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JAみっかび 「モノ語り」発信し 組合員の所得向上へ2015年11月2日

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農協研現地研究会

 10月15日に開催した第27回JA全国大会でJAグループは「農業者の所得増大」、「農業生産の拡大」を自己改革の最重点課題とし、あわせて「地域の活性化」でも役割を果たすことを決議した。
 この取り組みを実践していくため先進事例に学ぼうと農業協同組合研究会(会長:梶井功東京農工大名誉教授)は10月31日、長年の努力でブランド確立を実現し、最近では研究機関との連携で、全国で初めて生鮮品として「機能性食品表示」が認められた「三ヶ日みかん」の産地、静岡県浜松市のJAみっかびで現地研究会を開いた。

◆出荷組合とJAが連携

みっかびのミカン畑 JAみっかび管内の耕地面積は1977ha。そのうち柑橘園が1662haを占める。
 行政区としては浜松市北区三ヶ日町。人口は約1万4800人で世帯数は4950戸。平成5年に周辺JAとの合併協議会が設置されたが、同JAは未合併を決定。現在、JAの組合員戸数は2673戸。正組合員が1671人、准組合員が1069人で正組合員の6割を占める。
 農産物販売高は26年で95億6000万円。うち柑橘が79億4500万を占めついで養鶏・養豚・養牛の畜産分野が13億円となっている。
 「三ヶ日みかん」のブランド化への取り組みは昭和35年(1960)の三ヶ日町柑橘出荷組合の設立に始まる。「マルエム柑橘出荷組合」を154人の生産者がつくった。それまでは産地に入り込んだ集荷業者に個々の農家が「山売り」する販売方式だったが、それを品質を統一し、さらに向上させて市場での認知度を高めて有利販売を実現していくという取り組みへ大きく転換した。
 「生産者と消費者を結びつけ生産者の気持ちを伝えるようにしたい」との初代組合長・竹上善博氏の設立当初の思いは今も変わっていないという。現在、柑橘出荷組合には825名が加入している。柑橘農家の加入率は755だ。
 管内では平成10年から青島温州への改植を進め、現在は早生と青島の2種類の温州みかんが生産・販売の軸となっている。柑橘農家1戸あたりの売上高は平均約1100万円。個々の農家の家庭選果と計画出荷で市場に対応してきた。26年産ではミカンの取扱量は4万2000t。三ヶ日町では秋の収穫後、各生産者が貯蔵し年明けから3月まで出荷する。その出荷数量とスケジュールは組合員ごとの自己申告をもとに、選荷場から指定される。出荷の許容増減量も決められ約束違反をすると、出荷組合員の地区代表委員がペナルティ料を徴収に出向く。市場や販売先に出荷する10tトラックの手配数は毎日決まっているからであり、組合員それぞれがルールを守らなければ計画的な出荷の全体に支障を来すからだ。


◆新たなチャレンジへ

ミカン畑で話す後藤組合長 選果場にある光センサーによる糖度や酸など品質データは樹園地ごとのマッピングシステムにフィードバックされる。平成13年にJAみっかびがいち早く導入した仕組みで農家ごとではなく園地を区切って登録している。生産者によっては10以上もの園地が登録されており、全部で4000園地ほどの登録数になる。
 「今後は地帯別集出荷を検討したい」(JAみっかび・井口義朗専務)という。
 後藤善一組合長は「組合員、生産者のためになるか。どうすればこの地域が豊かになるか、そのために農協という仕組みを活用するという発想」をしてきたという。
 JA役員に就任してから職員にも強調してきたのが「良い物をつくれば売れる」時代ではないということ。「すべては売るため」の取り組みでそのために「出荷組合とJAを軸にした産地を1つの経営体として考えてきた」という。ヒト・モノ・資源を適切に組み合わせて「売れるモノを作る力。それを売る力が大事でそのためにはマーケティグが必要になる」と強調した。
 そのマーケティングによるキーワードの1つが「健康」。ミカンが健康維持にどういう影響をもたらすか、それを消費者にアピールするため、三ヶ日みかんの「機能性食品表示」にチャレンジすることを決めた。
 地元医療機関との連携から温州みかんには、抗酸化作用を持つβクリプトキサンチンが豊富でこれは骨を破壊する作用を抑制する一方、骨形成を促進するため骨を丈夫に保つことに役立つ。疫学データや選果場による厳しい品質チェックなど長年の取り組みが結実したといえる。
 後藤組合長は「機能性食品表示がなければ果物の未来はない。これは究極のモノ語りだ」と話していた。

(写真)みっかびのミカン畑、ミカン畑で話す後藤組合長

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