総力あげ自己改革 第61回通常総会 JA全中2015年3月13日
JA全中は3月6日に東京都内で第61回通常総会を開き、27年度の事業計画を決めるとともにJAグループの自己改革とTPP交渉についての特別決議を採択した。
JA全中の萬歳章会長は総会後に記者会見し今後、第27回JA全国大会議案検討を本格化することを明らかした。
総会のあいさつで萬歳会長は農協改革について「今回の改革が本来の目的である農業者の所得向上にどうつながるのか、具体的な道筋が見えておらず、現場の組合員やJAに大きな懸念があるのも事実。今後具体的な法案化を進めるなかで詰めるべき課題が多く残されている」と指摘し、「法改正がJAの自主的な運営を阻害し事業や経営を圧迫するような内容となっては本末転倒。そのようなことがないよう万全の対応を働きかけていく」と強調した。
(写真)
開会のあいさつで所信を述べる萬歳全中会長
そのうえで「農協改革はまさに新たなステージが始まった段階。JAの自己改革案で提起したとおり食と農を基軸として地域に根ざした協同組合として総合事業により農業と地域の振興に貢献していくとの強い決意はまったく変わっていない。とくに准組合員は地域農業のパートナーとして地域に欠かせない存在であり、准組合員がJAの現場で実際に果たしている役割を明らかにするとともに、准組合員のJAへの参画や協同活動を一層強めていく」と話したほか、株式会社化や総合事業の分割化などで「JA組織をばらばらに分断し弱体化しようという、今後も続くであろうさまざまな試みに対して中央会のもとにJA組織が結集し断固として跳ね返さなければならない」ことも改めて強調した。
また、ICA(国際協同組合同盟)のグリーン会長が来日した際、「多様な経済主体の存在が不可欠で協同組合はその国の強靱な経済や国民生活に貢献している」と訴えたことに触れ、わが国にとっても「地域に根ざした多様な組合員、JAや協同組合の存在が不可欠。自主・自立の協同組合であり、自らの改革は自ら実践するとの思いのもと、現場の組合員の目線に立ち国民の理解と協力を得て自らの改革を実践していく」と語った。
来賓として林農相、二田農業会議会長、浅田日本生協連会長があいさつ。
そのほか、全国森林組合連合会の佐藤重芳会長、生活クラブ事業連合生活協同組合連合会の加藤好一会長、パルシステム生協連の原秀一常務執行役員、山田俊男参議院議員も来賓として出席した。
(写真)
JA全中第61回通常総会のようす
【JAグループの自己改革に関する特別決議】
政府は2月13日に農協改革の法制度等の骨格を決定した。
この内容は信用事業の代理店方式など選択による信共分離やJA連合会の株式会社化とあわせ、公認会計士監査の導入、都道府県中央会の連合会、全国中央会の一般社団法人への移行など、JAグループがこれまで経験したことのない協同組合組織の大転換となるものである。
一方、最大の問題となった准組合員の利用規制については、直ちには決めず、5年間の実態調査等を行い、そのあり方を決定することとなった。 我々は将来にわたって「食と農を基軸として地域にねざした協同組合」である総合事業を前提に「農業や地域の発展を共に支えるパートナー」として准組合員を明確に位置づけ、農業所得の増大と地域の活性化に取り組む。
また、中央会は組織の総意にもとづいた結集力を一層強化し、組合員・JAの期待に応えた代表機能、総合調整機能、経営相談・監査機能を発揮できる新たな中央会を創りあげるとともに、引き続きJAの経営健全性を確保できる機能を発揮する新たな監査法人を組成する。
真の農協改革はJAグループ自らの手によってすすめるとの覚悟のもと、農協改革が真に「農業所得の増大、地域の活性化」に結びつくよう、JAグループの自己改革に、組織の総力をあげて取り組む。
以上、決議する。
【TPP交渉における国会決議の遵守を求める特別決議】
1月下旬以降、米を含む重要品目に関するマスコミ報道が相次ぎ、現場は大混乱している。政府による情報開示が十分でないなか、米を含めて譲歩を検討しているかのような報道内容は、生産現場をいたずらに不安にさせるものであり、仮にこれらの報道が正しいのであれば、全く受け入れられるものではない。
政府はこれまで国会決議をふまえつつ、米国等と厳しい交渉に臨んでいると説明している。また、自由民主党外交・経済連携本部は2月にTPPに関する決議を行い「決議の遵守と毅然とした交渉の貫徹」を改めて政府に申し入れた。
国会決議は「米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物などの農林水産物の重要品目について、引き続き再生産可能となるよう除外又は再協議の対象とすること」などとしており、これを遵守するとともに、食の安全やISD条項など、国民の暮らしやいのちに関わる重要課題について、決議に即して毅然とした交渉姿勢を貫き通すべきである。また、マスコミ報道に衝撃を受けている全国の農業者に対し、懸念を払しょくする十分かつ明確な説明を行うべきである。
生産現場では、米価が下落するなか、飼料用米の生産拡大などに全力で取り組んでいる。また、畜産・酪農生産基盤の強化に向けて地域をあげた取り組みを展開している。 JAグループはこれら国会決議の遵守を徹底して求め、全国各地で運動を展開していくとともに、農業者の所得増大、農業生産の拡大、さらには地域の活性化に向け、組織一丸となって全力をあげた取り組みを進めていく。
以上、決議する。
(関連記事)
・政府の農協改革を批判 JAグループ有識者会議(2015.03.12)
・【コラム・ここがカンジん】求められる自立したJA(2015.03.06)
・営農経済事業改革を実践 東京農大総研がシンポ(2015.03.05)
・農協改革で全農協労連が声明(2015.03.02)
・【TPP】3月5日から日米協議(2015.03.04)
重要な記事
最新の記事
-
【人事異動】JA全農(2025年1月1日付)2024年11月21日
-
【地域を診る】調査なくして政策なし 統計数字の落とし穴 京都橘大学教授 岡田知弘氏2024年11月21日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】国家戦略の欠如2024年11月21日
-
加藤一二三さんの詰め将棋連載がギネス世界記録に認定 『家の光』に65年62日掲載2024年11月21日
-
地域の活性化で「酪農危機」突破を 全農酪農経営体験発表会2024年11月21日
-
全農いわて 24年産米仮渡金(JA概算金)、追加支払い2000円 「販売環境好転、生産者に還元」2024年11月21日
-
鳥インフル ポーランドからの家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年11月21日
-
鳥インフル カナダからの生きた家きん、家きん肉等の輸入を一時停止 農水省2024年11月21日
-
JAあつぎとJAいちかわが連携協定 都市近郊農協同士 特産物販売や人的交流でタッグ2024年11月21日
-
どぶろくから酒、ビールへ【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第317回2024年11月21日
-
JA三井ストラテジックパートナーズが営業開始 パートナー戦略を加速 JA三井リース2024年11月21日
-
【役員人事】協友アグリ(1月29日付)2024年11月21日
-
畜産から生まれる電気 発電所からリアルタイム配信 パルシステム東京2024年11月21日
-
積寒地でもスニーカーの歩きやすさ 防寒ブーツ「モントレ MB-799」発売 アキレス2024年11月21日
-
滋賀県「女性農業者学びのミニ講座」刈払機の使い方とメンテナンスを伝授 農機具王2024年11月21日
-
オーガニック日本茶を増やす「Ochanowa」有機JAS認証を取得 マイファーム2024年11月21日
-
11月29日「いい肉を当てよう 近江牛ガチャ」初開催 ここ滋賀2024年11月21日
-
「紅まどんな」解禁 愛媛県産かんきつ3品種「紅コレクション」各地でコラボ開始2024年11月21日
-
ベトナム南部における販売協力 トーモク2024年11月21日
-
有機EL発光材料の量産体制構築へ Kyuluxと資本業務提携契約を締結 日本曹達2024年11月21日