米国で乳牛に鳥インフルエンザ 14州281農場に拡大2024年10月10日
農林水産省が10月8日に更新した情報によると、3月に米国テキサス州で確認された乳牛への高病原性鳥インフルエンザの感染や搾乳作業や個体の移動などで感染が拡大し、14州281農場にまで拡大している。
ウイルスは野鳥や家きんに感染するウイルスと同じH5N1亜型で最初の1事例は野鳥から乳牛への感染で農水省は「過去に世界で経験のない極めて稀な事象」との見解を示している。また、2003年以降は米国から日本への生体輸入は停止されていることから、乳牛を介して米国から日本へ持ち込まれることはなく「現状において日本の牛での感染を過度に恐れる必要はない」としている。
高病原性鳥インフルエンザに感染した牛の症状は、食欲低下、泌乳量減少などが見られるが、死亡率が高い鶏への感染とは違い、10日程度で回復するという。ただ、重症例では濃いねばねばとして乳を排出するといった所見が見られる。
米国での感染拡大は乳中に多くのウイルスが排出されるため、おもに搾乳作業が要因だと推定されている。さらに州を超えた感染拡大は牛の個体移動が原因で牛の運搬車、作業者などによる感染拡大の可能性も考えられている。
米国では疫学調査が進められているほか、4月以降は州を超えて移動する搾乳牛に対して高病原性鳥インフルエンザの検査を義務付けた。
米国で市販されている牛乳、乳製品の原料はほぼすべて加熱殺菌されているため、米国食品医薬局(FDA)は健康リスクに懸念はないとの見解を示し、市場に流通する牛乳や乳製品の調査でウイルスは検出されていない。
肉用牛での感染は確認されておらず、米国農務省(USDA)はと畜場での牛肉の安全性は確保されているとの見解を示している。
また、米国の解析によると人への感染性を上昇させる遺伝子変異はこれまでに確認されておらず、米国疾病予防管理センター(CDC)は一般市民の感染リスクは低いとしている。
一方で農水省は、日本国内でも野鳥から牛に感染するおそれは完全に否定できないため、都道府県に対し牛を飼養管理している生産者等に野鳥からの感染を防止する飼養衛生管理の徹底と、食欲低下や乳量減少が見られた場合に獣医師や家畜保健衛生所への早期通報などを要請している。
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