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支店の教育文化活動で地域を元気に 家の光2013年8月6日

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家の光文化賞JAトップフォーラム2013

 家の光協会は8月5、6日の2日間、東京都港区のホテルオークラ東京で「家の光文化賞JAトップフォーラム2013」を開いた。「JA教育文化活動の展開による次代へつなぐ協同の実践?支店協同活動で組合員・JA・地域を元気に?」のテーマで、支店を中心に、とくに教育文化活動を展開し、組合員の組織基盤を強化するとともに地域での存在感を高めている先進的なJAの取り組みや、JAの組織基盤の基になっている農家組合の強化策などについて意見交換した。全国のJAを中心に全国組織の常勤役員や幹部職員など約420人が参加した。

開会のあいさつをする家の光協会・園田俊宏代表理事会長 JAグループは、昨年のJA全国大会で、「支店を核に組合員・地域の課題に向き合う協同」の実践を決議した。今回のフォーラムはこの方針に基づき、JAの教育文化活動によって、次世代や子ども・地域住民とJAのつながりを強めようというもの。開催のあいさつで家の光協会の園田俊宏代表理事会長は「JAが支所・支店という最前線から、いかに協同活動を通じて豊かで暮らしやすい地域社会の実現に貢献するかを相互研究して欲しい」と、フォーラムの意義を述べた。
 フォーラムでは、石田正昭・三重大学招へい教授がテーマの趣旨を説明。このなかで、地域にねざした地域社会に責任を持つJA組織の基盤は農業集落にあるが、「いま、その集落が危ない」と指摘する。とくに地域のリーダーの減少に警鐘を鳴らした。そして、[1]組織基盤強化のためのJAトップの役割[2]支所・支店の教育文化活動の強化[3]次世代の若者、女性のJA活動への参加・参画の促進[4]地域住民との関係性の深化―などを、検討すべき課題として挙げた。
 次いで家の光協会の下川正志専務が支店による協同活動の重要性を指摘。支店の具体的な活動として、[1]「支店まつり」の開催[2]「支店だより」の発行[3]支店に人が集まる「場づくり」を提案した。その上で、こうした活動を仕掛ける「教育文化・家の光プランナー」の設置を呼び掛けた。

(写真)
開会のあいさつをする家の光協会・園田俊宏代表理事会長

◆「ふれあい座談会」を徹底

JA静岡市・青山吉和組合長 実際の取り組みについては、JA静岡市と福岡県JA筑前あさくらが報告した。
 JA静岡市は現在取り組んでいる「3か年計画」を紹介。農業経営の安定、地域社会づくり、JAの組織基盤強化等を柱に据える。そのひとつJA静岡市食農教育プランでは、農業体験・食体験、学校給食・授業、地産地消、消費者との交流などに取り組んでいる。
 さらに、同JAは組合員教育のため資金を積み立てている。目標は10億円。こうした組合員教育を効果的に進めるために組合員教育対策委員会があり、積立金の活用方策を検討する。また、正組合員の声、要望を直接聞き、JAの運営に役立てるため「ふれあい座談会」を部農会(農家組合)単位に開いている。そのときの質疑応答集をつくり、組合員にフィードバック。同JAの青山吉和組合長は、「座談会を通して、JAの考え、運営等を組合員に理解してもらうとともに、組合員の声、要望をJAの事業に反映させていくことが大事」という。

(写真)
JA静岡市・青山吉和組合長

◆「JAのファンづくり」で成果

JA筑前あさくら・深町琴一組合長 JA筑前あさくらは、平成24年度まで取り組んだ中期事業方針の成果を報告。[1]JAらしさを取り戻す原点回帰。ニーズを察知した新たな協同の創造[2]組合員組織拡充による満足度向上取り組み、食と農を起点とした地域興しの役割を果たす-をメインテーマに掲げて取り組んだ。これを地域密着活動、つまりJAのファンづくりとして位置付け、▽各支店が「支店だより」の発行、▽各支店の創意工夫による地域活動の展開、▽教育文化活動につなぐJAファン掘り起し運動の展開?を行うよう働きかけた。
 同JAの深町琴一組合長は、質・量ともに企画力の高い支所(宝珠山支店)での利用者アンケート結果から報告。このなかで、[1]支店の活動に参加者の多い理由は、支店運営委員を企画段階から巻き込んだ支店感謝祭を開くなどで、利用者=運動者になっている[2]総合支店づくりを合言葉に、組合員と常に会話がつながるよう、金融担当職員も肥料・農薬の知識を得るための勉強会を毎週1回続けている[3]組合員利用者から信頼される、喜ばれるという体験を通して、職員が協同組合運動者へ意識変化している-などの特徴を挙げた。

(写真)
JA筑前あさくら・深町琴一組合長

◆事業実績もプラスに

 このようにJAグループは地域における支店の活動を重視しているが、これがJAの事業にどうつながっているのか。この課題について、京都大学学術情報メディアセンターの仙田徹志准教授が報告した。平成21年から24年まで、愛知県17JAの支店長を対象に、支店行動計画と支店まつり、支店だより、相続や税務などの相談活動、の3つの支店活動について聞いた。
 その結果、相談活動を除いてJA事業への効果が認められた。とくに、支店行動計画を策定している支店長は、地域活動が事業成果に結びつき、女性職員もよく手伝い、地域活動の取り組みがJA内でも評価されていると感じていることが分かった。
 ただ、支店長はこうした支店の地域活動が重要であると認識しながら、これに負担感も持っているという。これを解消するには、「JAが地域活動を組織活動の基本方針の中に位置づけるとともに、正当な評価システムの導入が肝要」と仙田准教授は指摘した。それがあって、支店職員同士や組合員(組織)の積極的な協力・参加体制ができるというわけだ。

◆農家組合の再編強化を

支店協同活動のあり方で報告、討議するトップフォーラム 2つの実践報告をもとにした全体討議では、組織基盤強化のための農家組合の再編強化をめぐって、岩手県のJAいわて花巻やJAいわて中央、長野県のJA松本ハイランドなどの取り組みが話題になった。
 いずれも、合併で新たに加わった地域で農家組合をつくったり、高齢化した農家組合を統合して集落営農を組織したりするなど、生産と生活活動による地域再生に成果をあげている。

(写真)
支店協同活動のあり方で報告、討議するトップフォーラム


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