渡り鳥飛来湖沼水を用いた鳥インフル検出手法の確立へ 宮崎大学と共同研究 AdvanSentinel2024年6月12日
株式会社AdvanSentinel(大阪市)と宮崎大学は、渡り鳥が飛来する湖沼の環境水を用いた鳥インフルエンザウイルス検出手法の確立とその社会実装を目指す共同研究を6月に開始。2023年12月に宮崎大学が実施したドローン採水により得られた環境水からAdvanSentinelの技術による鳥インフルエンザウイルス遺伝子検出の成功を受けて行われる。
ドローンによる渡り鳥飛来湖沼からの採水
宮崎大学産業動物防疫リサーチセンター(CADIC)は、家畜伝染病に対する防疫・減災に関する国内外の様々な課題に取り組んでおり、養鶏業に甚大な被害をもたらす高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)の対策もその一つ。養鶏が盛んな宮崎県は、これまでにたびたびHPAIの被害を受けてきた。
2020~2021年シーズンの全国的なHPAIの猛威を受けて、CADICは翌シーズンから毎年、県内の渡り鳥飛来池において渡り鳥の糞便を採取してHPAIウイルスの保有を調査。陽性例が出た場合には県の家畜防疫対策課と情報を共有して養鶏業者に注意を喚起するなどしてきたが、糞便を用いたモニタリング手法は、飛来シーズン早期では採取できる糞便が非常に少ないことが、HPAI早期警戒アラート発出における課題だった。
湖沼などの環境水を用いたHPAIモニタリング手法は、それを補完する手法として知られている。また、飛来シーズン早期でも湖沼では群れをなして遊泳する渡り鳥が確認されている。もし、HPAIウイルス陽性の個体がいれば、ウイルスは糞便とともに水中に排泄されるため、鳥が群れている場所から採水すればウイルスを検出できるのではないかと考えられる一方、多くの場合、採水が困難な箇所で渡り鳥は群れている。
そこでCADICでは、2023~2024年シーズンにドローンを用いた採水とHPAIウイルスの検出を開始。糞便サンプリング調査と並行して進めてきた。このときは全国にHPAI発生が少なかったためか、環境水からのHPAIウイルス検出には至らなかった。
AdvanSentinelは、下水疫学調査(ウイルス等のモニタリング)を行なっており、新型コロナウイルスの流行動態調査においてはその有用性が立証されている。そのための同社の革新的技術であるCOPMAN法による超高感度RNA検出法は、環境水からのHPAIウイルス検出において突破口となった。
2023年12月に宮崎県下の調整池でドローンにより採水され保存されていたサンプル水から、COPMAN法により鳥インフルエンザウイルス遺伝子(MおよびH5)の検出に成功。この結果を受け、宮崎大学CADICとAdvanSentinelは、環境水からHPAIウイルスをモニタリングする手法の最適化とモニタリングデータのHPAI対策への有用性の検証について、共同研究を開始した。
同モニタリング手法の有用性が実証されれば、これを「宮崎モデル」として全国に展開し、養鶏場におけるHPAI発生の低減、ひいては鶏肉・鶏卵の安定供給につながると考えられる。
重要な記事
最新の記事
-
【第45回農協人文化賞】人との出会いに感謝 福島県・会津よつば農協組合長 原喜代志氏2024年8月14日
-
【第45回農協人文化賞】努力する人は希望を語る 共済事業部門 鳥取県・JA鳥取西部前代表理事専務 植田秋博氏2024年8月14日
-
【第45回農協人文化賞】「なくてはならない」組織に 経済事業部門 JA岡山会長 宮武博氏2024年8月13日
-
【第45回農協人文化賞】全ては組合員のために 経済事業部門・JA全農ぐんま 前副会長 大澤孝志氏2024年8月13日
-
関東早場米も店頭5㌔2500円以上が売価に【熊野孝文・米マーケット情報】2024年8月13日
-
【第45回農協人文化賞】きのこが健康けん引確信 営農経済部門・日本きのこマイスター協会理事長 前澤憲雄氏(長野県)2024年8月10日
-
【第45回農協人文化賞】土づくりへのこだわり 営農経済部門 秋田県・JA秋田しんせい前常務 高橋徹氏2024年8月10日
-
シンとんぼ(105) -みどりの食料システム戦略対応 現場はどう動くべきか(15)-2024年8月10日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(22)【防除学習帖】 第261回2024年8月10日
-
土壌診断の基礎知識(31)【今さら聞けない営農情報】第261回2024年8月10日
-
【第45回農協人文化賞】「小さな協同」の実践を目指して 一般文化部門 長野・JA松本ハイランド組合長 田中均氏2024年8月9日
-
【第45回農協人文化賞】「草の根運動」とともに 一般文化部門・JA広島中央会元専務 坂本和博氏2024年8月9日
-
【注意報】水稲に斑点米カメムシ類 県下全域で多発のおそれ 香川県2024年8月9日
-
【注意報】果樹カメムシ類急増で被害多発のおそれ 滋賀県2024年8月9日
-
【注意報】ミニトマト、トマトにトマト黄化葉巻病 県中部で多発のおそれ 和歌山県2024年8月9日
-
【注意報】ネギ、ブロッコリー、ダイズにシロイチモジヨトウ 県内全域で多発のおそれ 埼玉県2024年8月9日
-
(396)首都の場所:赤道ギニア共和国【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年8月9日
-
【'24新組合長に聞く】JA碓氷安中(群馬県)戸塚勉組合長 野菜のブランド産地へ (5/31就任)2024年8月9日
-
米の品種や食味などを分析 米品質診断パッケージ、キャンペーンを実施中 サタケ2024年8月9日
-
北海道産赤肉メロンのパフェとかき氷 期間限定で登場 銀座コージーコーナー2024年8月9日