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JA全中中央SP

JA全中がビジョン運動で研修2014年6月16日

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 JA全中は6月12、13日東京都内で、地域営農ビジョンづくり運動を進めているJAや都道府県中央会などの担当者を対象に研修会を開き、ビジョン策定の目的、課題、手法などについて学び、意見交換した。特に、平成26年度から本格化する日本型直接支払の創設や水田フル活用と米政策の見直し、農地中間管理機構の創設など、新たな農業・農村政策(「新農政」)の活用について、現場のニーズをどのようにつかみ、政策に反映させるかが焦点になった。

 JAグループは平成24年度から、農家自らの徹底的な話し合いと合意形成に基づき、地域農業の将来像を描き、実践する「地域営農ビジョン策定・実践強化全国運動」に取り組んでいる。


◆担い手・農地重点

地域営農ビジョンづくりで討議するJA、県中央会等の担当者 その目標は、地域農業の生産拡大、農業所得の向上、農を通じた豊かな地域づくりーの3点。重点的に取り組むべき課題として、担い手経営体の明確化と農地の集積、多様な担い手の役割発揮、JAの生産・販売提案を踏まえた地域の特徴ある産地づくりを掲げる。
 このビジョンを、それぞれ行政・関係団体との連携、集落・地区単位の農家組合、あるいはJAの生産部会等を通じて策定し、実践する。いま、ビジョン策定に取り組んでいるか、あるいは今後検討する予定のJAは539JAで、全体の8割近くを占める。
 さらにJAグループは、政策を含めた農業の環境変化に対応するため今年の4月「JAグループ営農・経済革新プラン」を決定。[1]サポート型を主力とした営農・経済事業方式の確立、[2]販売事業方式の確立、[3]経済事業の革新をはかる組織運営・ガバナンスの確立を掲げている。
 

◆現場の実態踏まえ

 研修会では、25年度「地域営農ビジョン大賞」の審査委員長を務めた谷口信和・東京農業大学教授が、受賞団体・JAの取り組み例をもとに、担い手・産地・地域づくりの考え方とポイントを話した。特に、「現場実態を踏まえた地域資源の活用」、「地域性に応じた多様な組織化」を挙げ、「個別家族経営でできないことを一つ一つ集落営農組織で補完し、不要な人をつくらない全員野球を目指すべき」と指摘し、規制改革会議等のような現場実態を踏まえない提案を"落下傘型地域農業再編"として批判する。
 事例では「ビジョン大賞」受賞の村木沢あじさい営農組合(山形県)が報告。土地持ち非農家を含めた農家数380戸の地域で組合員246人、うち65歳以上が約60%のところで、「地域農業を担う最後の守り手」として組合を設立した。担い手は水稲・ダイズ・小麦・ソバなどをつくり、高齢者を含めた「多様な担い手」がサトイモ、枝豆、タマネギや伝統野菜等を栽培し、加工して付加価値をつけ、直売所などで販売する。観光農業や、消費者との交流イベントなども取り入れ、「高齢者がリタイアすることのないよう、皆で話し合い、仕事をつくっていく」と、開沼雅義組合長はいう。
 また、集落の枠を超えた機械運用によって面的に地域の農地を守る集落営農法人・ネットワーク大津株式会社(熊本県)が、その取り組みを報告した。生産体制の強化・再構築を足場に生産した農産物のブランド化、加工・販売による6次産業化、食農教育による地域とのふれあいなど、農業の持つ可能性を幅広く追求しているところに特徴がある。

◆"人づくり"が鍵に

 ビジョンづくりを支援すべきJAの役割では、JAふくおか嘉穂(福岡県)が報告。支援対象を、新規の農家(個人・組織)の掘り起しと既存組織の強化に分け、これを遂行する上で、機動的な支援体制づくりの必要性を指摘する。本所営農部や各支所に1、2名営農担当者が別個に対応していては実効があがらないとして、同JAは営農経済担当常務をトップとする推進本部を設け、管内10支所を3つのブロックに括り、1ブロック4、5名の支援チームを編成し、支援に当たっている。
 同JA農業振興企画課の宮地隆司次長は、「ビジョンづくりは最終的には"人づくり"。より高度化する組合員の要求に対応できるように職員のスキルを高めることが重要」と、人材育成・確保の実用性を強調した。

(写真)
地域営農ビジョンづくりで討議するJA、県中央会等の担当者

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