畜産業のワンヘルス実現へ「n-UV技術」による鶏舎の空気環境改善を検証 富士通ゼネラル2023年12月19日
富士通ゼネラルと同子会社のエアロシールドは、紫外線水平照射技術「n-UV(核酸カット紫外線)技術」を搭載した装置を使用し、鶏舎の空気環境を改善する実証実験を大分県日田市の養鶏場で開始。畜産業における"ワンヘルス"の実現を目指す。
紫外線水平照射技術「n-UV技術」を搭載した装置
同実証実験は12月から2024年11月の期間で実施。富士通ゼネラルは、実環境における浮遊菌検査技術を提供し、エアロシールド社は紫外線水平照射装置を提供する。なお、畜産用設備機器メーカーの大宮製作所の協力を得て行われる。今後、実証実験の結果に基づき、畜産業の現場における有効性や可能性を検証するとともに、事業者が導入しやすい製品開発およびビジネスモデル構築につなげていく。
同社はこの実験により、厚生労働省・農林水産省・環境省が提唱する「ワンヘルス(One Health)」の実現に貢献。ワンヘルスは、人獣共通感染症などに対し、人と動物の健康と環境の保全を担う関係者が緊密な協力関係を構築し、分野横断的な課題に対して連携するという考え方で、各省庁において普及・啓発を推進している。
実証実験の背景
鶏舎内は浮遊細菌と粉塵が高濃度で存在し、これが空気の衛生環境を著しく悪化させている。この高濃度の浮遊細菌と粉塵は、鶏の呼吸器病の発生と密接に関連しており、その増加が原因の1つとされている。加えて、鶏舎内の空気環境の管理は非常に難しく、特に冬期は鶏の育成に必要な室温を保つために換気ができないため、鶏の育成率低下や、食鳥処理場における廃棄率の増加を引き起こすなど、生産農家の経営に悪影響を及ぼしてきた。
また、2022年度は鳥インフルエンザが猛威を振るい、国内26道県で84事例が発生し、約1771万羽が殺処分の対象となった。エアロシールド社が本社を置く九州は畜産業が盛んで、同社グループは鶏舎内の空気衛生環境の問題を身近な社会課題と捉え、ワンヘルスの実現を目指した実証実験を行うことになった。
「n-UV技術」は、室内の浮遊ウイルスや細菌を不活化するために、エアロシールド社が開発した独自の空気環境対策技術。この技術は、紫外線(波長:254nm)を使い、ウイルスや細菌の核酸(DNA/RNA)に直接ダメージを与える。また、紫外線を効率よく前面に反射させる「紫外線専用反射板」と、下方照射を防止する「水平ルーバー」の構造により、室内空間上部への水平照射が可能。有人空間で人に影響を与えず浮遊ウイルスや細菌を不活化する点が特長となる。
「n-UV技術」概要
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