国市の歴史的風致維持向上計画を認定 農水省など2024年7月17日
-
生とうもろこしまるかじり 昭和村で農業体験開催 パルシステム群馬2024年7月17日