高齢社会進展でサポート事業に活路 ヤマト運輸に学ぶ② 高齢者見守りも【全中・ミライ共創プロジェクト研修】2023年12月14日
JA全中教育部は、11月7、8の両日、ミライ共創プロジェクトの第3セッションを東京都町田市で開いた。ヤマト運輸が「暮らしのために、できること、いろいろ」をコンセプトに展開している社会課題解決ビジネスを学んだ。少子高齢化が進むなかでJA事業のヒントにもなりそうだ。
高齢社会進展でサポート事業に活路 ヤマト運輸に学ぶ① から続く
高齢者見守りも
「ネコサポ」は8月末で全国6地域に8店舗開設されている。それぞれの地域で地域の特産品の販売や行政と連携したサービスなども行っている。
たとえば、千葉県松戸市ではオレオレ詐欺を撃退する機器を高齢者宅に設置する事業を推進しているが、その申し込み受け付けや機器の設置、報告業務などをネコサポが受託し公益性の高いサービスの提供を行っている。
またコミュニティースペースを活用したメルカリの使い方を学ぶ教室やスマホ教室、絵本の読み聞かせなどのイベントでは高齢者だけでなく、子育て世帯など多様な世代がつながる地域活性化に寄与している。
こうしたなか高齢者の見守り事業にも取り組んでいる。65歳以上が3600万人となり、そのうち750万人が一人暮らし。その安否確認を子どもや親戚に情報提供する目的で取り組んでいるのが、IоT電球「ハローライト」への交換サービスだ。自宅のトイレや廊下などの電球をハローライトに交換すると、24時間点灯や消灯が確認できないと子どもなど通知先にメールが届くという仕組みだ。
官民一体で安心感も
このクロネコ見守りサービスは全国にいる社員が電球の設置や、緊急メール通知先からの依頼で行う代理訪問も行う。
櫻井部長は「ヤマトの経営資源である全国にいる社員を活用した社会貢献」と強調する。初期費用は不要で月額1078円とリーズナブル。個人の申し込みだけでなく、自治体として導入した地域も広がっている。
異常を検知したときに訪問対応するのは全国各地のクロネコヤマト事務所の所長をはじめ事務員。サービス開始当初は「心配し過ぎ」「まだまだ元気だから不要」との声もあったが、最近では代理訪問した所長に感謝の言葉が寄せられているという。
クロネコ見守りサービス
見守り支援をはじめとして同社は地方自治体との連携協定を600件以上締結し、官民一体で地域課題の解決と地域活性化に取り組んでいる。
最近では利用者の高齢者から「ネコサポがあるから暮らすことができる」との声も聞くという。収益を生み出すのは厳しいが櫻井部長は「トップ層から『宅急便』の頭を捨て、世のため人のために何ができるか考えろと言われました」と明かし、「地域の声を反映し進化させていく。ネコサポは地域貢献のシンボリックな存在でありたい」と語った。
地域のデザイン描く
ヤマトグループは社員約22万人、宅急便センターは3300カ所ある。かつては個人から個人、企業から個人への宅配便が多く、個人の荷物は酒屋や米屋でも受け付けるサービス業となり、日本社会になくてはならない事業になった。
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