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福島の海ではなく日本の海、世界の海... 政府「理解」を矮小化 菅野前JA全中副会長2023年8月22日

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政府は8月22日、関係閣僚会議を開き、東京電力福島第一原子力発電所の処理水について、早ければ24日にも放出を始めることを決めた。これに対して前JA全中副会長の菅野孝志氏は政府は漁業者の理解が得られたというが「理解を矮小化している」と批判している。

前JA全中副会長の菅野孝志氏前JA全中副会長の菅野孝志氏

菅野氏は政府が2年前の2021年4月に処理水の海洋放出を決めた際、JAグループ福島会長として「福島県の第一次産業に携わる立場として極めて遺憾」との談話を発表した。事故から10年経っても県産の農林水産物への風評被害は継続しているとして海洋放出は水産物だけでなく本県農林水産業の衰退と風評被害の拡大につながる、と懸念した。

また、さらに研究開発を進めトリチウムを含めた核種の完全除去が可能となる技術開発を進めることも求めた。

今回の政府決定については「関係者の理解なしにいかなる放出せず処理した水はタンクに貯留する、という文書で交わした約束は何だろう」という気がすると批判する。

とくに地元漁業者の理解が得られたとする姿勢に対しては「漁業者の理解が得られた、と矮小化しているのではないか。農業者や地元住民の理解はどうなるのか。福島の海ではなく日本の海、さらにいえば世界の海なのに一部の人の理解で進めようとしている」と指摘する。

政府は処理水の安全性についてIAEA(国際原子力機関)が「お墨付き」を与えたかのように説明することも疑問を示す。「IAEAはトリチウムの濃度について安全性を確認したというだけ。しかもIAEA自身、関係者の理解を求めている。国は都合のいいところだけを取って判断しているのではないか」。

また、処理水を放出しなければ廃炉が進まないというが「(事故原発に)入ってくる水を遮断するという話にはなっていない。タンクがなくならなければ復興はできないというが、地下水の流入が続けばタンクはなくならないでのはないか」と指摘する。

菅野氏も作成に関わった「復興と廃炉の両立とALPS処理水問題を考える福島円卓会議」が21日にまとめた緊急アピールでも「いま優先して取り組むべきなのは地下水・汚染水の根本対策である」と訴えており、地元の復興に直結する問題であると強調している。菅野氏をはじめ現地ではこうした数々の問題を指摘し、県民・国民が参加して議論する場が必要だと訴えている。

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