札幌市内の森で都市近接型山地酪農の実験開始 ユートピアアグリカルチャー2022年2月24日
放牧牧場による自社牛乳や卵を使ったお菓子を企画・販売するユートピアアグリカルチャー(北海道沙流郡日高町)は、札幌市中央区盤渓で森林を再生させながら放牧酪農と養鶏を行う施設の設置・実験を行うプロジェクト「FOREST REGENERATIVE PROJECT」を開始。同社は、2021年にこの土地を取得し、北海道大学農学部内田研究室と共に行ってきた研究をさらに推進する場としてプロジェクトを企画した。
同プロジェクトは内田研究室を始め、施設の全体計画や設計には国内外で活躍する設計事務所DOMINO ARCITECTSが参加。また、ランドスケープの設計には、人と動植物が関わる「生命の循環」の研究と社会実装を目指す研究者の片野晃輔氏が参加する。さらに、施設で採れた卵を販売する自動販売機の企画設計には、東京2020オリンピック・パラリンピックで聖火台のエンジニアリングを担当したクリエイティブスタジオnomenaの武井祥平氏が加わり、地球と動物と人に美味しい環境作りを目指す研究施設を作る。
「FOREST REGENERATIVE PROJECT」は、「都市近接型で行う、多様な動物と植物による森の活性化実験のモデルファーム」。酪農の実務者は現場にいることが多いが、研究に関わるメンバーが牛の成長や土地の状態などをリサーチする場合は移動距離が長く、頻繁に通うことができない。そのため、札幌市内にある森林地帯の盤渓で、山地酪農について実験することになった。
日本の国土の約70%が森林だが、農水省の調査によると、その多くが林業事業者の減少などで整備が行き届いていない。そこで、牛は森林地帯でも育成可能であることから、放牧酪農の一種である山地酪農を活用し、温室効果ガス吸収能力を十分に発揮できない「死んだ森」に動物が入ることで生き返るかどうかを実験する。
事前リサーチで見つけた、多様な動物が森に入り込むことで炭素循環が進み、土壌の微生量が増え、さらには植物の多様性が上がり土壌が活性化するという先行研究をベースに実験を計画。数年かけて森林の成長や土壌の炭素循環、微生物の数値を記録・分析し森林の活性度を図る実験を行う。
さらに、今回の実験では自然をそのままに牛の力を活用するのではなく、人と動物と自然の関わりを模索するため、拡張性体系という考え方を用いて実施。土壌の栄養素の循環にも関わりながら動物の餌にもなり、これまでの盤渓にはなかった新たな植物を植えることで、自然の力を引き出す新たな森林の生態系作りも試す。
実験開始当初は、鶏舎が2棟と牛や馬が10頭程度休める場所と卵の出荷施設を作り、鶏の体に負担をかけない鶏卵を育て販売しながら、山地で酪農するためのノウハウを蓄積していく。
重要な記事
最新の記事
-
【注意報】ダイズ、野菜類、花き類にハスモンヨトウ 県内全域で多発のおそれ 滋賀県2025年9月19日
-
【浜矩子が斬る! 日本経済】トランプ流企業統治改変の怪しさと日本への影響2025年9月19日
-
【サステナ防除のすすめ2025】秋まき小麦防除のポイント 除草とカビ対策を2025年9月19日
-
農業土木・鳥獣対策でプロフェッショナル型キャリア採用 課長級の即戦力を募集 神戸市2025年9月19日
-
脱炭素時代の国際基準を日本で実装 小売業や生産資材の参画を拡大へ 農林中金「インセッティングコンソーシアム」2025年9月19日
-
(453)「闇」の復権【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年9月19日
-
「1粒1粒 愛をコメて」来年産に向けた取り組み 令和7年度 水稲高温対策検討会を開催 JA全農ひろしま2025年9月19日
-
JA全農主催「WCBF少年野球教室」熊本市で27日に開催2025年9月19日
-
「長崎県産和牛フェア」東京・大阪の直営飲食店舗で開催 JA全農2025年9月19日
-
大阪・関西万博で「2027年国際園芸博覧会展 未来につなぐ花き文化展示」開催 国際園芸博覧会協会2025年9月19日
-
東京科学大学と包括連携協定を締結 農研機構2025年9月19日
-
素材のおいしさ大切に 農協シリーズ「信州あづみ野のむヨーグルト」など新発売 協同乳業2025年9月19日
-
オートノマス水素燃料電池トラクタを万博で初披露 クボタ2025年9月19日
-
農業の未来を包装資材で応援「第15回 農業WEEK」出展 エフピコチューパ2025年9月19日
-
東尋坊から「崖っぷち米」大手スーパー「ベルク」と直取引で関東圏初進出 福井県坂井市2025年9月19日
-
京橋千疋屋と初コラボ 完熟キウイで「2色のゼスプリキウイ杏仁パフェ」登場 ゼスプリ2025年9月19日
-
まるまるひがしにほん「栃木のおいしさ発掘便」開催 さいたま市2025年9月19日
-
おいしい「ぶどう」日本一は長野県須坂市の横山果樹園「ピオーネ」 日本野菜ソムリエ協会2025年9月19日
-
農業用ビニールハウスの品質が評価「優秀FDI企業トップ20」などに選出 渡辺パイプベトナム2025年9月19日
-
鳥インフル カナダからの生きた家きん、家きん肉等の輸入を一時停止 農水省2025年9月19日