JA全農輸出目標 コメ1万t 牛肉500t2016年2月4日
JA全農は2月4日、全農グループの輸出事業の取り組み方針を明らかにした。
農林水産物・食品の輸出額は27年で7452億円と3年連続で過去最高を更新したが、このうち生鮮品(米、牛肉、青果物)は379億円で5%にとどまる。
全農グループの輸出は27年度末見通しで57億円で、わが国の生鮮品輸出額の15%を占める。品目別では、米の輸出額22億円(5200t)のうち、全農扱い分は5億円(1500t)、牛肉は同110億円(1600t)のうち22億円(290t)、青果物は同247億円のうち25億円となっている。
4日の記者説明会で小原良教常務は28年度からの新3カ年計画で輸出事業について「米1万t、牛肉500t」の目標を掲げることを明らかにした。青果物についても目標を掲げるが、現段階では産地との協議中だという。
米については、国外では量販店など小売り市場を中心に日本産米の販売競争が激化しているため、需要拡大が見込める業務用への販売拡大を狙う。現在は現地の外食などはベトナム産やカリフォルニア産など使用されているが、現地ニーズと用途に合わせた品質と生産から流通までの各段階のコストを圧縮して価格競争力のある米を販売していく。
そのため▽玄米で輸出し現地で精米・販売する「生産から販売まで一貫した事業スキーム」の構築(輸出専用フレコンも開発・活用)、▽低コスト・多収生産が可能な輸出専用産地づくりと安定供給、▽用途別にニーズに対応した商品提案などに力を入れる。
輸出米の生産は飼料用米などと同様、転作作物として主食用米の生産数量目標の外枠で生産できる。JA全農によると27年産で試験的に宮城県と福島県で多収品種生産に取り組み、28年産からはさらに産地を増やして輸出増につなげたい考えだ。米1万tの輸出は金額で30~35億円となるという。
◇ ◇
牛肉は米国や英国、シンガポールに展開している海外レストランなど海外販売拠点の拡大や、和牛を小売りしたり惣菜に利用するなど多様な販売を広げるため主要都市に食肉加工施設を設置することにも力を入れる。また、各国の協力企業や商社などとも事業の提携を図る。海外市場の拡大によって、生産者の意欲増大と国内枝肉相場の上昇による生産者手取りの向上につなげていく。
青果物の輸出増大に向けては、全農グループ商品を販売する常設店舗を確保する。27年度末見通しで200店舗確保できるという。
また、新たな鮮度保持資材の開発や大気を調整できるコンテナなど、先進輸送技術の試験・導入など効率的な物流方式の構築も進める。
インバウンド(訪日外国人)需要の拡大への対応も重視し、JA直売所やJAグループ外食店への集客と土産販売の拡大や、空港や港などでの受渡し、簡易検疫体制整備による携行品持ち帰り対策も課題となる。
農産物の輸出拡大のためには行政にも検疫等の整備のほか、放射性物質による輸入規制の解除、牛肉のハラール対応、日本産和牛ブランドの信頼性確保のための国としての仕組みづくりなども課題になる。
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