スマホで困った時JAの出番 職員が講師に JA全中が養成手引き2022年12月5日
全国のJAに広がりつつある「JAスマホ教室」について、JAらしい取り組みとするため、JA全中はJA職員がインストラクター(講師)を務められるよう、資材や動画の提供を始めている。取り組みに当たっての考え方などついて解説する。(JA全中教育部教育企画課審査役・高山靖弘)
JAスマホ教室ステップアップによるJAスマホ活用戦略・体制(イメージ例)
JAグループでは昨年7月からNTTドコモ・ソフトバンクの協力を得て、組合員・利用者向けに「JAスマホ教室」を開催・運営している。この1年ほどで、全国約200JAで開催回数は約2000回、延べ参加者は約2万人というところまで伸びている。
そしての10月からは、au(KDDI)からも協力を得て、大手携帯電話会社がそろってのJAスマホ教室に取り組むことができる体制が整った。JAスマホ教室の講師は、近隣の携帯ショップなどから招いたインストラクターが務めている。
加えて、よりJAらしいスマホ教室を目指して、もう一段のステップアップをめざし、JA職員自らが講師となれるよう、11月1日からは学習資材の提供を開始しています。これはJA全中・農林中央金庫が連携し、NTTドコモの協力を得て行っている。
以前のいわゆるガラケー(ケータイ)に代わり、スマホはいまや生活になくてはならない存在となった。通話も可能な手のひらサイズのパソコンを持っているような感覚とも言える。またコロナ禍を経験し、これを踏まえれば非対面・非接触の行動・活動にもスマホは欠かせない。
事業活性化に一役
さらに組合員・JAの事業や活動に視点を移せば、スマホを活用することにより、営農・暮らしの利便性が格段に向上します。加えて、JAネットバンク・JAバンクアプリやLINEの活用などがJA事業利用の拡大や協同活動の活性化、情報提供の強化に大いにつながると考えられる。期限が区切られたマイナポイントの申請にもスマホが活躍している。
スマホやアプリは難しそうだからと二の足を踏んでしまう困り事こそ、気軽な相談先として地域と組合員に寄り添う「JA」の出番ではないかと考えられる。
JAスマホ教室の開催・運営に当たり、JA職員自らがインストラクター(講師)となれるよう提供を開始した学習資材を、以下に紹介する。
まず、インストラクター育成の手引。JA職員をインストラクターとして育てることによりJAが目指す姿や育成スキームの全体像などについて解説する。
次に、インストラクションのポイント動画である。NTTドコモが提供する32講座のうち、JAスマホ教室で現在人気のある12講座について用意した。例えば、「はじめてのスマートフォン」「アプリを楽しもう」「LINEを使いこなそう」などである。これらの講座について、各20分の動画で、受講者へのレクチャーのポイントなどの運営スキルを学ぶ。加えて、アンドロイドやアイフォーンなど端末が違っていても、シニア層にわかりやすく教えられるよう「インストラクタースキル・操作スキル講座」として1動画を準備した。インストラクターを務める職員の研修会などで活用できる。
そして、インストラクションの手引である。12講座それぞれの台本ともいえるもので、説明内容やせりふ、受講者テキスト1ページに使う目安時間などを記載してある。慣れるまでは手引を活用しながらも、受講者テキストの理解を深めて、台本に頼らず、自らの言葉で説明できる講師を目指すことが大切だと考える。
また、学習資材の提供に先立って、去る9月30日にオンラインで「JAスマホ教室全国説明会」を開き、全国各地300カ所から視聴いただいた。この説明会の収録動画と当日の資料(一部改変)もあわせて11月1日から提供を開始した。
ぜひJA職員インストラクターの育成やJAスマホ教室の開催にあたっての予習・復習にお役立ていただきたい。これらの資材などについては、ホームページ「JA全中人づくり」で閲覧・入手ができる。
JAスマホ教室に関する資材などは、JAグループ役職員に限り公開している。ユーザー名とパスワードについて不明な場合は、JA都道府県中央会の教育・くらし・青年女性組織の各担当部署までお問い合わせができる。
シニア世代支援
スマホといえばその操作がシニア世代の組合員の困り事の一つ。だからこそJAの出番である。何より若手職員は小さいころからスマホが生活の一部として存在し、家族や仲間が別々の端末を使用することもあり、その操作に長けている。
岐阜県のJAぎふでは、支店の若手職員が上長と相談・理解を得ながら、自らが講師となるスマホ教室(ネットバンク教室)を開き、他の支店にも取り組みの輪が広がっている。開催告知のチラシはJAらしく温かく、手書き・手製である。
教室に来て、1回受講してもすべてわかるものではない。支店の窓口やふれあいプラザなどにスマホ相談係を配置し、わかる範囲で親切に教えてあげることを検討してはどうでしょうか。組合員からの信頼向上、さらには、職員のホスピタリティー力を高めていく教育機会にもつながる。
JAにとってのデジタルトランスフォーメーション(DX)は、組合員に身近な支店で、JA職員がインストラクターとなってスマホ教室を開き、お年寄りの組合員の皆さまの営農と暮らしの利便性をサポートする「SMALL―DX」から進めていくことが適当と考える。
同時に、スマホ教室を起点として、JA事業、組合員組織活動、情報発信をより充実強化していくことが時代の変化に応じた喫緊の課題である。ネットバンクの普及、女性部・青年部・年金友の会活動、組合員広報などにおいて、スマホを活用することで、劇的なコスト削減や活動活性化につなげていくことが可能である。
固定電話の削減とスマホ導入をセットで進めることで通信費を抑制することもできる。スマホを活用したJA事業・組織活動・広報活動などについて、JA全体の方針のもと、各部門の活用方針・具体策を定め、着実な取り組みを進めたい。全中は農林中金などと連携しながら、全国のJAの創意工夫ある取り組みを掘り起こし、情報発信していきますので、ぜひ実践していただきたい。
JAスマホ教室カリキュラム例
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