生乳生産 北海道は3年ぶり増産 都府県は3年連続減産見込み Jミルク2024年1月29日
Jミルクは1月26日、2023、24年度の生乳と牛乳乳製品の需給見通しを発表した。
23年度の生乳生産量は全国で731万1000tで前年比97.1%の見通しとなった。このうち北海道は416万6000tで同97.9%、都府県は314万5000tで同95.9%となった。需給改善に向けた生産抑制の取り組みに加え、夏の猛暑による搾乳量の減少が影響した。
こうしたなか24年度は北海道は生産抑制から脱却し422万5000tと同101.4%と3年ぶりの増産となる見込みをJミルクは示した。一方、都府県は315万5000tで同98.7%と3年連続の減産の見込み。全国では733万tと同100.3%の見込み。
搾乳牛となる2歳以上の頭数は、3月末時点で北海道で約7000頭、都府県で約1万3000頭減少する見込み。ただ、北海道では年間平均で100.1%と横ばいの見通し。また、乳牛は更新によって乳量は増加するため当面、需給に影響する頭数不足ではないという。
脱脂粉乳の需給は、生産者と乳業メーカーによる対策の実施によって昨年初めに12万t見込まれていた在庫量が今年3月末で5万tにまで削減する見込みとなった。
ただ、24年度は年度末見込みで8万2000tとなり、3万1000tの過剰となる見込みとなっている。脱脂粉乳の用途であるヨーグルト(発酵乳)の24年度の生産量見通しは前年度比99.0%と需要低迷が継続している。
一方、バターは業務用向けを中心に堅調な需要があり、24年度末には2万tとなるが、単年度の需給ギャップは▲2400tとなる見込み。ただ、バターの在庫は昨年12月の乳製品値上げの影響に加え、主産地の北海道で昨年の猛暑による生産減からの回復にも左右される見込みだ。
こうした需給見通しから農水省は、輸入枠数量について23年度と同様、WTO協定で約束している最低数量(カレントアクセス:生乳換算で13.7万t)にとどめる。
品目別では脱脂粉乳は日米貿易協定に基づく750t以内、ホエイはWTOに基づく4500t以内、バターオイルは事業者の要望に基づく185t以内、残りをバター8000~約1万tに割り振る。入札を続けても枠が消化されない場合は、需要が堅調なバターに振り替えて入札を行う。
一方、Jミルクは生乳生産と需給についての課題を整理した。
生乳需給はひっ迫と緩和を繰り返しており、コロナ前はひっ迫し増産対策に取り組んだが、コロナ禍では需給が緩和し生産抑制への取り組みを余儀なくされた。需要が減退したことで乳製品在庫の積み増しや、処理不可能乳の発生も懸念された。
また、飼料価格の高止まりなど生産者の厳しい環境は依然として続き、離農者も増え搾乳頭数の減少も懸念されている。
こうしたことから生産者が安定して酪農に取り組み生産基盤が維持できるようセーフティネットの構築を検討することにしており、今後議論していく必要があるとしている。
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