県内の酪農家を全戸訪問し支援強化 岩手県が対策会議で方針 地域ごとに支援チーム2023年5月15日
飼料高騰などで厳しい経営環境に直面する酪農家を支援しようと、岩手県は県内の全酪農家761経営体をすべて直接訪問して経営指導を強化する方針を明らかにした。各農業改良普及センター単位で現地支援チームを設け、経営実態を聞き取りながらきめ細かい支援に当たることにしている。
岩手県が農業団体などとつくる県農業生産資材・飼料等価格高騰対策会議が5月11日に開かれ、県の方針が説明された。
酪農経営をめぐっては、飼料や肥料に加えて燃料費なども高騰しているのに加え、乳価も低迷が続き、経営が圧迫されている。このため岩手県は、県内9カ所の農業改良普及センター単位で現地支援チームを設置し、県内の全酪農家を訪問して支援を強化する方針を決めた。4月から準備が整った地域から訪問を始めているという。
酪農家を訪問するのは、農業改良普及センターの指導員が中心だが、地域によって県振興局や市町村、JAなどと協力して分担する。酪農家ごとに経営実態の把握・分析をし、必要に応じて経営指導について相談に乗るなど支援を強化する。今月11日には担当者レベルの会議も開かれ、好事例の横展開も見据えて各地の体制や進捗状況について情報が共有された。
酪農・畜産経営支援をめぐっては、岩手県は国の支援とは別に、補正予算で配合飼料価格安定緊急対策費補助事業に13億3300万円を組んで1トン当たり2000円の支援するほか、粗飼料購入費の高騰に伴うかかり増し経費を補助するため酪農経営支援緊急対策費補助として2億3800万円を予算化して、1頭当たり1万円を補助する独自の支援策を進めている。
県の対策会議では、こうした県の支援策についても説明され、着実に支援策が農家に届くよう関係団体への周知が呼びかけられた。
県畜産課は「配合飼料価格などは今後もすぐに下がっていく状況とはみられないので特に負担が重くなっているといわれる酪農で必要な支援をしていこうと全戸訪問をすることになった。それぞれの経営上の課題を把握しながらきめ細かく支援していきたい」と話している。
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