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国内酪農家初の1万戸割れの衝撃 「飲んで食べて応援を」生産者窮状訴え2024年12月3日

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中央酪農会議は2日、緊急会見を開き生乳受託戸数が初めて1万戸の大台割れとなったと明らかにした。酪農家らも出席し窮状を訴えた。食料安保が叫ばれる中で、まさに「酪農有事」の状況だ。「消費者は持続可能な価格で、国産牛乳・乳製品を飲んで食べて応援してほしい」と東京・有楽町で街頭宣伝も行った。(農政ジャーナリスト・伊本克宜)

「いま、酪農が危ない!」とのぼり旗を立てながら、牛乳を配り消費者に訴える酪農家ら(2日、東京・有楽町で)

「いま、酪農が危ない!」とのぼり旗を立てながら、牛乳を配り消費者に訴える酪農家ら(2日、東京・有楽町で)

■食料安保と「酪農有事」

生産現場の酪農家まで同席した緊急会見は、食料安保の土台である酪農の足元が大きく揺らいでいることの表れだ。

会見で「農政は食料安保を前面に出している。その柱の酪農はまさに酪農有事の状況ではないか」との問いに、菊池淳志中酪専務は「コスト高に乳価が追い付かない。離農が高止まりし、ついに指定団体の受託農家戸数が1万戸の大台を割り込んだことに、これまでにない危機感を抱く。このままでは生乳生産は600万トン台にまで落ち込み、安定的な供給に応じられなくなる」と、懸念を表明した。

北海道大学の小林国之准教授(地域連携経済学)は、酪農危機の実態を「飼料高をはじめコスト増加で、酪農では規模の経済が効いていない。大規模経営でも赤字額が大きい。現状では収支に問題がない経営でも次の投資が困難な状況だということを直視する必要がある」と指摘した。

■6割赤字、半数が離農検討
中酪の集計結果で10月に初めて受託酪農家戸数は9960戸と1万戸の大台を割り込んだ。

さらに深刻なのが、数度の生産者乳価値上げを経てもなお経営悪化に陥っている実態だ。同日示した調査結果では、9月時点で酪農家の6割が赤字と回答。酪農家の約半数が離農を検討していることも分かった。

■需給調整と直接支払いの重要性

酪農経営の安定には、所得と生産の持続的な安定が欠かせない。会見で改正畜安法の生乳流通自由化で需給調整機能の弱体化と、コスト増加を補う直接支払いなど所得政策の是非で質問が出た。

隈部洋中酪副会長(全酪連会長)は「需給調整は現在、指定団体傘下の酪農家が担っているのが実態だ。非系統も含め、全国の酪農家、関係者が同じ方向で対応することが必要だ」と応じた。小林准教授は「酪農経営の安定には需給調整は極めて重要だ。法制度で位置付けるべきだろう。直接支払いは中山間地、環境、農地維持も含め総合的に考える段階だ」と、所得政策の重要性も説いた。

■地域コミュニケーション崩壊

会見で強調されたのは、このまま酪農家戸数減が続けば地域コミュニケーションの崩壊につながりかねないという点だ。

生乳生産はもちろん、専業農家のため周辺の農地を引き受け耕作放棄地の減少にも貢献してきた。耕畜連携の核であり、平均年齢も比較的若く地域のリーダー的な存在の経営者も多い。このため、地域コミュニケーションのつなぎ役を担ってきた。酪農家の戸数減は、地域農業そのものの地盤沈下ともなる。

■「次代につなぎたい」酪農家の声

緊急会見で酪農家3人が出席し意見を述べた。酪農の存在意義と消費者への理解醸成、苦しい中でも経営を維持し何とか次代につなぎたいとの決意を語った。

・浦薫氏(北海道美瑛町)「地域の酪農の火を消さないで」
1年365日、乳牛を飼養・管理し確実に消費者に我々が搾った生乳からつくる牛乳・乳製品を届ける努力をしてきた。北海道では乳製品在庫解消から減産を余儀なくされるなどの困難もあったが、飼料をできるだけ自給し、栄養バランスに配慮した飼料を供給するTMRセンターなども運営し、乗り切ってきた。乳価は上がってもコスト増加に追い付いていない。地域の酪農の火を消さないよう、地域関係者と一丸で頑張っていることを消費者に理解してもらいたい。

・吉田英子氏(埼玉県小鹿野町)「小さな家族酪農も地域循環の一員」
群馬、栃木に近い埼玉県西部の中山間地で小さな牧場を営む。牛のふん尿を地域の野菜農家に分け、野菜が地元食品会社の食材となる。飼料基盤があまりなく、食品会社からのエコフィードを活用する。このように食の地域循環経済の一員との自負を持っている。地域には中小家族酪農家も欠かせない。

・沖正文氏(広島県東広島市)「教育ファームを実践、次世代に酪農を引き継ぎたい」
乳牛を模した白黒の広島酪農協(広酪)オリジナルTシャツを着て、消費者への酪農PRの「歩く広告塔」を担ってきた。中山間地の立地条件だが、飼料高に対応し地元耕種農家と連携し飼料用稲を活用した地域内循環を実践してきた。中酪の酪農教育ファーム認証牧場で年間2000人以上の子供たちを受け入れ、酪農家の実態を分かってもらう努力を伝えてきた。何とか次世代に経営を引き継ぎたい。酪農は次代に残す価値ある産業だと思っている。

■社会、消費者の訴える「生の声」

同日の会見で、社会、消費者に訴える酪農家の「生の声」を公表した。以下、その一部。

・酪農家が減少し続ければ、日本の食卓から乳製品と牛肉が気軽に食べられなくなる。そうしないように酪農家は頑張っているので、牛乳をたくさん飲んでほしい。
・牛乳生産するコストが大幅に上がり、それを補うには販売価格が上がってしまうことを理解してもらいたい。
・今、酪農が廃業したら二度とその地域では復活できない。酪農の火を消さないためにも早急に対策が必要だ。
・酪農家は日本に住む人々の食料を守るため、全力で取り組んでいる。その努力を社会、消費者の皆さんに理解してもらいたい。

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