ニワトリを加害 ワクモの共生細菌群を解明 駆除剤開発に期待 農研機構2022年10月24日
農研機構と住化エンバイロメンタルサイエンスは、ワクモの共生細菌群を解析し、駆除剤の作用点となり得る共生細菌を特定した。今後、共生細菌除去に有効な薬剤探索を進め、既存殺虫剤とは異なる作用機序を持つワクモ駆除剤の開発が期待される。
ワクモはニワトリを吸血するダニの一種。この吸血によりニワトリはストレスを受けるだけでなく産卵数の減少などを引き起こすため、養鶏産業に大きな被害・損失を与えている。ワクモの防除は、殺虫(ダニ)剤(殺虫剤)を用いるが、近年は市販殺虫剤に対する抵抗性を獲得したワクモ個体群が増えており、既存の殺虫剤とは作用の仕組みが異なる殺虫技術の開発が求められている。
ワクモのように動物の血液を吸って成育する害虫の多くは、体内に必須共生細菌を持っている。これは、動物の血液には害虫の成育に必須なビタミン類が不足し、必須共生細菌からビタミンを供給されないと生存できないためで、ワクモの体内から必須共生細菌が失われるとワクモは成育できずに死滅することが推測される。
ワクモの必須共生細菌については、海外の研究で候補となる種がいくつかあることが示されていたが、特定されていなかった。農研機構と住化エンバイロメンタルサイエンスは、必須共生細菌に作用する新たなワクモ駆除剤を開発するため、まず標的となるワクモの必須共生細菌を特定。日本各地から収集したワクモの共生細菌群を同定し、共生細菌群を比較解析することで、全地域のワクモ個体に共通する共生細菌が存在することを明らかにした。
この共生細菌はワクモの生存に必要な必須共生細菌の可能性が極めて高いことから、新たなワクモ駆除剤の作用点となり得ることが期待される。今後、この共生細菌の生存・増殖を抑制する化学薬剤の探索を進めることで、既存殺虫剤に抵抗性となったワクモ個体に対しても殺虫効果を示す、新たなワクモ駆除剤の創出が期待される。
重要な記事
最新の記事
-
【座談会・どうするJAの担い手づくり】JA鳥取中央会・栗原隆政会長、JAみえきた・生川秀治組合長(1)2025年9月18日
-
【座談会・どうするJAの担い手づくり】JA鳥取中央会・栗原隆政会長、JAみえきた・生川秀治組合長(2)2025年9月18日
-
【座談会・どうするJAの担い手づくり】JA鳥取中央会・栗原隆政会長、JAみえきた・生川秀治組合長(3)2025年9月18日
-
【JA全農の若い力】家畜衛生研究所(3)病気や環境幅広く クリニック西日本分室 小川哲郎さん2025年9月18日
-
【全中・経営ビジョンセミナー】伝統産業「熊野筆」と広島県信用組合に学ぶ 協同組織と地域金融機関の連携2025年9月18日
-
【石破首相退陣に思う】米増産は評価 国のテコ入れで農業守れ 参政党代表 神谷宗幣参議院議員2025年9月18日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】協同組合は生産者と消費者と国民全体を守る~農協人は原点に立ち返って踏ん張ろう2025年9月18日
-
「ひとめぼれ」3万1000円に 全農みやぎが追加払い オファーに応え集荷するため2025年9月18日
-
アケビの皮・間引き野菜・オカヒジキ【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第356回2025年9月18日
-
石川佳純の卓球教室「47都道府県サンクスツアー」三重県で開催 JA全農2025年9月18日
-
秋の交通安全キャンペーンを開始 FANTASTICS 八木勇征さん主演の新CM放映 特設サイトも公開 JA共済連2025年9月18日
-
西郷倉庫で25年産米入庫始まる JA鶴岡2025年9月18日
-
「いざ土づくり!美味しい富山を届けよう!」秋の土づくり運動を推進 富山県JAグループ2025年9月18日
-
日本初・民間主導の再突入衛星「あおば」打ち上げ事業を支援 JA三井リース2025年9月18日
-
ドトールコーヒー監修アイスバー「ドトール キャラメルカフェラテ」新発売 協同乳業2025年9月18日
-
「らくのうプチマルシェ」28日に新宿で開催 全酪連2025年9月18日
-
埼玉県「スマート農業技術実演・展示会」参加者を募集2025年9月18日
-
「AGRI WEEK in F VILLAGE 2025」に協賛 食と農業を学ぶ秋の祭典 クボタ2025年9月18日
-
農家向け生成AI活用支援サービス「農業AI顧問」提供開始 農情人2025年9月18日
-
段ボール、堆肥、苗で不耕起栽培「ノーディグ菜園」を普及 日本ノーディグ協会2025年9月18日