協同学ぶ場づくりを 全国連職員も現場へ【JA全国機関中核人材育成研修会(平成30年度)】(3)2018年12月3日
担い手対応、教育、労働力で提案
Bグループ発表
『教育』を起点としたJAグループの基盤づくり
~若年層の認知・理解・参加から事業利用につなげる~
JAグループのあるべき姿として、「地域の若年層にJAを身近に感じてもらう機会を提供し、JAのファンになってもらうことで、将来的な事業利用につなげ、確固たる事業基盤を確立する」、「農業と地域を基軸とする協同組合組織として、その存在意義を永続的に発揮する」の2つを掲げた。そのきっかけづくりとして、教育の重要性が高まっている。
しかし、多くの若年層はJAグループのことを認知していないのではないかと思われる。「JAは農業者だけが利用できる、またするもの」として誤解しているのではないか、という疑問がある。この仮説のもと、JA全青協の飯野参与(前会長)、JA全国女性協フレミズ理事との意見交換、またJAあつぎでのヒアリングなどから、これから取り組むべきヒントとして、「協同」について学ぶ場の提供、教育文化活動の複数参加によるJAと組合員の関係(つながり)づくり、そのための職員の育成と資金確保が必要だということがうかがえた。
特にJAあつぎのヒアリングでは、JAの強みや魅力が農業者に限らず、多くの国民によく知られていない、またJAの強みや魅力を生かし切れない・認識しないまま、業務に携わるJA役職員がいるという現状がうかがえた。その中で、若年層を中心とした地域住民へのさまざまな取り組みが、JAの特性を知り、それに共感するきっかけになっていることも分かった。
◆学びは学校教育から
JAには、若年層との間にある壁を切り崩すためにどのようなアプローチがあるか。その切り口は、JA主導による「協同」を学ぶ場を提供すること、教育文化活動の内容充実の二つが考えられる。そのため全国連が取り組むべきことは、(1)「協同」を学ぶ場の全国展開、(2)教育文化活動の活性化に向けた資金支援、(3)全国連の職員自身の意識改革の3つがある。
具体的には、まずJAの魅力を伝える「学びの機会」づくりとして、小・中学校を対象とした「協同」を学ぶ活動の全国展開を行う。例えば、JAグループが一体となって食農教育を授業や課外活動等に取り入れるよう行政や教育機関に働きかける。そのため全国連は資材の開発・提供、活動資金の助成、講師の育成・派遣などを行う。
また、教育機関との連携とJAが開催するJA祭、収穫祭などのイベントに学生の参加を働きかける。特にターゲットは、卒業後、JAや「食」「農」「協同組合」「教育」などに関与する可能性のある学生とする。
◆全国連が教育基金を
こうした教育に必要な資金確保のため「JAグループ教育文化基金」をつくる。これは、各全国連が教育文化活動などに充てている財源をベースに、一定のルールで拠出し、JAの活動に必要な経費の一定割合を助成する。例えば、JA全農は全国の「みのりカフェ」の売り上げの1%、JA共済連・農林中金は40代の以下の契約者数×10円というように。このような全国連のスケールメリットを活かした助成によって、JAは持続的な教育文化活動ができるため、若年層に対するJAの認知を広げることができる。
また、教育文化活動の重要性について、全国連役職員の意識改革も重要。(1)毎年、それぞれの部署で協同組合理念の研修、およびJAの教育文化活動の事例を学ぶための勉強会を開く、(2)毎年、2日間の「JAに行こう休暇」を設定し、年2回、JAの活動に参加する、(3)「JAに行こう休暇」を活用し、自宅の最寄りにあるJA等の教育文化活動に参加する。
こうした「座学」+「体験」によって教育文化活動の意義を学び、全国連職員のJA教育文化活動、ひいては若年層に対する意識をJA職員と共有できる。そのことでJAグループが一体となって、若年層へ協同の魅力を伝える効果が期待できる。
(関連記事)
・チーム研究の成果発表 JAの将来担う職員養成へ【JA全国機関中核人材育成研修会(平成30年度)】(1)(18.12.03)
・JA事業拡大に向け TAC体制の強化を【JA全国機関中核人材育成研修会(平成30年度)】(2)(18.12.03)
・JAの強みを活かし 独自人材派遣会社を【JA全国機関中核人材育成研修会(平成30年度)】(4)(18.12.03)
重要な記事
最新の記事
-
【年頭あいさつ 2025】菱沼義久 一般社団法人日本農業機械化協会 会長2025年1月4日
-
【年頭あいさつ 2025】増田長盛 一般社団法人日本農業機械工業会 会長2025年1月4日
-
【年頭あいさつ 2025】冨安司郎 農業機械公正取引協議会 会長2025年1月4日
-
【年頭あいさつ 2025】松本和久 株式会社サタケ 代表取締役社長2025年1月4日
-
【年頭あいさつ 2025】雜賀慶二 東洋ライス 代表取締役2025年1月4日
-
【年頭あいさつ 2025】佐藤雅俊 雪印メグミルク株式会社 代表取締役社長2025年1月4日
-
【年頭あいさつ 2025】小澤 敏 クロップライフジャパン 会長2025年1月3日
-
【年頭あいさつ 2025】栗原秀樹 全国農薬協同組合 理事長2025年1月3日
-
【年頭あいさつ 2025】的場稔 シンジェンタジャパン株式会社 代表取締役会長2025年1月3日
-
【年頭あいさつ 2025】井上雅夫 住友化学株式会社 執行役員アグロ事業部担当2025年1月3日
-
【年頭あいさつ 2025】岩田浩幸 日本農薬株式会社 代表取締役社2025年1月3日
-
【年頭あいさつ 2025】国際協同組合年機に反転 村上光雄 一般社団法人 農協協会会長2025年1月2日
-
【年頭あいさつ 2025】基本法理念 実現の時 江藤拓 農林水産大臣2025年1月2日
-
【年頭あいさつ 2025】基本法の具体化に全力 山野徹 全国農業協同組合中央会 代表理事会長2025年1月2日
-
食と農を未来へつなぐ【年頭あいさつ 2025】折原敬一 全国農業協同組合連合会 経営管理委員会会長2025年1月2日
-
【年頭あいさつ 2025】利用者本位の活動基調に 青江伯夫 全国共済農業協同組合連合会 経営管理委員会会長2025年1月2日
-
【年頭あいさつ 2025】つながり強化戦略推進 奥和登 農林中央金庫 代表理事理事長2025年1月2日
-
【年頭あいさつ 2025】医療、福祉の充実に一丸 長谷川浩敏 全国厚生農業協同組合連合会 代表理事会長2025年1月2日
-
【年頭あいさつ 2025】『家の光』創刊100周年 JA教育文化活動支援に尽くす 栗原隆政 (一社)家の光協会 代表理事会長2025年1月2日
-
【石破総理 新春インタビュー】政治の大転換期、新たな農業政策へ どう一歩踏み出すか(2)2025年1月1日