発電細菌を利用した排水処理監視システムを実用化 山形東亜DKK2022年2月8日
農林水産業や食品産業の分野で新産業の創出や技術革新を目指す研究に資金を提供する生研支援センターは、山形東亜DKKが開発し、2021年7月に発売した養豚場の排水の効率的な浄化処理を可能にする「BOD監視システム」について紹介している。
持続可能な養豚経営を実現するには、養豚地帯の水環境の保全が重要で、養豚場の排水を効率的に浄化処理する技術が求められている。その解決策として開発された「BOD監視システム」は、自然界に広く存在する発電細菌を活用した画期的な排水処理監視システムで、農研機構畜産研究部門や山形東亜DKKなどが開発した。有機物を分解する際に電流を発生させる発電細菌の性質を利用したことが特徴。排水の汚れ具合を短時間で測定しながら浄化処理装置を制御でき、その情報をスマートフォンで閲覧できる。年々厳しくなる窒素の排水基準にも対応可能で、今後、全国の養豚場への普及が期待されている。
畜舎の排水を河川などに放流できるように浄化処理する方法として、活性汚泥法が普及している。これは、排水に空気を送り込むばっ気操作で、微生物の働きを活発にし、窒素などの汚濁物質を除去・分解する方法。この処理法では、排水の汚れ具合の指標となるBOD(生物化学的酸素要求量)の測定に5日間程度かかるため、日々変動する排水の汚れ具合に合わせて、効率良くばっ気する方法がないことが課題となっている。「BOD 監視システム」は、BODの測定時間を6時間程度と大幅に縮め、効率的な排水処理を実現する。
排水処理にかかる使用電力を節約できることも大きなメリットで、山形県農業総合研究センターなど4か所の養豚排水処理施設で試験したところ、ばっ気時間は従来に比べて約3割減少。電気代は母豚100頭当たり月に約1万3000円を削減でき、トータルの維持管理費用でも約3割のコスト削減が実証された。
BOD監視システムを開発した山形東亜DKKは2021年11月、経済産業省東北経済産業局が主催する「TOHOKU DX大賞」で優秀賞(製品・サービス部門)を受賞。「IoT の活用によって、遠隔監視・制御を可能とする畜産排水処理監視システムを開発した」ことが受賞理由で、モノ同士が双方向でデータをやりとりするIoTを活用することにより、コロナ禍のテレワーク対応を可能とする技術という点も評価された。同システムは既存の浄化処理施設にも設置できる。価格はIoTなどの機能が付いて260万円程度(設置工事費は別)。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(139)-改正食料・農業・農村基本法(25)-2025年4月26日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(56)【防除学習帖】第295回2025年4月26日
-
農薬の正しい使い方(29)【今さら聞けない営農情報】第295回2025年4月26日
-
1人当たり精米消費、3月は微減 家庭内消費堅調も「中食」減少 米穀機構2025年4月25日
-
【JA人事】JAサロマ(北海道)櫛部文治組合長を再任(4月18日)2025年4月25日
-
静岡県菊川市でビオトープ「クミカ レフュジア菊川」の落成式開く 里山再生で希少動植物の"待避地"へ クミアイ化学工業2025年4月25日
-
25年産コシヒカリ 概算金で最低保証「2.2万円」 JA福井県2025年4月25日
-
(432)認証制度のとらえ方【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年4月25日
-
【'25新組合長に聞く】JA新ひたち野(茨城) 矢口博之氏(4/19就任) 「小美玉の恵み」ブランドに2025年4月25日
-
水稲栽培で鶏ふん堆肥を有効活用 4年前を迎えた広島大学との共同研究 JA全農ひろしま2025年4月25日
-
長野県産食材にこだわった焼肉店「和牛焼肉信州そだち」新規オープン JA全農2025年4月25日
-
【JA人事】JA中札内村(北海道)島次良己組合長を再任(4月10日)2025年4月25日
-
【JA人事】JA摩周湖(北海道)川口覚組合長を再任(4月24日)2025年4月25日
-
第41回「JA共済マルシェ」を開催 全国各地の旬の農産物・加工品が大集合、「農福連携」応援も JA共済連2025年4月25日
-
【JA人事】JAようてい(北海道)金子辰四郎組合長を新任(4月11日)2025年4月25日
-
宇城市の子どもたちへ地元農産物を贈呈 JA熊本うき園芸部会が学校給食に提供2025年4月25日
-
静岡の茶産業拡大へ 抹茶栽培農地における営農型太陽光発電所を共同開発 JA三井リース2025年4月25日
-
静岡・三島で町ぐるみの「きのこマルシェ」長谷川きのこ園で開催 JAふじ伊豆2025年4月25日
-
システム障害が暫定復旧 農林中金2025年4月25日
-
神奈川県のスタートアップAgnaviへ出資 AgVenture Lab2025年4月25日