【インタビュー 馬場利彦JA全中専務理事】「対話」基本に前に進もう(1)2020年9月9日
8月20日に就任した馬場利彦専務に抱負などを聞いた。自己改革や地域農業振興、持続可能な経営基盤の確立などがJAの課題だが、取り組みの基本は「組合員との対話」だと強調する。
緩めることなく自己改革
--8月の就任会見では、不断の自己改革と准組合員の事業利用規制の阻止、持続可能なJA経営基盤の強化と組合員との対話運動など、中家会長が重点として挙げた課題実現に取り組むのが使命と強調されました。改めて、それらの課題の重要性とJAグループ役職員が取り組むべき方向について聞かせてください。
今後の取り組みの1丁目1番地は不断の自己改革と准組合員利用規制の阻止です。とりわけ准組合員利用規制の問題は令和3年3月という期限があり、ここで組合員の総意として准組合員の利用規制は阻止するということです。組合員調査でも約9割が、准組合員の事業利用は制限しないほうが良いと回答しています。
片や、最終的には公約にもなりましたが、准組合員の事業利用規制は「組合員の判断とする」ということを与党も明確にしました。それをまずは令和3年3月までに総仕上げしなければなりません。それには組合員の意思をしっかり伝えていくことと、不断の自己改革を進めていくことの2つが必要です。
引き続き緩めることなく自己改革を継続し、なおかつ組合員との対話を基礎にすべての取り組みについて発信していくということです。
中家会長の考えのベースには「組合員との対話」があります。私も含めて、「農協改革」という嵐の中で組合長をはじめも役職員が「ベースはそこだ」と自覚したと思います。これまでを改めて振り返ると、本当に組合員と対話をしながら事業をしていたのか、と気づかせてくれたと思っています。今までは組合員との対話の取り組みが緩かったのではないか、と。
そうした反省を生かして、我々としては前向きに考えていく。不断の自己改革も対話がなければできません。常にこうした意識をもって取り組んでいるか、それを問いながら前に進まないと令和3年3月は乗り越えられないと思っています。
--持続可能な経営基盤の強化も課題です。どう取り組むべきですか。
これも対話運動とセットです。JAの事業運営は理事会で「ポン」と決めて下ろしていく、というやり方ではないと思います。
JAでは販売手数料を引き上げたり、支所統廃合に踏み切ったところもあると思いますが、JAトップ層からは、「大事なのは、徹底した見える化」だと聞いています。試算した数値を示して「このままではこんなに赤字になる」と提起し、一緒に議論する。そして、JAだけの問題ではなく組合員のみなさんの問題なんだということを理解してもらう。話し合いのなかからしか結論は出てこないと思います。
経済事業改革ではとくに組合員が自分のこととして考えることが大事だと思います。たとえば、JAでやってくれというならコストはこれだけかかる、ということを示す。もともとそうやって事業を作ってきたのが、いつの間にか請負型になってしまって、コストを度外視して組合員の要望に応えるようになってしまっていないか。経営基盤強化のポイントはそこだと思っています。
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