DX推進でAIを活用した畜産振興へ 長野県と連携協定 エプソン2022年11月4日
セイコーエプソンは、DXの推進によりAI(人口知能)を活用した畜産振興に向け、エプソンと長野県が連携協定を締結。家畜の健康管理の技術開発と普及など、畜産業の生産性向上に向けた取り組みを推進する。
高齢化や人手不足などの課題から農林水産業は、労働環境の改善や効率化が求められているが、特に畜産業は市場規模が大きく、DX化による生産性改善の余地が大きい。こうしたな状況を改善するため、同協定では2022年度の取り組みとして、「AIによるボディーコンディションスコア(BCS)の画像判定」と「AIによる飼料成分の迅速判定(新飼料分析システム)」について推進する。
BCSは、牛体への脂肪の付き具合を目視によりスコア1(痩せすぎ)から5(太りすぎ)までに区分する技術。BCSは3.0から3.5までが適正とされ、3.75以上では牛の健康に問題となりやすい。
BCSは、熟練した技術者の目視判定に頼っているため、ばらつきが発生するという課題がある。そこで、BCSを画像からAIが判定するシステムにより、経験の浅い技術者や農家でも簡単に客観的な測定と正確な牛の体型管理の実現をめざす。
また、牛の体重や健康維持に重要な飼料成分分析には多くのデータを活用するため時間がかかる上、飼料給与量の計算には専門知識が必須となる。飼料成分の分析に多くの手間と時間と予算を必要とすることから、「AIによる飼料成分の迅速判定(新飼料分析システム)」においては、飼料を撮影し、画像の波長分析から飼料成分を推定できるシステムを構築。経験の浅い技術者や農家でも成分分析を迅速かつ低コストで実施でき、給与量試算の簡素化をめざす。
さらに、2023年度以降は、「牛群ドックと飼料分析の連携、最終生産物も含めたDX化」「牛の個体識別の研究」「牛の体に装着できる脈拍や活動量計、体温計の研究」について共同研究を進める。
こうした取り組みを通し、エプソンが保有する分光・IMU・GPS・生体計測などの独自の「センシング」、「認識・分析」、「AI」技術と、長野県畜産試験場が牛に関する試験研究を通じて得た「飼養管理」、「分析」、「健康・疾病診断」技術の連携により、畜産業におけるDX化を推進する。
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