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「収量に手応え」「来年は拡大」 子実トウモロコシの収穫実演会 JA全農 JA古川2022年9月15日

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今年度から子実トウモロコシの大規模実証試験に取り組んでいるJA全農とJA古川は9月13日、現地で収穫実演会を開き、生産者、JAグループ、行政関係者など約200人が参加した。

JA古川管内の水田面積は約7000ha。大豆生産の積極的に取り組み1200haで栽培している。子実用コーンには大豆生産組合を中心とした31経営体が参加し、面積は91.5haとなった。

地域の基幹的な作目である水稲と大豆の作業に重ならないよう播種時期を田植え前、田植え後の2つの作型で実証している。

この日、収穫したのは4月20日に播種したほ場。草丈は2.3mほどになっていた。7月4日に最大瞬間風速25mの強風、16日には観測史上最大雨量となった24時間で237ミリを記録する大雨と風に見舞われたが、被害は一部にとどまった。

JA古川の佐々木浩治代表理事組合長は「当初は雨に弱いのではと思っていたが、大豆よりも強いことが確認できた。関係者の協力でいい状態で経過している。来年もしっかり取り組む。実証試験を参考にJA古川以外でも子実トウモロコシをしっかり転作作物に位置づけてほしい」と述べた。

JA古川 佐々木組合長JA古川 佐々木組合長

トウモロコシの水分は30%。ほぼ適期収穫だといい、コーンヘッダーに付け替えたコンバインで刈り取りを行った。このコンバインではローリングカッターで実と茎葉を分離、実を脱穀部に送る。収穫の途中でトウモロコシをフレコンに排出した。また、収穫後の残稈処理作業も行われた。

刈り取り刈り取り

収穫された実収穫された実

残稈処理作業残稈処理作業

35aを刈り取り2.8tを収穫。関係者は「実は小ぶりだが収量は思ったより多い」と話す。

乾燥機乾燥機

収穫されたトウモロコシはJA古川の大豆センターで乾燥する。同センターには8tの乾燥機が6機あり、一日48tの受け入れが可能だ。13時間かけて水分を14.5%にし、JA全農北日本くみあい飼料の石巻工場へ運搬し保管する。

荷受け荷受け

JA古川の大豆・麦・子実トウモロコシ生産組織連絡協議会の鈴木正一会長は「天候が心配だったが、何とか適期刈り取りができた。当初は80haだったが92haまで増えた。米価の下落で地域では何かを変えなくてはダメだということが分かってきている」と話す。

鈴木会長 鈴木会長

作業は播種後に1回防除しただけで、そのほかはタヌキやカラスなど鳥獣害被害を防ぐため毎日のように巡回した。「トウモロコシは本当に手間がかからない」といい、労力を大豆の中耕培土作業に振り向けることができたため「大豆も順調に育っている」。

来年はこのほ場に大豆を栽培する予定で根の深いトウモロコシによる土壌改良効果などで大豆の収量アップを期待する。トウモロコシは今年の2倍(6ha)に増やしたい考えだ。ただし、水田リノベーション事業で子実トウモロコシが対象となったことから取り組むことができたことから「交付金などしっかりお願いしたい」と強調する。

JA全農の桑田義文専務は「生産基盤の拡充は食料安保にとって何より大事だが、実現に向けては労働力が少なく安心して耕作面積を広げることができる品目が不可欠。子実用トウモロコシは注目されるべき転作品目と確信している」と話す。

桑田JA全農専務桑田JA全農専務

また、将来は国産飼料を使った畜産物の開発と販売もめざすとして「実証試験でノウハウを蓄積して各地の普及拡大していきたい」と関係者に呼びかけた。

雑草、防除、保管など課題

JA全農によると今年度の実証試験でいくつか課題が明らかになったという。

その1つが雑草。ほ場の外側は少ないが、中の畝には多く、トウモロコシ後の大豆栽培への影響が懸念されるため除草体系の確立が課題だという。
肥料の施用量も多く、たい肥の投入量も含めコスト削減に向けて検証が必要になった。

アワノメイガも発生した。これは食害だけでなく食害痕からカビが侵入することが懸念されている。全農では茨城県つくば市の飼料畜産中央研究所で収穫したトウモロコシの品質とともに、カビ毒など分析も行う。同時にアワノメイガに適用できる農薬がないことから農薬メーカーと連携して適応拡大のための試験を迅速に行い、再来年にも適用拡大をめざす。

国産トウモロコシの供給を増やすには、作付け拡大だけでなく乾燥も課題だという。入荷量が増えれば乾燥させる温度も上げることができ、その分、乾燥時間も短縮、飼料原料の増産につなげられる。収穫実演日に大豆センターに搬入されたトウモロコシは量が少ないため乾燥温度は45度程度だったが「少なくとも70度で乾燥させて2回転させ100t乾燥させる必要がある」という。それを保管する倉庫なども課題になり、生産者への十分な交付金とともに、飼料の国産化を進めるための施設整備への支援も必要になる。

JA全農は来年度も同様の実証試験を行うほか、地域を広げ、配合飼料ではなく地域で生産されたトウモロコシを単味飼料として使うといった耕畜連携に取り組む地域も加えたい考えだ。

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