市場再生を核に"縁"づくり 愛知県・豊橋商工信用組合(1)【全中・JA経営ビジョンセミナー】2023年12月13日
JA全中は11月14、15の両日、愛知県豊橋市で「JA経営ビジョンセミナー」を開いた。神奈川県福祉クラブ生協、静岡県の(株)エムスクエア・ラボ(野菜バス)の現地セミナー(フィールドワーク)に続く第3セッションとして、愛知県豊橋市で地域密着の金融事業を展開する豊橋商工信用組合の取り組みを学んだ。同信用組合は、経営不振に陥った地方卸売市場の経営再建を支援し、駅ビルに野菜の直売所を出店したり、支店に組合員のビジネス相談や市民の交流の場となるフロアーをつくったりして、地域との”縁”づくりに努めている。
大一青果による駅ビルの直売所
市場の概念超えて
JA経営ビジョンセミナーでは、豊橋商工信用組合が経営支援した大一青果(株)を訪問した。同青果は東三河地域の農産物流通の中核市場で、豊橋市を拠点に市民の台所役を担ってきたが、農産物流通の多様化、市場外流通の拡大などによる集荷力の低下などで長年、経営不振が続いていた。
このため信用組合が、役員や職員を派遣して経営再建を進めた。青果市場を集約するとともに総菜、漬物、密封包装食品、菓子製造などに取り組んだ。また、今年の8月には豊橋駅ビル内に直営の直売所「伝達ショップ」を出店し、長年の赤字体質から脱した。
市場から直送する野菜は鮮度がよく、駅ビルという利便性もあって、人気店となっている。経営再建のため信用組合から出向している鈴木孝幸副社長は「消費者の口に入るまでが青果市場の役目だ」という。
フードバレー構想
フードロスコーナー
フードロスの削減にも取り組んでいる。青果市場内に、仲卸業者による、一般消費者向けの直売所を開店。その中の『フードロスコーナー』では、売れ残りや傷もの野菜の詰め合わせを安く販売するなど、市場ならではの強みを生かした事業の多角化で、従来の青果市場の概念を超えた事業を展開している。
いま東三河地域では、中部ガス不動産(株)が中心になって、地元ホテルや農業法人なども加わった、東三河の"食"を世界に発信しようという「東三河フードバレー構想」の取り組みが進んでいる。豊橋商工信用組合も、青果市場を核にこの構想に参画し、市場をキーポイントに「フードクリエーターの聖地」をめざす。
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