牛乳1日1杯で脳梗塞予防の可能性-岩手医科大 丹野特任教授2021年12月23日
牛乳1日1杯で脳梗塞予防の可能性があることを岩手医科大の丹野高三特任教授が発表している。
丹野教授は岩手県北地域で研究に参加した1万4000人あまりのデータを10年間追跡して解析した。
研究参加者にはコップ1杯の牛乳を飲む頻度を回答してもらい、脳卒中発症リスクとの関連を明らかにした。
その結果、脳梗塞発症リスクについて、女性では牛乳摂取頻度が週2杯未満のグループに比べて、週7杯以上12杯未満のグループで47%のリスク低下が認められた。男性では統計学的に有意なリスクの減少は見られなかった。
丹野特任教授によると、この研究では牛乳を飲む人は牛乳を飲まない人にくらべて、喫煙者や大量飲酒する人が少なく、運動習慣があり、魚・大豆、野菜、果実を摂る人が多い傾向が見られたという。
これらの習慣は脳卒中の予防因子であり、牛乳を1日1杯飲む人の健康的な生活・食習慣が発症リスク低下に影響した可能性が考えられるとみる。
一方で牛乳に多く含まれるカリウム、カルシウム、マグネシウムは血圧を下げる効果があることが知られている。この研究でも牛乳を飲む人は血圧が低い傾向が見られたという。高血圧は脳卒中発症の最大の危険因子で、牛乳に含まれるミネラルによって血圧上昇が抑制され発症リスクが低下した可能性があると丹野教授は指摘している。
男性では明確な関連が見られなかったが、男性は喫煙や大量飲酒といった危険因子を持っている人が多かったことから牛乳摂取の影響を見出しにくかった可能性があるという。今後、さらなる研究が必要だとしている。
この研究は(一社)Jミルクと、健康科学・社会文化・食育の各分野の研究者らでつくる「乳の学術連合」の研究助成を受けて実施、国際科学雑誌「Nutrients」に掲載された(10月25日)。
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