関係人口広げ 豊かな社会へ 利他の心で協同を紡ぐ(1)文芸アナリスト 大金義昭氏2024年2月1日
第69回JA全国女性大会が1月17、18の両日、東京都内で開かれた。大会を機に、JA女性組織の活動を長い間見てきた文芸アナリストの大金義昭氏に寄稿してもらった。大金氏は「市民社会の真ん中で『関係人口』を増やす」活動や、「利他の心を磨き協同を紡ぐ」ことを期待する。(関連記事にJA全国女性大会詳報、JA全国女性協会長インタビュー)
文芸アナリスト 大金義昭氏
市民意識に学べ
能登半島地震発生から一カ月。寒中の被災者を思うだに胸が張り裂ける。消防団員や警察官、自衛隊員などが現地で必死の救助・復旧作業を進めている最中に、陸上自衛隊は習志野演習場(千葉県)で他国の侵攻を想定した離島奪還の「降下訓練始め」を実施していたと知り、あぜんとした。
人命救助に一刻を争う政府は、自衛隊を被災地に総動員する態勢を先導すべきだ。これが健全な市民感覚だろう。要するに、硬直化してリアリティーを欠く政府の狭隘な判断力が、市民の良識と著しくかけ離れているということだ。
辰年は「荒れる」と言われる。年明け早々に大震災や航空機衝突事故が続発した。政治資金パーティーをめぐる政権与党の裏金作りも長年に渡り横行していたことが発覚した。法の目をかいくぐる錬金術が生んだ裏金を阿吽(あうん)で融通し合う利益誘導集団は言語道断。「政治家」は「三日やったらやめられない」ということか!
人間は「社会的動物」である。「群れ」を作る。作りたがる。だから「政策集団」は一概に否定できない。「水に落ちた犬を打つ」(打落水狗)趣味はないが、劣化を極める「政治家」が市民の良識に学んで自立しなければ、民主主義は崩壊する。「派閥解消」は、「当座しのぎ」の「目くらまし」にすぎない。
危機突破の糸口
国内農業が60有余年に及ぶ「貿易立国」のいけにえにされ、「消滅の危機」に追い込まれている。立て続けに締結されたメガFTA。これに異を唱えたJAグループに対するむき出しのバッシングなど、農業つぶしの強権的な政策は枚挙にいとまがない。
農林予算は1982年度をピークに減少傾向を辿り、2024年度は国の当初予算の2%(2・26兆円)。これに対し、「抜本的強化」を唱えて米国や軍需産業を雀躍(じゃくやく)させた防衛関連予算は7・94兆円に膨張した。GDPに占める農業の割合はコンマ以下。23年の基幹的農業従事者は平均年齢が68・7歳で116・4万人に。いずれ30万人台に激減することが見込まれる。新規就農者も22年には5万人を割り込んだ。
その結果、農地の減少率が過去最大になり、販売農家(とくに小規模)の減少が際だっている。10ha以上の農家が62%に達したが、耕作面積の拡大は生産資材の高騰や高止まりの影響を受け、厳しい経営難に見舞われている。コロナ禍や円安、ロシアのウクライナ侵攻などがこれに追い打ちを掛け、酪農や畜産は撤退や倒産に追い込まれる事態が続いている。食料自給率が先進諸国最低の30%台を抜け出せない現状は当然の帰結だ。
JAcom『農業協同組合新聞』はこうした事態を受け、昨秋から新年にかけて一連の特集を企画。「消滅の危機」から脱出を図るべく、JAをよりどころにした「持続可能な農業・農村(経済・社会)」の実現を探っている。小文はその一環として、JAグループにおける男女共同参画を促進する観点から引き受けた。農業・農村が不死鳥のようによみがえる契機はあるのか。その端緒を、「関係人口」の拡大からひも解いてみたい。
(関連記事)
JA全国女性協・久保町子会長に聞く(1)食と農の大切さ自明 女性の観点もっと
【JA女性組織活動体験発表】
(1)JA女性部の仲間と共に 秋田県 JAあきた湖東女性部 菅原まり子さん
(2)素敵な仲間と可能性広がる女性協活動を 群馬県 JA前橋市女性協 北爪きよ子さん
(3)地域と親子をつなぐために、私たちができること 静岡県 JAとぴあ浜松女性部 二橋佳子さん
(4)ピンチはチャンス! ~新たな活動の始まり 和歌山県 JAありだ女性会 田中清美さん
(5)「信頼・思いやり・感謝」手と手でつなげよう女性部活動 島根県 JAしまね出雲女性部乙立支部 今岡千恵子さん
(6)想いを紡ぎ次世代へ~私たち女性部活動の新たな挑戦~ 福岡県 JAふくおか八女女性部 松田玲子さん
重要な記事
最新の記事
-
基本法施行後初の予算増確保へ JAグループ基本農政確立全国大会に4000人 生産者から切実な訴え2024年11月22日
-
「適正な価格形成」国関与で実効的に JA群馬中央会・林会長の意見表明 基本農政確立全国大会2024年11月22日
-
JAグループ重点要望実現に全力 森山自民党幹事長が表明 基本農政確立全国大会2024年11月22日
-
農林水産省 エン・ジャパンで「総合職」の公募開始2024年11月22日
-
鳥インフル 米モンタナ州、ワシントン州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年11月22日
-
鳥インフル オランダからの生きた家きん等 輸入を一時停止 農水省2024年11月22日
-
11月29日「ノウフクの日」に制定 全国でイベント開催 農水省2024年11月22日
-
(411)「豚ホテル」の異なるベクトル【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年11月22日
-
名産品のキャベツを身近に「キャベツ狩り選手権」開催 JA遠州中央2024年11月22日
-
無人で水田抑草「アイガモロボ」NEWGREENと資本業務提携 JA三井リース2024年11月22日
-
みのるダイニング名古屋店開業2周年「松阪牛ステーキ定食」特別価格で提供 JA全農2024年11月22日
-
【スマート農業の風】農業アプリと地図データと筆ポリゴン・eMAFF農地ナビ2024年11月22日
-
自動運転とコスト【消費者の目・花ちゃん】2024年11月22日
-
イチゴ優良苗の大量培養技術 埼玉農業大賞「革新的農業技術部門」で大賞受賞 第一実業2024年11月22日
-
「AGRIST Aiサミット 2024」産官学金オープンイノベーションで開催2024年11月22日
-
厚木・世田谷・北海道オホーツクの3キャンパスで収穫祭を開催 東京農大2024年11月22日
-
大気中の窒素を植物に有効利用 バイオスティミュラント「エヌキャッチ」新発売 ファイトクローム2024年11月22日
-
融雪剤・沿岸地域の潮風に高い洗浄効果「MUFB温水洗浄機」網走バスに導入 丸山製作所2024年11月22日
-
農薬散布を効率化 最新ドローンなど無料実演セミナー 九州3会場で開催 セキド2024年11月22日
-
能登半島地震緊急支援募金で中間報告 生産者や支援者が現状を紹介 パルシステム連合会2024年11月22日