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自己完結型JAのあり方学ぶ 新世紀JA研究会2013年12月6日

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第15回セミナーinJAふくおか八女

 JA役職員同士の情報交換・相互研鑽を通じてJAの連携強化をめざす新世紀JA研究会(代表:藤尾東泉JAいわて中央(岩手)代表理事組合長)は11月28、29日の両日、JAふくおか八女(福岡県)で第15回セミナー「ふくおか八女がめざす自己完結型JA?生産と消費をつなぐ営農・販売戦略?」を開催。全国から150人が参加した。

◆政策提案できる職員に

藤尾東泉代表 研究会の藤尾代表(=写真右)はあいさつで、「TPPへの対応や農政改革などで現場は困惑している。例えば、飼料用米への転換などに対しJAも作付誘導する必要があると思う」など、現在の農業を取り巻く環境についてふれ、こうした激しい変化に対応できるJA役職員となるため「全国のJA同士、意見交換を密にして課題解決をめざそう」と参加者らに呼びかけた。
JA福岡中央会の松尾照和会長 来賓でJA福岡中央会の松尾照和会長(=写真左)は、米の生産調整見直しや食料自給率の問題などを例にとり、「国家安全保障の一翼を担うのが食料。この確保のためには農業者が農業で十分な所得を得られる政策が必要だ。われわれはそうした提案をしていかなければならない」と述べ、そのためにもこのような研修の場が大事だと強調した。

◆組合員・消費者のニーズに応え直販拡大

JAふくおか八女の久保薫組合長 JAふくおか八女の久保薫組合長(=写真右)は基調報告で「平成8年のJA合併以来、自己完結型JAをめざし改革をすすめてきた。地域が必要としないJAは存在意義がない」と、JAの運営方針を述べた。
 “自己完結型JA”とは、組合員の労働生産性の改善、農業所得の向上などを実現し、JAが流通・消費者ニーズにあった最終商品をつくり直接販売する、という営農・経済主導型のJAを表現した言葉だという。
 その具体的取り組みとしては、直販事業、生協や食品メーカーなどと連携した新たな加工品開発、独自の環境センターでの残留農薬検査システム、東京営業所や直販課の設置などがある。
 この中で、同がとくに力を入れているのが直販事業だ。同JAの販売高は251億円。直販は、実に、その2割以上となる55億円を占めている(24年度実績)。
 直販事業の柱は平成11年に設立したパッケージセンター(PC)だ。組合員が生産や経営に注力できるよう、JAが農産物をコンテナのまま買い取り、PCで検品・パック詰め・梱包・出荷まですべて責任もって行う。
150人が参加したセミナー JAの買取価格は市場価格の87%。つまり13%が手数料となるが、例えば地域の特産品であるイチゴは、平均的な作業時間のおよそ6割が検品や梱包に費やされており、その作業をすべてJAに委託できるのは組合員にとって大きなメリットだ。JAにも、実需者のニーズに応じたパックを設定できるためプライベートブランドづくりや有利販売を実現しやすいなどのメリットがある。現在、イチゴだけでも約30アイテムを取り揃えている。
 組合員からのPC利用のニーズは高く、25年には3つめのPCを設立。26年から本格稼働する。
 久保組合長は「常に地域とともにあるJA」となるためにはJAと組合員との距離感を縮めなければならないと述べ、そのためには「JA役職員がどれだけ現場に足を運ぶかが大事。人事異動があれば、組合員から送別会を開いてもらえるような職員になれ」と指導しているという。

◆ブランド化 自信持てるものを売る

住宅会社タマホーム(株)の玉木康裕代表取締役社長 2日目には全国規模で木造住宅の注文建築を行っている住宅会社タマホーム(株)の玉木康裕代表取締役社長(=写真左)、パルシステム生協連の青果・米の仕入れや企画、物流などを手がける(株)ジーピーエスの野村和夫専務取締役長(=写真右)が講演した。
 タマホームは前身の企業が八女郡の発祥。1998年に会社を設立し、2013年に東証1部上場を果たすまでの15年間の活動を例に、経営者としての心構えやブランド化の大切さなどを説いた。
 ブランド化については、「全国各地、JAにはそれぞれ特色がある。これなら負けない、というものがあるはずだ。お客さんに対して自信のあるものを売るのは当たり前。今日より明日、明日より明後日、よりよいものをつくろうという気持ちがお客さんの信用と安心安全につながり、それがブランドになる」と述べた。
(株)ジーピーエスの野村和夫専務取締役長 野村氏はパルシステムの産直運動の一例として、全国の生協でも取り扱いが広がっている飼料用米を使った畜産を紹介し、「政府は飼料用米の作付拡大をすすめようとしているが、売り先があるかどうかが問題。(最終的に商品を買う)消費者の組織化をすすめなければならない」とした。また、「米国の畜産は資本が入り経営重視」となったため、添加物を大量に使い、アニマルウェルフェアにも気を使っていないなどの現状を紹介。「(日本では)JAとも協力し、飼料用米を利用した地域循環型の畜産を広げていきたい」と述べた。

 セミナーでは、▽TPP反対運動の展開▽水田農業政策の確立▽持続可能な農業政策の確立、など全6項目の大会アピールを満場一致で採択した(別記参照)。研究会代表団は12月26日に、この大会アピールをもってJA全国連や政府などに対する要請活動を行う予定。
 また、次回の第16回セミナーは6月中旬にJA市川(千葉)の主催で開催することが決まった。

 

【第15回セミナー大会アピール】(要約)

[1]TPP反対運動を引き続き国民運動として展開する
[2]十分な予算措置や生産・販売全般にわたる飼料用米対策など万全な水田農業政策の確立をめざす
[3]後継者育成や地域資源を活用した新たな産業創出など持続可能な農業政策の確立をめざす
[4]東日本大震災からの復興支援や脱原発に向けた取り組みをすすめる
[5]消費増税への対応。とりわけ農産物の生産・販売にかかわる消費税のゼロ税率となるよう取り組む
[6]組合員の参画強化(魅力ある事業強化と組合員・役職員の学習促進)


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