事前契約・買取販売を拡大-29年産水田農業方針2017年1月20日
JAグループは1月12日の全中理事会で「29年産水田農業にかかるJAグループの取組方針」を決めた。需要に応じた生産をすすめJA全国大会で決議した農業者の所得増大や農業生産の拡大など基本目標と、30年産以降の販売を起点とした米づくりをめざす。
主食用米は2年連続の生産数量目標の達成で米価の回復と一定の需給改善が実現している。ただし産地銘柄ごとの作付動向や豊凶、需要の変動により、とくに業務用を中心に供給不足を指摘する声が需要者から出ている。
非主食用米のうち、飼料用米は生産量が増加傾向にあるが、加工用米は用途ごと需要者ごとの需要動向に差があることから、需要を慎重に見極めて生産に取り組む必要がある。
麦・大豆は消費者の安全・安心な国産ニーズの高まりで需要は増加傾向にあるものの、生産拡大にあたっては湿害などの技術的課題もあるという。
こうした状況のなか29年産は、生産調整の見直しが行われる30年産を見据えた取り組みができる最後の年。そのため、とくに販売を起点とした取り組みをすすめ、販売基本戦略である事前契約取引・買取販売・精米販売の拡大と、輸出や和食推進などによる需要拡大にも取り組む。
事前契約取引は、複数年契約も含め実需者に対しては原料米の長期安定確保による経営安定など、生産現場に対しては営農の安定継続や取引条件の早期確定など、それぞれのメリットをJAや連合会が説明しながら推進する。
買取販売については委託共計方式による一律的な対応ではなく取引ごとにマッチした取り扱い条件を生産現場に積極的に提案する。
精米販売の拡大に向けてパールライス事業の競争力を強化するため再編集約をすすめるとともに、農林中金と連携し取引先等へのM&Aなどで関係強化をはかる。
また、生産者の所得向上をはかるため実需者への直接販売の拡大や、十分な付加価値をつけた生産物の販売など、長期的なパートナー関係を構築できる卸売業者に重点的に販売していく。
米の輸出については昨年度実績8億円を2020年に50億円に拡大することを目標としている。そのため全農グループが輸出拡大に向けた国別戦略と体制の再構築を進めている。また、ノングルテンなど米の機能性に着目した海外の消費者ニーズの把握や、加工品開発、低コスト・多収生産可能な輸出専用産地づくりによる安定供給もすすめる。
和食を推進し米飯給食回数の増加につなげるため栄養教諭や学校栄養職員向けのパンフレットなども作成する。
こうした需要に応じた生産をすすめるため、連合会は販売先別に品種・品質・栽培方法ごとの販売予定数量を積み上げて販売戦略を策定し、それに基づき生産者・JAに生産・取引提案をする。
同時にJA・中央会は水田フル活用ビジョンを生産現場に提示できるよう検討・協議をすすめる。 そのほか生産に関する取り組みとして、多収栽培、栽培体系の見直し、ICTの活用や生産資材コストの引き下げなどトータルコストの低減に取り組むほか、複合経営への転換も進める。
JA・連合会は実需者ニーズに基づく品種の導入、担い手の資金ニーズに対応した営農資金の融資、JAグループに出荷しない担い手との関係強化などに取り組む。
こうした取り組みを進めるなかで、地域の実態に応じた30年産以降の具体的な対応についても検討し、関係者の間で認識を共有することも29年産の重要な取り組みと位置づけている。
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