【クローズアップ・日本の協同組合】日本初の「協同組合統計表」JCAがまとめる2020年3月30日
協同組合の認知度アップへ
(一社)日本協同組合連携機構(JCA)は、2017年度「協同組合統計表」を作成した。日本の協同組合の社会的・経済的位置と、各種協同組合の組織・事業等の概要をまとめたもので、この分野では日本初。協同組合間連携、政策提言・広報、教育・研究を目的とするJCAが発足して3年目を迎え、本格的な連携事業を展開する上で欠かせない基礎資料になる。国内の各協同組合組織を横断的に網羅した統計資料がなかっただけに、研究や協同組合間の提携など、各分野での活用が期待される。集計項目別数値は次の通り。
<組織>
【組合数】総数は約4万2千組織
統計表は、主として官公庁・関係機関が公表している2017年度の統計資料を横断的に引用・集計したもの。それによると、国内の協同組合の単位組合は4万377。協同組合の連合会は1371あり、両者をあわせた協同組合は4万1748となる。国内の法人の総数は385万6457あり、協同組合はその1・1%を占める。
単位組合のうち、中小企業組合が3万5144(うち事業協同組合が2万8427)と群を抜いて多く、単位組合全体の87・0%を占める。これに水産業協同組合が1798(4・5%)、農協(総合農協および専門農協)が1224(3・0%)、生協が813(2・0%)、森林組合621(1・5%)、労働者協同組合357(0・9%)と続く。
【組合員数】延べで1億500万人
国内の各種協同組合の組合員は合計で1億561万人。これを日本の世帯数5748万で割ると1・84となり、各種事業に応じて1・8程度、協同組合に加入していることが分かる。
内訳は、生協が6620万人で、全体の6割強を占める。これに労働金庫が1115万人、農協が1066万人(うち総合農協が1051万人)、信用金庫が924万人、信用組合395万人、中小企業組合が259万人、森林組合が151万人と続く。6割強を占める生協の事業別では、購買生協(551組合)が2612万人、共済生協(130組合)3721万人、医療・福祉生協(119組合)263万人となっている。
常勤役職員数
常勤役員は1万人超
国内の協同組合の常勤役職員は、単位組合が47万8312人、連合会が10万5119人、協同組合全体では58万3431人となっている。うち常勤職員が57万2904人、常勤役員が1万527人を占める。同年度の国内全体の常用雇用者は3759万人で、協同組合の常勤役職員は、その1・5%を占める。協同組合別では、農協が最も多く21万人で全体の43・5%。信用金庫11万人(22・7%)、生協10万人(20・9%)、信用組合1万9899人(4・2%)、漁協1万1887人(2・5%)、森林組合7182人(1・5%)と続く。
施設
1小学校区1・8か所
組合員が利用できる協同組合施設は3万5949か所ある。うち本店・支店が1万8522か所(51・5%)、購買・販売施設(直売所含む)が8132か所(22・6%)、生活関連施設(給油所、葬祭センター等)が3671か所(10・2%)、医療・福祉施設4438か所(12・3%)となっている。同年度の公立小学校が1万9794あり、平均すると一つの小学校区に1・8か所の協同組合施設があることになる。
<事業>
【購買(生活資材)】
供給高は約4兆円
生協の供給高は3兆336億円で、地域生協が2兆7408億円、その他生協(大学生協、職域生協など)が2929億円。農協(専門農協を含む)は、単協本体が6837億円で、Aコープを通じた供給高が3100億円ある。漁協は144億円。
各組織を合わせた供給高は4兆418億円となり、地域生協が全体の67・8%を占め断トツ。品目別では、地域生協の食品の供給高が2兆2134億円(80・8%)で断トツ。農協の食品供給高は1957億円、Aコープが2850億円となっている。2017年度の国内の飲食料品小売業の販売額44兆5360億円の6・0%を占める。
同(生産資材)
農林水産業で約2兆円
生産資材の購買事業を行っているのは主に農協、漁協、森林組合。これら単位組合全体の供給高は2兆1178億円。うち農協が1兆9576億円で、全体の92・4%を占め、漁協が1512億円7・1%を占める。
トップの農協は、飼料が最も多く4168億円で21・3%、次いで燃料の3068億円(15・7%)、肥料2714億円(13・9%)、農業機械2391億円(12・2%)、農薬2246億円(11・5%)の順。なお、農業者の生産資材調達における農協のシェアは、最も高い肥料が7割強、農薬が約6割、農業機械役5割、肥料3割となっている。
【販売】農林漁業産出額の半分超
国内の協同組合全体の農林水産物販売高は6兆1685億円。農協のうち総合農協が4兆1685億円で全体の73・6%を占め、専門農協の4264億円を加えた農協全体で4兆9635億円となり、80・5%を占める。これに漁協が1兆1064億円(17・9%)と続く。
2017年度の農林漁業算出額11兆3254億円に占める協同組合の販売取扱高の割合は54・5%となる。農業、林業、漁業の算出額に占める割合は農協が53・5%、森林組合が20・7%、漁協が70・2%となっている。
【信用】国内シェアは23%
協同組合に預けられている預貯金額は300兆739億円。協同組合のなかでは信用金庫系が最も多く141兆8742億円で農協・漁協系は117兆1382億円となっている。
一方、貸出金は預貯金取り扱い機関全体で783兆516億円。うち協同組合の貸出金が148兆7459億円で19・0%を占める。協同組合のなかでは、信用金庫系が77兆9161億円。ついで農協・漁協系が41兆5390億円。なお金融機関全体の貸出金額は1378兆円で、うち協同組合のシェアは10・8%。
【共済】掛金収入は7兆円
共済事業国内保障事業全体の保険料・掛金収入は48兆4402億円。うち協同組合の共済掛金収入が6兆8826億円。協同組合内では、農協系が4兆9617億円で保障事業全体の10・2%、生協系が1兆6195億円で3・3%となる。
【経営】事業収益は33兆9千億円
国内全産業の売上高1625兆円の2・1%を占める。協同組合の付加価値額は、経済センサスからの集計ではじいた数字で5兆5625億円となり、国内産業全体の289兆5355億円の1・9%を占める。単位農協だけでみると、事業収益13兆270億円で国内全産業の0・8%を占める。付加価値額は3兆5807億円で同じく1・2%となっている。
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