生乳 4年連続増産 乳価引き上げで需要減懸念も Jミルク2022年10月3日
Jミルクは9月30日、2022年度の生乳、牛乳乳製品の需給見通しを発表した。全国で4年連続の増産となる見込みだが、11月からの乳価引き上げにともなう製品価格値上げによる需要減が見込まれ、年末にかけて需給調整が課題となる。
22年度の生乳生産の見通しは、北海道では前年比101.4%(437万t)、都府県は同99.5%(331.7万t)の見通しで全国では同100.5%(768.7万t)と4年連続の増産となる見通しだ。ただ、全国で実施されている生産抑制の取り組みは考慮していない。
一方、牛乳等の生産量は11月以降の乳価引き上げで、学校給食用牛乳を除いて牛乳乳製品の10%値上げを織り込んで推定すると、11月~3月は前年比94.4%と予測した。牛乳類全体では448.8万klで前年比96.9%で前回見通しとの比較では▲2.6%減少する見込みとなった。
牛乳等の生産量が減少する見込みのなか、脱脂粉乳とバターへの仕向け量が増える見込みだ。
脱脂粉乳の生産量は前年比105.6%の16.9万tの見込みで期末在庫量は13.2万tとなる。ただ、飼料用に仕向けるなど、国の支援を得るなかで在庫削減対策に取り組んでおり、年度末までに3.4万tが削減される見込み。また、ホクレンによる需要確保対策も進められており約1.4万tの削減効果も見込んでいる。
バターの生産量は前年比105.8%の7.9万tとなる見込みで、期末在庫量は同106.5%となる見込みだ。在庫量についてはホクレンが需要確保対策に取り組んでおり、約3000tの削減効果を見込んでいる。
在庫削減に向け需要確保策や、現場では高齢乳牛の肉用向け出荷の促進などで生乳生産の抑制にも取り組んでいるが、今回、Jミルクでは7月の見通しよりも処理不可能乳の発生懸念が大きく高まっており、予断を許さない状況が続くと見込んでいる。
そのため11月に向けてすべての牛乳・乳製品の需要の維持・引き上げを図るべく「業界内外を巻き込んだ幅広く一体感を持った消費拡大」が求められるとして、国とJミルクが中心となって取り組んでいる「牛乳でスマイルプロジェクト」への参加呼びかけなどに力を入れる。
また、飼料、肥料などの高騰の一方、副産物価格は下落し、酪農経営の収益はかつてない厳しい状況におかれている。酪農乳業の維持、国産牛乳乳製品の安定供給にため、牛乳乳製品の優れた栄養的、健康的な価値を消費者に伝えることが必要だとしている。
需給緩和への取り組みでは、業界全体での需要拡大対策などに加え、生産現場では早期の需給改善、経営改善に向けてさらなる生産抑制の取り組みを協議する必要があるとしている。
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