全中監査は最も有効 萬歳・JA全中会長2015年1月16日
JA全中の萬歳章会長は1月15日の定例記者会見で、改めて全中による監査の有効性・必要性と准組合員の積極的な位置づけが、農協の健全性維持と農業・地域振興を一体的に進める事業に不可欠だと強調した。そのうえで農協法改正論議には、「実態の検証、把握に基づく議論を」と政府・与党に訴えた。
農協改革をめぐっては年明けから全中による監査の廃止といった報道に加え、西川農相も1月6日と9日の記者会見で、全中による監査から公認会計士監査への移行を検討しているとの認識を示している。
萬歳会長は、昨年6月改訂の農林水産業・地域の活力創造プランでは、「農業所得の倍増を最優先課題として取り組むことが明記されている」と指摘したうえで「JA全国監査機構が実施する監査の廃止が、農業所得の増大にどういった関連があるのか、理解しかねるとの声がJAの現場にある」と訴えた。
とくに平成19年に当時の若林農相が「中央会における農協指導と監査は車の両輪で有効に機能している。公認会計士監査のように指導と結びつかない外部監査は、指導と一体となって機能している全中監査に置き換えることはできない」と参議院農林水産委員会で答弁したことを改めて強調した。さらに20年、農水省は規制改革推進のフォローアップ結果として「公認会計士監査を導入する必要はないと結論づけた」ことにも触れ、「こうした経過がありながら、今回、公認会計士監査にすべきと唐突な提案がなされていることについては理解できない」と反発した。
そのうえで改めて、協同組合であるJAの監査に求められるのは組合員・地域住民が「JA事業を継続利用するためのJAの健全性」であって、その期待に応えるには会計監査だけでなく業務監査を一体的に行う必要があり、「JA全国監査機構による監査が、農業と地域を支えるために総合事業を展開しているJAの特性をふまえた、もっとも効果的な監査制度」だと強調した。
また、准組合員については利用制限が俎上にのぼっているが、萬歳会長は「准組合制度は国民的課題となっている地方創生の実現のためにも必要。JAだからこそ農業振興と地域振興を一体的に取り組むことができる。准組合員はむしろ積極的に位置づけて、JAの地域インフラとしての機能を活用することが重要だ」と話し、「実態の把握、検証に基づく議論をお願いしたい」と今後の議論のあり方を訴えた。
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