牛に呼吸器病を引き起こす6種類のウイルス 同時検出する遺伝子検査法を開発 農研機構2024年2月27日
農研機構とタカラバイオは、牛に呼吸器病を引き起こす6種類のウイルスを簡便・迅速に同時検出する検査法を共同で開発した。核酸の簡易抽出法と複数の病原体を同時に検出できるマルチプレックスリアルタイムPCR検査法を組み合わせることで、これまで煩雑な工程が必要だった牛の呼吸器病の原因となるウイルスの検査に要する時間を半減。検査現場での作業負担を大きく軽減すると期待される。同手法に対応した検査試薬(研究用)は2月26日、タカラバイオから発売された。
牛の呼吸器病は、細菌やウイルスなど様々な病原体が関与する疾病で、特に子牛や肉牛の傷病事故の約2割を占め、その対策は畜産における重要な課題の一つとなっている。牛の呼吸器病の適切な治療と予防には、原因となる病原体の同定が必要になる、検査施設では複数の遺伝子検査を実施し、病原体を検出している。
遺伝子検査を行うには、病原体からゲノム核酸を抽出して精製する作業が必要。また、呼吸器病の原因となるウイルスには、ゲノム核酸としてDNAを持つウイルス(DNAウイルス)とRNAを持つウイルス(RNAウイルス)があり、それぞれに対応した検査手法を使い分ける必要がある。これらのことから、病原体同定の作業工程は複雑で、検査業務の負担の増大が問題となっている。
農研機構とタカラバイオは共同で、牛に呼吸器病を引き起こす主要なウイルス6種類(牛伝染性鼻気管炎ウイルス、牛RSウイルス、牛パラインフルエンザウイルス3型、牛ウイルス性下痢ウイルス、牛コロナウイルス、牛アデノウイルス)を簡便・迅速かつ同時に検出できる検査法を開発。この検査法は、呼吸器病の症状を示す牛の鼻腔ぬぐい液(鼻腔スワブ)に簡易な前処理を施すことで、これまで必要だった核酸の抽出や精製をせずにDNAウイルスとRNAウイルスをまとめて処理できるため、作業に要する時間を半減する。さらに、マルチプレックスリアルタイムPCR検査法と組み合わせることで、6種類のウイルスに対する検査を一度の処理で完了でき、複数の病原体を同時に検出して識別できるようになる。
この検査法により、日常的な検査業務の作業負担が軽減でき迅速な検査が可能となる。病気が発生した農家等生産現場で適切なワクチン接種等の対策を速やかに決定することで、病気による損失の低減が期待できる。
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