【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ対策を万全に 農業倉庫基金理事長 長瀬仁人氏2024年4月19日
農業倉庫基金理事長
長瀬仁人氏
平素、当基金の事業にご支援、ご協力をたまわり、厚くお礼申し上げます。
当基金では、令和6(2024)年4月15日から6月30日までを、「農業倉庫保管管理強化月間」に設定し、保管米麦の品質保全と倉庫事故の防止を図る運動を、JA全農とも連携して展開しています。
今年度は、①保管米麦の品質保全とカビ防止・防虫・防(ぼうそ)②保管米麦の水害の防止③自主的衛生管理の実行の3点を重点取り組み項目としました。
残念ながら当基金の損害補償対象事故の中でも、最近は保管中の米麦のカビ事故が増加傾向にあります。倉庫カビ事故の背景には施設の老朽化や人員など管理体制のほか、常温倉庫が農業倉庫の半数を占めている中での温暖化による気温上昇、保管形態が紙袋からフレコンに変わってきていることなど、さまざまな要因が考えられます。ただ、当基金がカビ事故の原因調査や再発防止にかかわった中には、空調機など設備の不良や原因の特定が困難なものがある一方で、保管管理で最も重要な日常の温湿度管理の問題を指摘したケースもあります。
圃場(ほじょう)や保管時に米麦に生育するカビの中には、最悪人の健康に害をなすカビ毒を産出する種類もないわけではないので、倉庫保管中はカビが繁殖しないよう温湿度を適切に管理しなければなりません。最近では、倉庫内の温湿度をスマホやPCで24時間遠隔管理し異常があればアラーム通知される便利なシステムも発売され、その中には防虫防鼠対策など衛生管理に関する指導がセットになったものまであり、採用するJAも増えてきています。
現在は食品事業者のHACCP(危害分析重要管理点)義務化もあり、米麦の保管中の衛生管理や品質管理について、社会的な関心は高まっています。国民の主食である米麦の保管管理に万全を期すためにも、この農業倉庫保管管理強化月間の期間中に、役員による現場巡回を含めて、農業倉庫での米麦保管状況の再点検をよろしくお願い申し上げます。
【関連記事】
・現地レポート:JA水戸 那珂川低温倉庫(茨城県) 温湿度・穀温 適正化徹底(24.4.19)
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