グアーガム分解物が豚の腸内環境を改善 生産性を向上 太陽化学2021年11月10日
摂南大学農学部応用生物科学科の井上亮教授と太陽化学らによる研究グループは、グアーガム分解物が豚の腸内環境を改善し、生産性を向上させることを明らかにした。
これまで畜産業界では、病原微生物による感染抑制や成長促進のために抗菌薬が使われてきた。しかし、薬剤耐性菌の出現に対する懸念から、抗菌薬の使用が禁止されるようになり、その代替としてプロバイオティクスを使ったり、プレバイオティクスを飼料に添加して外因性のプロバイオティクスや内因性の腸内細菌の両方を最大限に増やしたりする試みが行われている。
グアーガム分解物(Partially Hydrolyzed Guar Gum:PHGG)は、水溶性食物繊維で、ヒトやマウスなどにおいて優れた腸内環境改善作用が示されているプレバイオティクス。家畜への有効性については十分に検証されていなかったため、同研究グループはグアーガム分解物の肉豚への有効性について検証した。
研究方法としては、一般農場の594頭の仔豚を2つのグループに分け、離乳から出荷までの約半年間、コントロール群には通常の飼料を与えた。一方、PHGG群にはPHGGを0.06%含む飼料を与えた。試験開始から1か月後と3か月後に各群20頭ずつから糞便を採取し、腸内細菌叢と腸内細菌の代謝産物である短鎖脂肪酸を調べ、出荷するまでの死亡率と出荷日数を比較した。
この結果、PHGGの摂取により、肉豚の成長促進への関与が示唆されるPrevotella属菌やLactobacillus属菌などの腸内細菌が増え、有害菌と考えられているStreptococcus属菌などが減少。また、PHGGの摂取により、酢酸、プロピオン酸、酪酸などの短鎖脂肪酸が有意に増加した。
さらに、離乳から出荷までの死亡・淘汰率がほぼ半減。出荷日数が約11日も短縮するなど、顕著な生産性向上作用もみられた。以上のことから、PHGGは肉豚の腸内環境改善を介して豚の健康維持や体重増加に寄与すると考えられる。
同研究ではPHGGの肉豚の腸内環境改善作用や生産性向上に対する有効性が示された。今後、さらなる検証を重ねることで、PHGGの家畜の健康維持や生産性向上への活用が期待される。
同研究結果は、学術誌「Pathogens」のSpecial Issue "Modulation of Gut Microbiota & Microbiome in Pigs"で発表された。
重要な記事
最新の記事
-
新春特別講演会② 地域のつながり大切に 全国こども食堂支援センター・むすびえ理事長 湯浅誠さん2025年2月6日
-
米の生産目安「各県で需要動向分析を」山野JA全中会長2025年2月6日
-
【特殊報】マンゴーにリュウガンズキンヨコバイ 農作物で初めて発生を確認 沖縄県2025年2月6日
-
JAいるま野DX事例公開! 受注業務の手入力をAI-OCRに切り換え「38人→4人」の省人化を実現 PFU2025年2月6日
-
飼料用米 地域実態ふまえ政策位置づけを 食農審企画部会2025年2月6日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】米価高騰の議論で見落とされていること2025年2月6日
-
シャインマスカット栽培の課題解決へ「ハウスぶどう防除研究会」岡山で開催 JA全農2025年2月6日
-
かんきつ栽培の課題解決へ「ハウスみかん防除研究会」岡山で開催 JA全農2025年2月6日
-
フルーツ王国ふくしま「ゆうやけベリー・県産いちご」収穫フェア JA東西しらかわ直売所で開催2025年2月6日
-
丸全昭和運輸、シンジェンタジャパン及び三井化学クロップ&ライフソリューションと共同配送に向けた検討を開始2025年2月6日
-
特定外来生物ナガエツルノゲイトウ 水稲移植栽培での除草剤による防除技術を開発2025年2月6日
-
外食市場調査12月度市場規模は3563億円 コロナ禍前比88.2%で2か月連続後退2025年2月6日
-
佐野プレミアム・アウトレットで栃木県産のいちごフェア開催 いちご大使のコリラックマも登場 JA全農とちぎ2025年2月6日
-
豆腐づくりの原点に返った「職人(クラフト)豆腐」新発売 温豆乳を使用する新製法開発 アサヒコ2025年2月6日
-
岐阜、福島、静岡のこだわり"いちご"でパフェやデザート 「資生堂パーラー銀座本店サロン・ド・カフェ」の2月限定メニュー2025年2月6日
-
鳥インフル 米サウスダコタ州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年2月6日
-
鳥インフル ポーランドからの家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年2月6日
-
トラクタ、コンバイン、乗用全自動野菜移植機を新発売 クボタ2025年2月6日
-
農業・観光・教育の機能備えた再エネ発電所建設へ クラファン第2期開始 生活クラブ2025年2月6日
-
日本最大級「パンのフェス」関西初上陸 大阪で3月開催 出店第1弾発表2025年2月6日