JA全中臨時総会 TPPで特別決議を採択2013年8月8日
JA全中は8月8日、東京都内で臨時総会を開き、「TPP交渉に関する特別決議」を満場一致で採択した。
萬歳章JA全中会長は冒頭のあいさつで、政府がTPP交渉への正式な参加を決めたことについて、「まことに遺憾」と強調。これからもJAグループをあげて「食と暮らし、命を守る運動を徹底していく」と改めて決意を述べた。また、今後の国会のなかで、「JAに対する言われなき批判が出ると予想される」との懸念を示し、そうした批判への対策として、「結集力を高め、魅力ある事業を行い、国民から信頼される組織になること」が大切だと述べた。
総会では、平成24年度の事業報告や、JAバンク千葉信連と農林中金との統合による予算の補正、役員の補選など7つの議案を承認した。
役員の補選では、退任した小那覇安優氏、瀬良静香氏、遠藤友彦氏の3人の理事に代わり、森永利幸氏(JA宮崎中央会会長)、大川原けい子氏(JA全国女性協会長)、山下秀俊氏(JA全青協会長)の3人が理事に、退任した林正照氏に代わり梶谷昭伸氏(JA愛媛中央会会長)が監事に、それぞれ選任された。
(写真)
TPPへの遺憾の意を示す萬歳会長
◇
特別決議では、TPPが農業だけでなく、食の安全・安心、医療、保険など国民生活に直結する重大な問題を含むとの危惧からJAグループを挙げて反対運動を展開してきたが、交渉参加したことは「極めて遺憾」とした。
そのうえで▽国会や自民党の決議に即した交渉方針の早期確立と国民への提示▽決議内容を遵守した交渉結果の実現、が求められるとし「それができない場合は即時、交渉から脱退する他に選択の余地はない」と強調。
また、「政府は保秘契約を盾に交渉を秘密裏に進めることなく情報開示と国民的議論を徹底するとともに農業者の声を必ず交渉に反映させなければならない」と主張している。
【特別決議全文】
TPP交渉に関する特別決議
TPPは、食の安全・安心、医療、保険、ISDなど、国民生活に直結し、国家の主権を揺るがしかねない重大な問題を含むばかりでなく、農業に壊滅的な影響を与えるとの危惧から、JAグループは、これまで徹底した反対運動を展開してきた。こうした不安や懸念が払拭されないまま、今般、正式な交渉参加に至ったことは、極めて遺憾である。
政府は、国権の最高意思決定機関たる国会の農林水産委員会決議や、与党自民党の決議に即した交渉方針を早急に確立し、国民に示すとともに、決議内容を順守した交渉結果を実現しなくてはならない。それができない場合には、即時、交渉から脱退するほかに選択の余地はない。
併せて、交渉においては、食料の安定供給確保を国家の最も基本的な債務として掲げ、食料自給率の向上を目指す食料・農業・農村基本計画や、農業・農村所得倍増を掲げる日本再興戦略の実践に際し、いささかも悪影響をもたらすことがあってはならない。
TPP交渉が年内合意に向けて加速し、並行して日米二国間協議が始まるなか、政府は、保秘契約を盾に交渉を秘密裏に進めることなく、情報開示と国民的議論を徹底するとともに、我々農業者の声を必ず交渉に反映させなければならない。
我々は、引き続き、国民に対して、安全・安心な農産物を安定的に提供する役割を確実に果たすとともに、わが国農業の重要性について、より多くの理解を得る取り組みを、今後一層強化していく。こうして得られた国民の支持を背景に、我々の主張を実現するため、組織の総力を挙げて徹底した運動を展開していく。
以上、決議する。
平成25年8月8日
全国農業協同組合中央会 臨時総会
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