より近く より深く より前へ JA全農3か年計画2016年3月30日
JA全農は、3月29日、都内で臨時総代会を開催し、28年度からの「3か年計画」および「28年度事業計画」などを決めた。
◆所得増大・生産拡大・地域活性化
新「3か年計画」の基本戦略は、25年度からの3か年計画で掲げていた3大重点事業施策(1)元気な産地づくりと地域のくらしへの貢献、(2)国産農畜産物の販売力強化、(3)海外事業の積極展開)および3つの事業戦略をさらに深化・拡充し、(1)新たな事業開発等に係る積極的な投資や企業との業務提携、(2)農業生産法人など大規模生産者や集落営農組織等への対応力強化、(3)リテール事業のさらなる拡充、(4)生産資材等の購買事業の競争力強化などに取組み、「農業者の所得増大・農業生産の拡大・地域の活性化」に貢献する事業を展開することにしている。
具体的には、重点事業施策である、(1)持続可能な農業生産・農業経営づくりへの貢献、(2)海外事業の積極展開、(3)元気な地域社会づくりの支援、を「全農グループ全体でスピード感を持って実践する」とともに、「その実践経過や成果を組織の内外に目に見える形でアピール」していくことにしている。
◆事業をマーケットインへ転換
重点事業施策の「持続可能な農業生産・農業経営づくりへの貢献」としては、まず、中食・外食など業務用需要獲得に向けて、実需者との直接契約や事前契約など、長期安定的な取引拡大、付加価値の高い米関連商品の開発と取扱拡大、インターネット通販を活用した消費者への直接販売などの拡大に取り組む。
さらに、輸入野菜が大きなシェアを占める加工・業務用野菜や家計消費向け需要に応えた国産野菜の販売拡大と生産振興。JA農産物直売所での食肉販売や各県での外食店舗の利用拡大、訪日外国人客のインバウンド需要への対応など「プロダクトアウトからマーケットインへ事業を転換」していく。
あわせて、「生産から販売までトータルコスト削減」のために、省力・低コスト・生産性向上に資する営農関連技術の開発・実証・普及や、カントリーエレベーターなど共同利用施設の再編・統合の支援や県域を越えた青果物の共同配送体制の構築による物流合理化を進めていく。
畜産部門では、上質肉生産技術の普及、消費者が購入しやすい安価な和牛肉生産体系の実証・普及による生産基盤対策の強化、革新的な商品・技術の開発・普及による生産性の向上に取り組んでいくことにしている。
さらに「農産物生産に係る多様化する農業者ニーズへの柔軟な対応」として、競争力のある商品の開発・普及や担い手ニーズに対応した専用商品・規格品の提案やJA資材店舗強化策の検討・実践に取り組む。また、高生産性水田輪作体系の確立に向けた提案や大規模施設園芸実証圃の品目拡大、栽培方法の普及に取組んでいくことにしている。
◆海外事業と地域への支援
二つ目の重点事業施策である「海外事業の積極展開」では、海外マーケットのニーズに即した生産品・加工品などの輸出拡大など多様な取組みを展開していくことにしている。また、世界的な穀物需要の増加のため戦略物資化する飼料・肥料原料の安定的な確保に向けて、産地の多元化をはかり購買力の維持・強化をはかっていく。
重点事業施策の三つ目である「元気な地域社会づくりへの支援」としては、地域のくらしの拠点であるライフライン店舗、コンパクトセルフSSなどの設置支援、組合員ニーズにもとづく移動購買車の導入などの事業提案を強化していくことにしている。
こうした重点事業施策の展開と同時に「東日本大震災からの復興支援・風評被害の払拭」への取組みを引き続きおこなっていくことにしている。
【各事業の行動計画】
事業別の主な行動計画は以下のようになっている。(数字は、27年度見込みと30年度目標値)
◎ 米穀農産事業
「実需者との直接契約販売・事前契約」を107万tから140万tに。「炊飯事業の取扱」を39億円から45億円に拡大。「パール卸の販売力強化を通じた精米販売」を75万tから84万tに。「飼料用米の生産」(JAグループ全体目標)を42万tから70万tに。「水田活用米穀を含む米の集荷」を290万tから340万tへ拡大。「国産大豆の集荷」を18万4000tから19万2000tへ。
◎ 園芸事業
「直販事業分量」を3000億円から3300億円へ。「加工・業務向け青果物の販売」を315億円から450億円へ拡大。「アンジェレの生産面積」を30haから65haへ。
◎ 営農販売企画
「TAC活動の強化」のうち(1)STEP6到達JAを40%から90%へ、(2)生販マッチング件数を累計500件から累計600件へ。「米輸出」のうち(1)玄米を500tから1万1000tへ。(2)精米を1100tから3000tへ拡大。
◎ 生産資材事業
「農薬大型規格の普及」を13.5%から15%へ推進。「肥料満車直送」を5万2000tから6万8000tへ。「実証モデルにもとづく大規模園芸生産への技術的支援」を累計1か所から累計4か所に。「独自・推奨型式、大型高性能機械の取扱」を累計1型式から累計6型式に。「農業施設への総合コンサルの実施」を累計20JAから累計40JAへ。
◎畜産事業
「国産畜産物の輸出」を250tから350tへ。「配合飼料の取扱維持・拡大」を690万tから700万tへ。「ET受精卵の供給」を2万2000個から4万個へ。「業務用牛乳の販売」を18万3000tから18万8000tへ。
◎生活関連事業
「新たなJA生活事業の重点JA」を30年度までに累計30JAへ。「JA農産物直売所の支援拡充」を30年度までに150店舗に。「全農ブランド商品の取扱」を20億円から50億円に。「JA―SSセルフ比率」を33%から40%に。「LPガス施設園芸用機器の導入」を800台から1200台へ。
◎経営計画
取扱高を28年度4兆6687億円、30年度4兆7894億円と計画。事業利益を28年度7億円、29年度1億2000万円、30年度8億8500万円。経常利益を各年度、74億7100万円、65億7400万円、72億2700万円と計画している。
重要な記事
最新の記事
-
(408)技術と文化・伝統の引継ぎ【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年11月3日
-
令和6年秋の叙勲 加倉井豊邦元全厚連会長ら77人が受章(農水省関係)2024年11月3日
-
シンとんぼ(116) -改正食料・農業・農村基本法(2)-2024年11月2日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践 (33) 【防除学習帖】第272回2024年11月2日
-
農薬の正しい使い方(6)【今さら聞けない営農情報】第272回2024年11月2日
-
【25年産米】適正生産量683万tに懸念の声も(2)高米価でもリタイア?2024年11月1日
-
【25年産米】適正生産量683万tに懸念の声も(3)ギリギリ需給でいいか?2024年11月1日
-
【特殊報】「サツマイモ炭腐病」県内のサツマイモに初めて確認 鳥取県2024年11月1日
-
食と農の情報 若年層にはSNSや動画発信が有効 内閣府の世論調査で明らかに2024年11月1日
-
【注意報】野菜、花き類にチョウ目害虫 県内全域で多発のおそれ 佐賀県2024年11月1日
-
だし・かつお節需要が高まる年末年始に向けて「徳用シリーズ」売れ筋2品を10%増量 マルトモ2024年11月1日
-
JA貯金 残高108兆2954億円 農林中金2024年11月1日
-
【田代洋一・協同の現場を歩く】 福島・JA会津よつば 産地強化で活路探る 中山間地域で〝生きる〟2024年11月1日
-
鳥インフル 米サウスカロライナ州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2024年11月1日
-
鳥インフル オランダからの生きた家きん等 一時輸入停止措置を解除 農水省2024年11月1日
-
鳥インフルエンザ 「危機感共有して発生予防を」小里農相2024年11月1日
-
兵庫県ご当地カレー&「午後の紅茶」キャンペーン実施 JAタウン2024年11月1日
-
「JA共済安全運転アプリ」提供開始 スマホではじめる安全運転2024年11月1日
-
子どもたちが丹精込めて作った「優結米」熊本「みのる食堂」で提供 JA全農2024年11月1日
-
たまごのゴールデンウィーク「幻の卵屋さん」各所で出店 日本たまごかけごはん研究所2024年11月1日