家族農業と総合JAとは密接不可分2014年11月19日
IYC学習会で太田原名誉教授
家族農業の中にこそ農業の将来展望がある―この視点から、国際協同組合年記念協同組合全国協議会(IYC全国協議会)は17日、東京都千代田区のJAビルで、「家族農業から協同を考える」学習会を開いた。太田原高昭・北海道大学名誉教授が講演し、日本の家族農業とJAの総合事業は密接な関係にあることを強調した。
今年2014年は「国際家族農業年」である。国連は食料確保、農業と農村社会の持続的発展、自然環境の維持等に果たす家族農業の役割を高く評価し、その意義を広めるために定めた。
太田原教授は「家族農業のあり方は人類の運命に係わること。日本のJAに国際的役割を果たして欲しいという世界の願いだ」と、IYCの意義を強調した。
講演では、現在、安倍政権が行おうとしている農業・農協改革は、こうした国際的な流れに逆行するものとして糾弾。その上で、バブル崩壊による金融危機の時、中央会と農林中金のリードで、損失を最小限にとどめたことなど挙げ、創設時の昭和29年も農協の経営危機が背景にあったことから、「中央会の必要性は今も変わらない」と指摘。
また連合会については、イギリスのロッチデール先駆者協同組合が、連合会をつくってロットを確保し、成功した例を挙げ、「連合会組織まで行かないと協同組合事業方式は安定しない」と、連合会の意義を強調した。
また、総合農協の専門農協化については、北海道のJAの組合勘定(クミカン)の例を挙げ、「短期貸越制度など、信用と経済事業が一体となってできるもの。信用・共済分離による専門農協化は、まったく現場感覚に合わない」と切って捨てた。
その上で、「大が小を飲み込む資本主義経済では奥深い国民経済は成立しない。小が集まって大と対等になるのは、人類の知恵。日本では戦後の民主主義とともにあったもので、壊すのではなく、いまこそ見直すべきではないか。このことを全中はもっと国民にも、世界にも発信し、国民の農協への見方を変えていくべきだ」と、世界的にも認められた日本の農協の役割を強調した。
(写真)
家族農業と協同組合の意義を強調する太田原教授
(関連記事)
・規制改革会議の支離滅裂な中央会攻撃(2014.11.17)
・「F・E・C」自給圏自立を 経済評論家・内橋克人氏(2014.11.07)
・日本の農協改革案 自治・独立を侵害 ICA理事会(2014.10.21)
・持続可能な社会を協同組合デーで確認(2014.07.09)
・IYC記念全国協議会を設立(2013.05.10)
重要な記事
最新の記事
-
災害乗り越え前に 秋田しんせい農協ルポ(2)今後を見据えた農協の取り組み 営農黒字化シフトへ2025年1月23日
-
災害乗り越え前に 秋田しんせい農協ルポ(3)水田に土砂、生活困惑2025年1月23日
-
災害乗り越え前に 秋田しんせい農協ルポ(4)自給運動は農協運動2025年1月23日
-
人づくりはトップ先頭に 第5次全国運動がキックオフ 150JAから500人参加【全中・JA人づくりトップセミナー】(1)2025年1月23日
-
人づくりはトップ先頭に 第5次全国運動がキックオフ 150JAから500人参加【全中・JA人づくりトップセミナー】(2)2025年1月23日
-
人づくりはトップ先頭に 第5次全国運動がキックオフ 150JAから500人参加【全中・JA人づくりトップセミナー】(3)2025年1月23日
-
元気な地域をみんなの力で 第70回JA全国女性大会2025年1月23日
-
【JA女性組織活動体験発表】(1)新しい仲間との出会い 次世代へつなげるバトン 青森県 JA八戸女性部 坂本順子さん2025年1月23日
-
【JA女性組織活動体験発表】(2)この地域を、次世代に繋ぐ、私たち 山梨県 JA南アルプス市女性部 保坂美紀子さん2025年1月23日
-
【JA女性組織活動体験発表】(3)私たちの力で地域をささえ愛 愛知県 JA愛知東女性部 小山彩さん2025年1月23日
-
旧正月【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第325回2025年1月23日
-
地元産米を毎月お届け 「お米サポート」スタート JAいずみの2025年1月23日
-
定着するか賃金引上げ 2025春闘スタート 鍵は価格転嫁2025年1月23日
-
鳥インフル 米アイオワ州など5州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年1月23日
-
鳥インフル 英シュロップシャー州、クルイド州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年1月23日
-
スーパー売り上げ、過去最高 野菜・米の価格影響 「米不足再来」への懸念も2025年1月23日
-
福島県産「あんぽ柿」都内レストランでオリジナルメニュー 24日から提供 JA全農福島2025年1月23日
-
主要病虫害に強い緑茶用新品種「かなえまる」標準作業手順書を公開 農研機構2025年1月23日
-
次世代シーケンサー用いた外来DNA検出法解析ツール「GenEditScan」公開 農研機構2025年1月23日
-
りんご栽培と農業の未来を考える「2025いいづなリンゴフォーラム」開催 長野県飯綱町2025年1月23日