地域・健康づくりで意見交換 新世紀JA研究会2014年10月20日
JA改革で緊急アピール
全国のJAの常勤役員や幹部職員の相互研鑚を目的とする新世紀JA研究会(代表=藤尾東泉Aいわて中央組合長)は10月16、17日、愛知県のJA愛知東で第17回セミナーを行った。同JAの、河川の源流と流域の自然と文化を守りながら豊かなくらしのできる地域づくりに取り組み、管内の過疎地を活動域とする愛知県厚生農協連足助病院の農村医療の取り組みなどの報告を基に意見交換した。
◆住民が参加する病院
JA愛知東は、愛知県東部にあり、全域の5分の1を管内とする地域で、3つの一級河川の源流域を管内に持ち、多くの中山間地域、条件不利地を抱える。
JAは、地域の豊かな自然、多様な文化などの地域資源)を生かした活動を展開しており、県が認定する技人(わざびと)による「奥三河きわめびと伝承講座」の開設、また、特に女性を中心とした目的別組織を支援するなど、組合員の小さな協同活動づくりに力を入れている。
また、同JA管内の過疎地帯をエリアの一部とする愛知県厚生連足助病院は、地域に開かれた病院づくりを目指す。病院で地区の集まりやお茶会を開くなど、コミュニティの場となっている。早川富博院長は報告で、「患者、病院職員、見舞いの人、ボランティアなど、病院を構成する人々が醸し出す雰囲気が大事」と、何らかの形で地域の人々が参加する病院づくりの必要性を強調した。
(写真)
JA改革で緊急アピールを出した新世紀JA研究会のセミナー
◆3項目の緊急アピール
このほか、新世紀JA研究会顧問の福間莞爾氏がJAの自己改革について、愛知県中央会の井上庄吾専務が「愛知県における農業振興・農協活性化」について、地元企業の本多プラス(株)の本多克弘会長が「他人のやらないことをやる」で、企業家マインドについて話した。
なお、セミナーは最後に大会アピールを採択。その中で緊急事項として、[1]JA全中は直ちに都道府県会長会議、組合長会等を招集し、政府が進めようとする「規制改革実地計画」に内容についての共有化と対応策について協議すること、
[2]予断を許さないTPP交渉について、引き続き国が定めた聖域確保を尊守すること、
[3]米価の暴落について、需給調整・調整保管対策について万全を期すること―を提案し、訴えた。(「大会アピールの全文は下記の通り)
【大会アピール】
<緊急アピール>
1.「規制改革実施計画」の第一弾として中央会の一般社団法人化が示された。JA全中は直ちに都道府県会長会議、組合長会議等を招集し、政府が進めようとする「実施計画」の内容について問題の共有化と対応策について協議を行うこと。
2.予断を許さないTPP交渉について、引き続き国が定めた聖域確保を遵守すること。
3.米価の暴落について、需給調整・調整保管対策について万全を期すること。
◇
1.JAの将来ビジョンを明確にし、自己改革をすすめよう。
かってない厳しいJA批判と改革案の答申が出された。この内容はJA改革の関連法案として来年の通常国会での審議が予定されており、JAグループのスピーディな対応が求められている。
われわれはその内容を正確に理解するとともに、JAグループとして将来ビジョンを検討・提示し、自らの自己改革を進めていく。とくに、准組合員についての位置づけを明確にしていく。
2.JAは地方創生の中心的役割を果たそう。
政府が積極的に推進する地方創生には農協の役割は不可欠であり、総合農協として実施している。
様々な取組・事業を更に強化し地方創生の中心的役割を果たすことが必要である。また、担い手確保のために全国的なモデル農場の建設、6次産業の推進、高齢化対策、自然再生エネルギーの開発推進など多様な役割を構築しよう。
3.農業政策の一貫性の確保を図ろう。
円安・国際価格の高騰等により資材価格が高騰しているとともに、農畜産物の価格は依然厳しい状況にある。また、米に関する新制度が進められているが、農業・農地は簡単には切り替えできないので、エサ米政策を含めて農業者が安心して農業生産・経営に取り組める政策を確立し継続すること。
4.東日本大震災対策、原発に依存しない再生エネルギー開発・普及をスピードアップしよう。
5.農畜産物を消費税対象外にしよう。
6.「貯金保険制度」の掛金凍結を図ろう。
JAバンク支援基金の掛金凍結に続き、「貯金保険制度」の掛金凍結をめざす。
(注)[1]JAバンク支援金1,203億円、県相互援助積立金1,208億円、[2]農水産業協同組合貯金保険制度3,332億円 (対象預貯金残高93兆円=24年度、保険料率0.015%=25年度、保険料収入131億円=25年度)
7.組合員・役職員教育の徹底強化を図ろう。
経営者研修の強化として、JA常勤役員を対象としたJA全中経営マスターコースの復活をはかること。「協同の翼」について、その周知徹底ときめの細かい推進を図ること。准組合員についても運営参加の観点から教育研修体系を明確にして実践すること。
以上 決議する。
平成26年10月17日 新世紀JA研究会第17回JA愛知東大会
(関連記事)
・全中は明確な改革方針を 新世紀JA研が要請(2014.08.07)
・農協をめぐる最近の動向 農水省・山北氏が講演(2014.07.03)
・農協改革で討議 新世紀JA研究会がセミナー(2014.06.27)
・【特別座談会】新世紀JA研究会・歴代代表が語る 組合員目線で政策提案を(2014.05.26)
・【新春特別講演会】日・中の対立回避し交流を 丹羽宇一郎氏(前中国大使)が講演(2014.02.07)
重要な記事
最新の記事
-
災害乗り越え前に 秋田しんせい農協ルポ(2)今後を見据えた農協の取り組み 営農黒字化シフトへ2025年1月23日
-
災害乗り越え前に 秋田しんせい農協ルポ(3)水田に土砂、生活困惑2025年1月23日
-
災害乗り越え前に 秋田しんせい農協ルポ(4)自給運動は農協運動2025年1月23日
-
人づくりはトップ先頭に 第5次全国運動がキックオフ 150JAから500人参加【全中・JA人づくりトップセミナー】(1)2025年1月23日
-
人づくりはトップ先頭に 第5次全国運動がキックオフ 150JAから500人参加【全中・JA人づくりトップセミナー】(2)2025年1月23日
-
人づくりはトップ先頭に 第5次全国運動がキックオフ 150JAから500人参加【全中・JA人づくりトップセミナー】(3)2025年1月23日
-
元気な地域をみんなの力で 第70回JA全国女性大会2025年1月23日
-
【JA女性組織活動体験発表】(1)新しい仲間との出会い 次世代へつなげるバトン 青森県 JA八戸女性部 坂本順子さん2025年1月23日
-
【JA女性組織活動体験発表】(2)この地域を、次世代に繋ぐ、私たち 山梨県 JA南アルプス市女性部 保坂美紀子さん2025年1月23日
-
【JA女性組織活動体験発表】(3)私たちの力で地域をささえ愛 愛知県 JA愛知東女性部 小山彩さん2025年1月23日
-
旧正月【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第325回2025年1月23日
-
地元産米を毎月お届け 「お米サポート」スタート JAいずみの2025年1月23日
-
定着するか賃金引上げ 2025春闘スタート 鍵は価格転嫁2025年1月23日
-
鳥インフル 米アイオワ州など5州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年1月23日
-
鳥インフル 英シュロップシャー州、クルイド州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年1月23日
-
スーパー売り上げ、過去最高 野菜・米の価格影響 「米不足再来」への懸念も2025年1月23日
-
福島県産「あんぽ柿」都内レストランでオリジナルメニュー 24日から提供 JA全農福島2025年1月23日
-
主要病虫害に強い緑茶用新品種「かなえまる」標準作業手順書を公開 農研機構2025年1月23日
-
次世代シーケンサー用いた外来DNA検出法解析ツール「GenEditScan」公開 農研機構2025年1月23日
-
りんご栽培と農業の未来を考える「2025いいづなリンゴフォーラム」開催 長野県飯綱町2025年1月23日