寒冷地で発酵熱70℃の安定処理を実証 凍結なく肉牛糞尿を完熟堆肥に JET2022年3月8日
急速発酵乾燥資源化装置システム「ERS」を製造・販売するJETは、2月に北海道のERS稼働現場で発酵乾燥物の温度計測を実施。その結果、外気温マイナス20℃の環境下でも、肉牛糞尿を発酵乾燥させた再生敷料の発酵熱が70℃に維持されていることを実証した。この安定処理により、寒冷地で畜産農家を悩ませる堆肥の凍結を防ぎ、病原菌等を死滅させて衛生的な成果物を確保できる。
通常の堆肥舎(上)とERS(下)の比較
「ERS」は、微生物のはたらきを活用した急速発酵乾燥装置。本体内部に定植した土着菌が50~60℃の発酵熱を発熱、内部を機械的に減圧して沸点が50~70℃となるように保つことで、糞尿の大腸菌及び種子などの有害菌を死滅させ、排水・悪臭を排出せず衛生的な環境を保ちながら、低含水率の高品質な再生敷料を一日で製造する。
一般的な堆肥化は3~6か月間におよぶ自然発酵でメタンガスを発生させるのに対し、同装置では密閉空間内で強制発酵させるため、数時間で処理を終えてメタンガスなどの温室効果ガスの排出も抑えられる。
今回実証を行った北海道河東郡士幌町にある瑛心キャトルフィールドの農場では、飼養する肉牛約700頭の糞尿処理のために、一般的な攪拌装置とエアレーション装置を用いた堆肥舎の導入を検討していた。しかし、堆肥舎内でも冬季には凍結により発酵が進まないこと、悪臭と汚水が発生すること、堆肥の提供先が無いことに懸念があった。
発酵熱の実証
そこで、JETの急速発酵乾燥資源化装置システム「ERS」を採用し、糞尿を発酵乾燥する再生敷料づくりを2021年9月に始めたところ、それまで敷料用に年間1200万円以上の費用を要したおが粉の購入は不要となった。また、自動化で糞尿処理にかかる時間や労力もかなり削減し、従業員のストレス軽減に繋がった。現在では、1日あたり12時間の稼働で約4トンの糞尿を敷料に再生し、自社の畜舎で活用している。
発酵熱の実証では、瑛心キャトルフィールドがERSを導入して初めて冬を迎えた2月に、外気温マイナス20℃に達する環境の下、JETが処理後の発酵乾燥物を温度計測したところ、約70℃の発酵熱を維持していることを確認。年間を通じて、病原菌などを死滅させるために十分な温度を保ち、衛生的な成果物を安定的に確保した。この結果に現場からは驚きと喜びの声があがっている。
ERSを導入した瑛心キャトルフィールド
重要な記事
最新の記事
-
【人事異動】農水省(7月16日付)2024年7月17日
-
【注意報】ナシ、ブドウなどに果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 三重県2024年7月17日
-
ガチャピン・ムックとコラボ「ニッポンエール」グミ発売 JA全農2024年7月17日
-
日本農業の未来をけん引する人材育成へ 宮城県加美農業高校とNTT東日本グループが連携2024年7月17日
-
【注意報】大型斑点米カメムシ類、カスミカメムシ類による斑点米発生に注意 千葉県2024年7月17日
-
【注意報】水稲に斑点米カメムシ類 県下全域で多発のおそれ 岩手県2024年7月17日
-
「第3回 全国桃選手権」開催 全国から45品がエントリー 日本野菜ソムリエ協会2024年7月17日
-
ハウス栽培向け環境制御システムのラインアップを拡充 クボタ2024年7月17日
-
生とうもろこしまるかじり 昭和村で農業体験開催 パルシステム群馬2024年7月17日
-
過去最大級60ブース出展「北海道新規就農フェア」8月3日に開催2024年7月17日
-
温室効果ガスを排出しないコンパクトな水素燃料電池発電システムを商品化 ヤンマーES2024年7月17日
-
さいたま市内の飲食店で「まんてん会津夏野菜フェア」開催2024年7月17日
-
AI活用畜産DX 肥育牛対象の耳標型「イヤタグセンサー」提供開始 デザミス2024年7月17日
-
「第8回高校生科学教育大賞」最優秀賞は京都府立桂高校 バイテク情報普及会2024年7月17日
-
「広島県産はっさく&レモンサワー」23日にリニューアル発売 JA全農2024年7月17日
-
「長野県産スイカフェア」開催 銀座の直営飲食店舗で18日から JA全農2024年7月17日
-
【注意報】水稲に斑点米カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 高知県2024年7月16日
-
【注意報】イネカメムシ 県内全域で多発のおそれ 鳥取県2024年7月16日
-
30年目を迎えたパルシステムの予約登録米【熊野孝文・米マーケット情報】2024年7月16日
-
JA全農、ジェトロ、JFOODOが連携協定 日本産農畜産物の輸出拡大を推進2024年7月16日