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生産者の所得向上 JAへの事業提案2014年2月12日

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JAグループの青年農業者研修報告(4)

 昨年12月初めに東南アジアの農村などを視察した「青年農業者のリーダー育成・交流研修団」(主催:JA全中・JA全青協)はJA青年部員とJAの若手・中堅職員がともに参加したのが特徴だ。研修の最後にはグループワークを通じて地域の農業振興とJA事業の課題などを話し合って発表した。

◆課題を出す

船内研修で熱心に討論する参加者ら グループワークのテーマは「生産者の所得向上に向けてのJA事業の課題とその解決策」。約90人の参加者は8つのグループに分かれて話し合った。
 グループワークはJA青年部が2012年から取り組んでいる「ポリシーブック」の手法。各人が課題を出し合いグループ内で課題を絞る。その課題の本質と解決方向を探る。そのうえで今回のテーマでは▽生産者自らがやること▽JAと生産者が連携して取り組むこと▽JAが連合会と連携してやること、といったかたちで課題解決策と具体的なJA事業の提案をまとめていった。
 グループワークにルールは意見の批判をしない、話を最後まで聞く、全員が意見を出すなどだ。話し合いは、青年農業者として、あるいはJA職員として自らの課題を話すことから始まった。

(写真)
船内研修で熱心に討論する参加者ら

 

◆事業を提案

研修を通じて交流を深めた 農業者からは「市場出荷では価格が不安定で直売に取り組んでいるが労働力の確保が課題、「生産だけに集中できれば。もっとJAが販売努力を」、「経営相談をJAにはしにくい」、「法人化しろというが雇用を抱えられるほど儲からない、「農家どうしもっと話をして情報を共有していくことも必要では」、「新規就農者をJAが作り出すべき」などさまざまな意見が出た。 こうしたディスカッションの結果をまとめた解決策とJA事業への具体化についての提案のいくつかは以下のようなものになった。

○農家とJAの歩み寄りが少ないため、JAの思いが伝わっていない。生産者自らJAを育てていくことが大事。JAは生産技術など情報の提供による共有化、農家の目線に立てる職員の教育研修を。同世代の農家と職員の連携による次世代リーダーの育成もするべき。

○生産者もJAも異業種との交流が大事。多様性のある販売チャネルの開拓、他県生産者との交流も大切。販売ルートの多様化は生産物の多様化につながり農業者のさらなる向上につながる。

○農業者の経営者としての自覚意識が高まっている。その意識の変化に対応したJAの関わり方が必要。

○労働力が課題。JAグループとして農業人材バンクをつくり法人などに派遣してはどうか。再雇用や独立などにつなげれば、地域に若者が集まる事業にもなる。

○基本に立ち返って、技術と品質向上をめざす部会組織の強化が重要。それが所得向上にもつながる。

○JAは営農指導員のスキルアップと人材の定着を。若手職員の研修に生産者も関わった人づくりをするべき。

 などだった。提案のなかにはタブレットを利用した市況情報の提供や、ネット販売の拡大など情報技術の積極的な活用を求める意見も多かった。

(写真)
研修を通じて交流を深めた

◆話し合う力

 ディスカッションを総括してJA全中の鶴留尚之営農・農地総合対策部次長は「販売力強化には、生産者とJAの連携で高度な組織をつくり出す必要性が示されたのではないか。それは人と人との関係性を高めていくことでもある。話し合う力をこれからも大事にしてほしい」などと話した。
 今回の研修は「青年農業者のリーダー育成」が目的とされているが、それは次の時代のJAを担うのは青年農業者だということである。
 研修の最初には「JA経営は誰が担うのか」をテーマにした講義も行われた。
 そこで強調されたのはJA=農業協同組合とは正組合員が役員になることを想定した組織である、ということ。組合員は、出資者でもあり、利用者でもあるが、経営にも参画できるのが協同組合である。しかも、地域に根ざした協同組合であるからには、その経営に関わる人的資源はすべて地元から調達しなければならない。
 もちろんこうした前提で運営が行われている地域もあるが、職員がJAトップを務めることもある。研修で青年農業者に強調されたのは「JAの経営は職員に任せておけばいいのでは」といった意識でいいのかということだった。
 その意味で「青年部はJAのリーダー養成機関」であることが強調された。未来の組合長や理事を育てる組織といえる。JAは地域で時間と経験を共有している人々が組織する。農家組合員のための組織であることはいうまでもないが、自分たちがつくる組織でもある、ということが研修参加者への強いメッセージだった。


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